ドラゴン/ブルース・リー物語


(原題:Dragon:The Bruce Lee Story)
1993年/アメリカ
上映時間:120分
監督:ロブ・コーエン
キャスト:ジェイソン・スコット・リー/ローレン・ホリー/ロバート・ワグナー/マイケル・ラーンド/ナンシー・クワン/他

 




 

俳優であり、武道家であり、ジークンドーの創始者でもある、筆者(30代中盤)世代では最強候補の一人として名前が挙がるブルース・リーの半生を描いたドラマ作品。

 

歴史に名を残すレベルのスーパースターなので、当然数々のドキュメンタリー作品があるわけですが、本作最大の特徴として、あくまで「伝記」ではなく、独立した物語であるということ。

家族愛や絆、人種差別などを盛り込み、ブルース・リーが経験したであろう出来事を、第三者の視点で描いてあるということですな。

 

良くも悪くも娯楽作品ということで、伝記モノに脚色したフィクションといったところでしょうか。

ちなみに監督は「ワイルドスピード」のロブ・コーエン。

 

 

 

さっくりあらすじ

父の勧めで単身アメリカへと渡ったリーは大学でリンダと出会い、差別的な思想を持つリンダの母の反対を押し切り結婚し、カンフー道場を経営しながら幸せな日々を過ごしていた。

しかしチャイナタウンを牛耳る権力者はカンフーを他の人種に教授することを気に入らず、腕に覚えのある男に勝利すれば好きにしてよいと条件を持ち掛け、リーは勝利するものの歩行が困難になるほどの重傷を負う。

痛みと苦しみに絶望するリーだったが、リンダに励まされながらリハビリを続け身体はゆっくりと回復していき、息子も生まれ、またリンダの母親とも和解することができた。

歩けるほどに回復したリーは国際空手大会で重傷を負わされた相手と再び対峙し、今度は完璧に勝利する。

そして、それを見ていたTVプロデューサーが「グリーン・ホーネット」への出演を打診してきたのだが、、、

 

 

 

 

ブルース・リー
似てないとか言っちゃダメ

 

妻のリンダ
ちなみに学生結婚

 

ファンならニヤリとするシーン

 

 

 

 

普通に感動

ゴリゴリのマニアからすればつまらない作品なのかもしれませんが、いちファンからすれば普通に良く出来た映画だと思います。

ブルース・リーを演じたジェイソン・スコット・リーが似ていないとか、動きのキレが全然違うとか、否定的な意見もあるようですが個人的には全く気にならず。

同時に比べて見たら差は感じるでしょうが、表情や仕草などを研究したであろう努力の跡は見てとれますし、むしろアクション経験が無い割には頑張っているなぁと好感すら抱きます。

 

そもそもアクション映画ではなくドラマ映画だしね、スタントの迫力を求める時点で作品の本質を見逃しているようにすら思いますね。

てか本人じゃないんだもん、そりゃ違うだろ。

 

 

恐らくは初めて世界で成功した東洋人のアクション・スターだと思われますが、本作でフォーカスされるのは彼が遺した偉業の数々ではなく、そこに至るまでの苦労やそれを支えた家族の姿です。

そこまで詳しくないので分かりませんでしたが、割と有名なエピソードを脚色した物語になっているそうな。

そういう意味ではマニア向けではなく、ブルース・リー初心者向けな作品かもしれません。

 

しかしドキュメンタリーではなく、あくまで映画として考えれば虚実が混じるエンターテイメントとして、この判断は正解だったと言えるでしょう。

偉業の悪魔に付け狙われるという比喩表現が興味深く、ブルース・リーと息子のブランドンのその後の顛末を考えればなかなかに深みのあるドラマ性を感じさせます。

 

 

残念ながら謎の残る、非業の死を遂げた事実は曲げられません。

しかしスーパスターが困難に打ち勝ち、弟子たちの前で軽快なフットワークを披露してくれるエンディングなんかは素直に感動を誘うものです。

悪魔の手から逃れ、優しい笑みを浮かべ、そして龍が如く舞う姿は本当に感慨深いものですな。

 




 

まとめ

子供の頃に観た映画なので、やや記憶も曖昧気味ですし、思い出補正がかかっているのは否めません。

しかし空手少年だった当時、ブルース・リーというスターは正しく神に等しい存在であり、本作のように美化された脚本も心に強く響いたことは間違いありません。

 

伝記映画としての物足りなさはありますが、いちドラマ映画として観れば完成度はなかなかのものかなと。

また観たくなるような作品とは言えませんが、それなりの見応えは期待して良いのではと思います。

 

よければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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