(原題:SAW)
2004年/アメリカ
上映時間:103分
監督:ジェームズ・ワン
キャスト:ケイリー・エルウィス/リー・ワネル/ダニー・グローヴァー/ケン・レオン/ディナ・メイヤー/モニカ・ポッター/他
2004年、ソリッド・シチュエーション・スリラーの傑作として彗星の如く現れた本作。
緊張感、罪悪感、残酷さ、どれをとっても非常に斬新で印象的なプロットが素晴らしく、これほどの内容をアジア系監督が作ったということに驚かされます。
監督、脚本を務めたジェームズ・ワン氏はマレーシア生まれのオーストラリア育ち。
低予算のため3週間弱で撮り終えた作品ですが、きちんと中身のある映画を発掘するまともな映画祭、サンダンス映画祭で異常な支持を集め、一躍有名な映画と相成りました。
ちなみにワン監督はホラーやミステリーを得意としているようですが、順調に出世し、後に大作「ワイルドスピード/SKY MISSION」の監督も務めています。
さっくりあらすじ
目を覚ますと老朽化した広い浴室。
アダムとゴードンはそれぞれ足首に鎖を繋がれ密室に監禁されていた、そして二人の間には謎の死体が横たわる。
部屋にはテープレコーダー・「再生せよ」と書かれたテープ・一発の弾丸・タバコ2本・着信専用の携帯電話・そして2本のノコギリが置かれている。
アダムとゴードンはこの異常な状況から、どうやら世間を賑わせている連続殺人鬼「ジグソウ」に拉致されたのだと気付く。
ジグソウは命を粗末に扱う人間を対象に、その大切さを教える名目で命の危険に関わる「ゲーム」を行っているのだが、、、
カメラマンのアダム
ゴードンとは意外な接点がある
医者のゴードン
終盤とんでもないことを、、
ジグソウ
独自のルールを課したゲームを繰り広げる
怖いほど冷静な「計算」
「緻密」という言葉では足りないほどに、細かく積み重ねられた謎と恐怖。
互いにどちらかを殺せば脱出できるという、消極的にならざるを得なくとも、心の中にある最後の希望(絶望か?)
銃やノコギリなど、頼もしいけれども「脱出」には使えないアイテムたち。
生きている実感を感じさせるために残酷なゲームを課すという、理解できるようで意味不明なジグソウの主張。
あらゆる脱出方法を考え、それに対し一喜一憂する観客をも弄ぶかのような演出の妙。
そして最後まで分からないジグソウの正体。
もうね、すごいとしか言いようがないですよね。脱帽。
その上かなり残酷な表現も多いので、思わず目を背けたくなるようなシーンもちょいちょい挟まり、その度に観客の思考がストップする演出も実に見事。
どれをとっても計算され尽した、非常に賢い作りだと思います。
ジグソウがゲームを与えるのは何らかの犯罪者か、命を軽んじた者、自己保身が強く他者を顧みない者などなど。
どのゲームも非常に痛そうor怖そうなものばかりで、相当な痛みを覚悟するか、パニックを起こさず冷静に対処すればクリアできるものではあるものの、、、いや無理だよね。
ちなみにジグソウ本人が殺人に手を染めることはありません。
それ故か、彼の言い分では「ゲーム」で死亡するのはあくまで本人の意思なんだそうです。
実際メチャクチャ怖い話ですよね、因果応報の究極系ですよね。
実在したら筆者はタバコ止めます、マジで。
個人的につらかったシーンとして、とある理由で自分を見失ったゴードン医師は己の足首を斬りおとします。
このシーンがもう、アダムは取り乱してギャンギャン泣きわめくし、出血のせいなのかゴードンの顔色がヤバいことになってるし、、
当たり前ですが、偽物の足を斬り落としているわけですが、マジで迫真の演技。
ちなみにアダムを演じているリー・ワネル氏は本作の脚本を担当しており、その後もシリーズの脚本担当&製作総指揮&俳優として参加してます。
まとめ
低予算、という制限は時として新しいものを作る糧になります。
人の心理を逆手に取りまくる脚本、作品の7割を占める2人芝居、そして密室。
犯人の全体像が見えないもどかしさ、協力し合う2人の疑心暗鬼、そして常に漂う緊張感は何ともクセになるものです。
謎を解決し、新たな謎を呼ぶ作品としてシリーズ化したため、最終的には尻すぼみになってしまった「SAW」シリーズですが、本作に限っては間違いなく傑作だと思います。
残酷な描写ばかりが注目されがちではありますが、そこには目を瞑って、グロが苦手な人にも挑戦してほしい作品です。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。