(原題:The Tourist)
2010年/アメリカ
上映時間:103分
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
キャスト:ジョニー・デップ/アンジェリーナ・ジョリー/ポール・ベタニー/ティモシー・ダルトン/スティーヴン・バーコフ/他
トム・クルーズ、サム・ワーシントンが降板しジョニー・デップが起用され、シャーリーズ・セロンが降板しアンジェリーナ・ジョリーが起用されるなど、製作開始前から既に迷走していたサスペンス映画。
サスペンス要素はあるものの全体的に緊張感を強いるようなものではなく、どこか漂う緩さとロマンスによりマイルドな口当たりに仕上がっております。
ややコメディタッチな展開もあり、重苦しい系が苦手な方には向いている映画とも言えるでしょう。
アンジーとジョニデという2大スターを揃えた豪華なキャスト。
伏線が散りばめられた複雑な脚本。
でも普通に観ていれば、至って普通にオチが読めてしまう不思議な作品です。
さっくりあらすじ
パリ在住の英国人・エリーズの元に、恋人・アレクサンダーからの手紙が届く。
2年前にマフィアの金を奪い、さらに7億ドルもの脱税容疑にかけられているアレクサンダーは14ヵ国での指名手配を受け、警察にもマフィアにも目をつけられていた。
行方の分からないアレクサンダーの代わりに、警察からもマフィアからも監視を受け続けていたエリーズだが、手紙にはリヨン駅発の列車に乗り、自分と似た格好の男性に声をかけろとの指示が書いてあった。
何とか監視の目をかい潜り列車に乗ったエリーズだったが、そこでイタリア訪問予定の米国人・フランクから声をかけられるのだが、、、
列車で出会ったエリーズとフランク
2人が織りなすロマンス
とにかく2人が見どころ
ヴェネチア観光へようこそ
2005年公開のフランス映画「アントニー・ジマー」のリメイクだそうですが、2大スターを起用したことが原因で、早々にオチが読めてしまうのが最も残念なところ。
俳優としての格差が大きすぎて、この時点でサスペンス要素は半減していると言っても良いでしょう。
ある程度は謎が散りばめられたストーリーではあるものの、練りに練ったような衝撃的な展開があるでもなく。
好意的に捉えれば古典的なサスペンス作品とも言えますが、このあたりは好みが分かれそうですね。
サスペンスよりもラブコメ的な要素を重視しているような節さえあり、ロマンス寄りなサスペンス風映画として見るのが正解なのかもしれません。
むしろ、ある程度の深読みを断念した上で”水の都”ヴェネチアを舞台に、セクシー俳優代表格な2人が織りなすエンタメだと思えば悪くはないものです。
すなわち全編を通してアンジーとジョニデの魅力を堪能するための作品とも取れますが、少々厚化粧が過ぎるアンジーと、野暮ったい上にジャック・スパロウ的なキャラが見え隠れするジョニデの演技は正直イマイチなところ。
この2人を楽しむための作品なのに、好き嫌いの差はあれ肝心の2人が全盛期を過ぎて微妙に感じるのは残念というか何というか。。
冒頭で述べたように先が読める作品なので、どこに娯楽の重点を置くかが難しいところですな。
あとは蛇足な部分になりますが、ヴェネチアの風情を楽しみましょう。
どこもかしこもオシャレで素敵です。
アンジーもジョニデも存在感は素晴らしいものがあるし、そんな2人と背景を”絵になる”と思えば作品として魅力的とも言えるかな、多分。
まとめ
昨今のサスペンスに比べるとメリハリが少なく、良くも悪くもゆるーいテンポの作品です。
全体的に張り詰めるような緊張感も無く、数少ないチェイスシーンもドキドキハラハラとは程遠く、まったりと映画を楽しみたい方には向いているかもしれません。
逆に言えば息を飲むようなドキドキ感を求めている方にはオススメできず、かなりの確率で退屈に感じてしまうことでしょう。
このような至って平凡な脚本を、むしろここまで観れる作品にまで昇華させたことがアンジーとジョニデの功労と言えるかもしれません。
結論として、やはり美しき都・ヴェネチアが醸し出す優雅な雰囲気と、立っているだけでサマになる2人の姿を楽しみ、オマケ程度にサスペンスを感じるのが”粋”ということですな。
ちょいと上級者向けなんでオススメはしませんが、よければ一度ご鑑賞くださいませ。