(原題:MAMMA MIA!)
2008年/イギリス/アメリカ
上映時間:108分
監督:フィリダ・ロイド
キャスト:メリル・ストリープ/アマンダ・セイフリッド/ジュリー・ウォルターズ/クリスティーン・バランスキー/ピアース・ブロスナン/コリン・ファース/ステラン・スカルスガルド/ドミニク・クーパー/他
説明するまでもないですが、ABBAのヒット曲を用いたジュークボックス・ミュージカル(書き下ろしではなく、既存の曲を使ったミュージカルのことね)の映画化作品です。
監督のフィリダ・ロイドと、脚本を書いたキャサリン・ジョンソンは共に舞台演出家として活躍していますが、本作で映画製作のデビューとなりました。
とても初めての仕事とは思えない演出っぷりで、舞台を生業にしている方々の地力を見せられた気がします。
メリル・ストリープやピアース・ブロスナンをはじめとした、大物揃いの豪華なキャスティングは圧巻の一言。
そしてその俳優陣の歌声をABBAのヒット曲にのせる演出は、とにかく素晴らしいの一言に尽きます。
「ヴェロニカ・マーズ」でジワジワと人気&キャリアを積んでいたアマンダ・セイフリッドが、満を持して主演級で登場。
天真爛漫で明るい女の子をそのまんまに演じていて非常に魅力的です、声も綺麗。
ミュージカル調の映画ではありますがとにかくノリとテンポが良く、抑揚も効いていて、ミュージカル系が苦手な方でも楽しめると思います。
さっくりあらすじ
ギリシャ、エーゲ海に浮かぶカロカイリ島。
ホテルを経営するドナの娘ソフィは結婚式を控え、会ったことの無い父親とヴァージン・ロードを歩くことを計画する。
誰が父親なのかを知りたいソフィはドナの古い日記を盗み読み、そこに書かれていた当時の恋人3人を父親候補として結婚式に招待してしまう。
結婚式の知らせを聞いて急遽やってきた資産家のサム、冒険家のビル、そして銀行員のハリー。
ソフィはドナにバレぬようにと3人を隠そうとするものの、バタバタしている内にドナに見つかってしまい、よりドタバタに。
そして3人の元彼たちは自分こそが父親だと思い込み、競い合うようにエスコートを申し出るようになる。
しかしソフィも困惑してしまった上、花婿のスカイと喧嘩をしてしまい落ち込んでしまった。
そして当日、結婚式が始まるのだが、、、
アマンダ・セイフリッド
人間じゃありません、天使です。
メリル・ストリープ
素晴らしい歌と踊りを披露します。
作品の舞台となるエーゲ海
目が覚めるような景観の美しさ
かっこいい中年女性
舞台ほどの洗練された歌声とは言いませんが、各俳優の歌声はどれも十分に素晴らしいです。
一度は聞いたことのある明るい楽曲と、コメディタッチのドタバタ劇が非常に相性が良く、思わずこちらも歌いたくなってくるようなポジティブなエネルギーに満ちています。
色々と見方、意見はありますが、個人的に思うこの映画の主演は女性達かなと。
メリル・ストリープを中心に、ジュリー・ウォルターズ、クリスティーン・バランスキーという大物女優たちの堂々たる演技は見事なもの。
中年女性の掛け合いは笑えますし、人生の経験を背負い込んだ魅力的な「大人の女性」を見事に演じきっています。
特にメリル・ストリープは「プラダを着た悪魔」のようにクールで知的な印象が強かったので、本作のような”ホテルを切り盛りする肝っ玉母ちゃん”のような演技は非常に新鮮でした。
妙にデコボコで個性が強く、インパクトの強いおばちゃん達ですが、逆境に負けず明るく生きようとする姿は美しく、カッコよく。
女性本来の強さや魅力が存分に発揮されています。
ソフィを中心にした作品ではありますが、中年女性3人の物語にもスポットを当てている作品でもあります。
楽しいことも、悲しいことも、分かち合う熟年の友情というものも良いもんですね、ジーンときます。
天真爛漫トラブルメーカーのソフィを演じるアマンダ・セイフリッドも本当に素敵です。
ってか天使です。絶対。
大きな目が特徴の天使ちゃんですが、とにかく前向きで明るく元気。
でも繊細でナイーブだったりと、若さを前面に押し出したキャラクターがピッタリとハマっているように思います。
とにかく可愛く、幸せに向かって全力疾走する姿は輝いてますね。
んで、男3人。
いずれも演技派俳優さんですが、本作で物語の肝になる部分ですが、なんとなく影は薄めな印象。
というよりは女性が輝く映画なので、個人的には完璧なバランスだったと思います。
それぞれが立ち位置を理解し、存在感を発揮しながらも必要以上に出しゃばらない。
名俳優ならではのスマートな演技と、その演出を貫いた監督は良い仕事してます。
まとめ
舞台がもう、メチャクチャ美しいです。
ってか天国です。絶対。
ギリシャ・エーゲ海とは本当に素晴らしい場所ですね。
海と空の鮮やかな青、この美しい色彩だけでも一見の価値があるんじゃないでしょうか?
こういった映像面は恐らく舞台、ミュージカルでは演出できないものですから、ある意味では原作を超えているとも言えるわけです。
親子の愛。
男女の愛。
若い友情。
長い友情。
あらゆる「情」に美しい音楽と映像を添えた良作です。
個人的には正直そこまで響きませんでしたが、誰が観ても心地よい、素晴らしい映画なのは間違いないでしょう。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。