パーフェクトブルー


(英題:PERFECT BLUE)
1997年/日本
上映時間:81分
監督:今敏
キャスト:岩男潤子/松本梨香/辻親八/大蔵正章/秋元洋介/塩屋翼/他

 




 

題名だけだと大海原を舞台にしたような作品に見えますが、全く違いますよ。

日本アニメ初R-15指定を受け、海外ではR-18レーティングを受けているそこそこな問題作。

監督を務めた今敏は元々は漫画家、後に巨匠・大友克洋の元でアニメーターとして活躍し、その緻密な描写は高い評価を受け、本作をきっかけに世界レベルのクリエイターとして躍動するに至ります。

しかし残念なことに2010年に膵臓癌により亡くなってしまいました、合掌。

かなりクセのある作品ではありますが、1997年のファンタジア国際映画祭で最優秀作品賞を受賞し、世界中の批評家や映画監督の大絶賛を受けているだけあり、サイコスリラー作品として一級品だと思います。

さっくりあらすじ

アイドルグループ「チャム」に所属する霧越未麻はグループ脱退を宣言し、女優を目指す。

アイドルからの脱却を図るため、ドラマでのレイプシーンやヘアヌード写真集の撮影など、かつては考えられない仕事をこなしていき、ファン達の嘆きの声をよそに女優として軌道に乗り始めた。

しかし人気とは裏腹に未麻は不満を募らせ心身が衰弱し、アイドル時代の自分の幻影に悩まされるようになる。

これが自分が望んだ姿なのか?自問自答に思い悩む中、未麻になりすました何者かがウェブサイトを開設し、未麻しか知らない事細かなことまで書き込み始める。

「アイドルとしての未麻」が更新し続けるウェブサイトを目にする度に精神的に追い詰められる未麻、それと同時に未麻の周りでも不審な事件が起こり始めるのだが、、、

 

 

 

霧越未麻
アイドルから女優へ転身

 

未麻のマネージャー・ルミ
未麻が女優を目指すことに否定的

 

コンサート会場の警備員
未麻に対し異常な執着をする

 

 

ネットリ怖い

華麗な美しさではなく、現実の空気感を感じさせるような背景の画力にまず驚きます。

アイドルから女優を目指す少女が精神的に不安定になり、その過程を描く上でこのリアリティは本当に素晴らしい。

日常にある生活感、匂いすら感じ取れそうな乱雑な部屋の中、現実と非現実の境界線が曖昧になるほどに作り込まれたアニメーションはサイコホラーの土台として完璧に機能していますね。

 

考察する奥行きがあるというか、深読みできる展開は興味深いものであり、先が読めない難解な面白さがあります。

清純派アイドルが汚れていく内に生まれる深層心理、二重人格の疑い、そして病的なストーカーの存在など、全体を通じて散りばめられたアクセントが巧妙であり、妄想と現実が入り乱れる映像も脚本も見事なまでに混乱を引き起こします。

端的に言えば物語は割とありがちなんだけど、演出面は極めて素晴らしいといったところでしょうか。

 

また汚れていく過程の演出もなかなかにエグいというか、メンタル的に重たいというか、、直視するのが少々つらく感じるほどに迫真なもの。

アニメーションだけに迫真の演技というのもおかしな話ですが、思わずそう感じてしまうだけの説得力がありますね。

この辺はやはりアニメならではというか、実写では表現できない味だと思います。

 

あとは各キャラクターの描写というか、画の独特のタッチもあり人間っぽいような人形っぽいような、薄気味悪さを感じる絵柄も個人的には好きですね。

良い意味で人間味を感じないというか、魂が宿っていないような表情がまた生理的にゾワゾワさせる魅力になっているかと。

作画の評判は芳しくないようですが、映画の雰囲気に合っていて良いと思うんだけどなぁ。。

 




 

まとめ

観るにあたっては重く、不快で怖い作品です。

実写ではなくアニメでこういったサスペンス作品に挑戦したこと自体に意味を感じますが、その期待に十二分に答えるだけの丁寧な作りには素直に関心します。

先述したような現実味を感じる世界観の描写と、アニメならではの無機質な映像が絡み合った完成度は相当なものです。

一見すると不気味で気持ちの悪いアニメに見えますが、その奥にある猟奇性、体感するようなサスペンスは非常に印象深い経験となるでしょう。

 

アニメだと侮るなかれ、下手な実写サスペンスよりよっぽど怖いっすよ。

でも15禁だからお子様は見たらダメだよ。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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