アイアンマン


(原題:Iron Man)
2008年/アメリカ
上映時間:125分
監督:ジョン・ファブロー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr/テレンス・ハワード/ジェフ・ブリッジズ/グウィネス・パルトロー/レスリー・ビブ/他

 




 

1963年にマーベル・コミックより生まれたヒーロー「アイアンマン」の実写化作品であり、その後の壮大なシリーズ企画となるマーベル・シネマティック・ユニバースの口火を切った作品でもあります。

そんな重要な位置づけとなる本作の監督を務めたのは現在プロデューサー・監督・俳優として確固たる地位を築いたジョン・ファブロー。

過去の薬物問題で制作側から難色を示されていたロバート・ダウニー・Jrも文句無しの演技を披露し、蓋を開けてみれば当時最先端だったVFXも含め高い評価を受け、今後のシリーズの大成を予感させる素晴らしい出来となりました。

 

 

 

さっくりあらすじ

巨大企業「スターク・インダストリーズ」の社長トニー・スタークは自身が手掛けた新型ミサイルのプレゼンの為にアフガニスタンを訪問するも、テロリスト集団「テン・リングス」に襲撃され意識を失う。

テロリストの基地に拉致されたトニーの心臓付近には爆発で飛び散ったミサイルの破片が食い込んでおり、胸に取り付けられた電磁石が無ければ一週間で命を落とすと告げられる。

基地には横流しされたスターク・インダストリーズの兵器が積み重なっており、トニーは身の安全と解放の交換条件として新型ミサイルの組み立てを要求される。

仕方なしにミサイルの組み立てに取り掛かるトニーだったが、同じく捕虜となっていたインセン博士の協力もあり熱プラズマ反応炉「アーク・リアクター」の開発に成功。

それに次いでアーク・リアクターを動力に動くパワード・スーツを秘密裏に開発するのだが、、、

 

 

 

 

トニー・スターク
傲岸不遜な天才社長

 

監禁場所から脱出するため
パワードスーツを開発する

 

自分の兵器が人命を奪っていることを知り
テロリストと闘う決意をする

 

 

 

 

アメコミに付随した”問いかけ”

強力な兵器を身にまとったスーパーヒーローが世界各地の「悪」を成敗するという、いかにもアメコミ的な作品ではあると言えるでしょう。

しかし、兵器産業により特需を得ているアメリカという大国と、それにより生まれるテロリストやゲリラとの禍根という、実際に現実にある問題を上手いことリンクさせてあります。

コミカルでユーモラスな演出によりライトタッチな仕上がりになってはいるものの、「兵器」というものの意味や価値、ひいては用い方までを考えさせられる深いテーマなようにも感じるわけですな。

 

自らが手掛けた兵器が罪なき人の命を奪っていることを知り、トニーが兵器開発を中止した結果スターク・インダストリーズの株価は暴落します。

当然会社というものは社長のものではなく、一般的には株主や社員のものであると定義されていますし、人を殺める兵器を作り続けることですら経済社会の一端であるわけで。

また、製造ストップしたにも関わらず横流れした自社兵器によりテン・リングスが村を占拠していると聞いたトニーが新作スーツで助けに行くシーンなんかは象徴的で、「武を制するはより強い武」であると端的に表しているようにも感じます。

 

 

シリーズ1作目ということで、財力に恵まれた天才が現実に気づき、ヒーローになるまでを描いた作品でありながらも、シリーズを通してテーマに掲げられる”力の在り方”に対してのアプローチは既に完成しています。

人格的に聖人君子とは程遠いトニー・スタークですが、逆に言えば才能とお金に恵まれただけの等身大の人間臭さこそが一番の魅力と言えるかもしれません。

 

で、トニーを演じるロバート・ダウニー・Jrがとにかくカッコイイんすよね。

もうビジュアルも声質も、飄々としたキャラクター性も、どれをとっても素敵なナイスミドルですな。

 

同時にくっつきそうでくっつかない秘書・ペッパーを演じるグウィネス・パルトロウも本当に素敵。

めちゃくちゃ可愛いし献身的だし、金も才能はおろか女性にまで恵まれたトニー・スタークという人物に対して、羨ましい→所詮映画だからね、、をもう一周してクソ羨ましいですよね。

 

洗練されたボディに搭載された超兵器の数々ですが、それがどうやって生まれたのか?

迫力あるアクションに男心をくすぐるメカメカしい描写、さらに女性心もくすぐるトニー・スタークの魅力と、こういったSFアクションが苦手な方でも入りやすい親切設計ではないでしょうか。

 




 

まとめ

分かりやすい王道的な脚本にテンポ良い演出、現実的で社会的なメッセージも含め非常に丁寧で良くできたエンターテイメントです。

後に続くシリーズも頓挫することなく続いていますが、やはりシリーズ全体を見越した世界観の土台やテーマがしっかりしているこそのMCUなわけですな。

よくあるアメリカ万歳!という内容ではなく、争いに於いての双方の言い分や思想の相違いなど、多角的な面で「正義」を捉えているあたりも評価すべきところでしょう。

 

魅力的なヒーローが数多く参戦するMCUの1番手として文句無し!

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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