(原題:Honey,I Shrunk the Kids)
1989年/アメリカ
上映時間:93分
監督:ジョー・ジョンストン
キャスト:リック・モラリス/マット・フリューワー/マーシャ・ストラスマン/ロバート・オリベリ/エミー・オニール/他
体長6mmになってしまった少年たちによる冒険譚を描いたSFアドベンチャー。
アメリカの特殊効果やVFXを専門に手掛ける会社・ILM(スター・ウォーズ製作のためにジョージ・ルーカスが設立)に所属していたジョー・ジョンストンの監督デビュー作でもあります。
ちなみにジョー・ジョンストン監督自身もスター・ウォーズ/エピソード4~6の特殊効果に携わっており、「レイダース/失われたアーク」ではアカデミー視覚効果賞を受賞するなど、当時としては一流のVFX職人だと言えるでしょう。
映像の進化が著しい現在では古臭い映画に感じるかもしれませんが、子供が夏休みに観るには非常に良い作品だと思います。
さっくりあらすじ
科学者のウェイン・サリンスキーは長年「物体縮小装置」の研究に取り組んでいるものの、実験は失敗ばかりであり、彼が働く大学でも笑いものにされていた。
そんな折、ウェインの隣に住むトンプソン一家はキャンプに出掛ける準備をしていたが、野球の練習をしていた次男のロンが打ったボールがガラス窓を突き破り、物体縮小装置にぶつかってしまう。
ガラスを割ってしまったことを謝罪するため、ロンと長男のラスは事情を知ったウェインの子供ニックとエミーと共に、ウェインの部屋へ向かうのだが、、、
見るからに怪しい研究を続けるウェイン
暴走した装置により体長6ミリに
シリアルの海で溺れる
ミクロな視点のアドベンチャー
まぁ題名のまんま、想像通りのアドベンチャーですが、室内や食器や庭先など、何てことの無い風景が一変して未知の世界に広がるのは何とも興味深い世界観です。
非常に単純な物語であり、誰でも思いつきそうな発想でありながらも節々で感じる独創性や迫力にはジョー・ジョンストン監督のセンスが光ります。
子供向けな作品ではありますが好奇心をそそるようなミクロな世界の広さ、全体的に散りばめられたユーモアなど、大人が観ても十分に楽しめる仕上がりは素晴らしいですね。
ミクロなSF要素が背景となる本作ですが、仕事や研究や趣味に没頭する大人たちが一番大切なものに気づくドラマ性もなかなか素敵。
どこの国でも子供が大事なのは当たり前なんですが、ふと忘れがち、後回しにしてしまう機会も多いのが現実というものです。
アクシデントが続く展開の中で、子供の安全を何よりも願う大人の姿は少しだけ感動しますよ。
子供向けな映画に多数出演している印象が強いですが、リック・モラリスは本当に良い俳優ですね。
ゴースト・バスターズの虚弱な会計士の印象が強いですが、コメディアンとしても俳優としても非常に良いキャラの持ち主です。
本作においても”変人な科学者”という完璧なハマり役であり、彼ならではの魅力を遺憾なく発揮しております。
というか、発明家や科学者=変人という構図は万国共通なんすかね(笑)
あと忘れちゃいけないのが蟻の存在。
最近はヒアリのイメージのせいか少し驚異的な存在になりつつありますが、ミクロ少年たちを乗せて歩く力持ちとして、少年たちの危機を救う恩人(虫)として、とんでもない存在感を醸し出しております。
やや虫が苦手な筆者ではありますが、コレだけは本当に泣ける。
こんなに蟻を大切に想うことはそうそう無いと思います。
まとめ
まさに夏休みにうってつけ、「小さくなったらどうしよう?」と子供の想像力をくすぐる良作だと思います。
狭くも広い世界観、そこで繰り広げられる冒険譚、そして描かれる友情や家族愛など、変則的ながらも王道なストーリーは一見の価値ありです。
CGだけに頼ることなく、精巧に作られた美術造形にも注目してほしいところかな。
古臭い作品ではありますが、できれば親子で楽しんで欲しい映画です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。