(原題:Aliens)
1986年/アメリカ
上映時間:137分
監督:ジェームズ・キャメロン
キャスト:シガニー・ウィーバー/マイケル・ビーン/キャリー・ヘン/ランス・ヘンリクセン/ビル・パクストン/ジェニット・ゴールドスタイン/他
SFホラーの金字塔となったリドリー・スコット監督の前作に変わり、本作は「ターミネーター」で一気に有名になったジェームズ・キャメロンが監督・脚本を務めます。
前作でのサスペンス・ホラーなテイストから一変し、今回は謎の生物・エイリアンと真っ向からの勝負を挑むアクション・ホラーに姿を変えました。
良くも悪くも派手で印象的な描写が多く、「エイリアン」といえばこの2作目のシーンが頭に浮かぶ人が最も多いと思われます。
所詮は好みの問題ですが、1作目に魅入られたファンからは否定的な意見が多い反面、キャメロン監督作品を好む方にはど真ん中で面白い作品となっております。
ちなみにエイリアン・クイーンのお披露目となった作品でもあります。
さっくりあらすじ
ノストロモ号の惨劇の唯一の生存者エレン・リプリーの搭乗する脱出艇は地球周回軌道上で回収され、リプリーは長期間の冷凍睡眠から目を覚ます。
しかしウェイランド・ユタニ社のバークにより、リプリーは57年もの間を宇宙で漂い続け、当時11歳だった娘のアマンダは既に亡くなっていたことを伝えられる。
社で開かれた査問会ではノストロモ号を爆破した責任を追及され、「エイリアン」の存在を訴えるも誰一人として耳を貸さず、リプリーは精神異常として航海士の資格を剝奪されてしまう。
小惑星LV-426は多数の入植者が居住していたものの、現地からの連絡が途絶え、消息不明157名の調査のため海兵隊が派遣されることになった。
航海士資格の再交付を条件に、アドバイザーとしてリプリーにも派遣要請が舞い込むのだが、、、
今度のリプリーは闘うよ
ロマン溢れるマシンも登場
入植者救出のため、任務に挑む海兵隊
個人的にはバスクエスが好き
アンドロイドのビショップ
ある意味で一番の存在感
強く勇敢な女性像
いち登場人物風な扱いだった前作とは異なり、本作からはエレン・リプリーが明確な主人公となり活躍します。
唯一エイリアンの恐ろしさを体験した生存者として、また知らぬ間に娘を亡くしてしまった母として、危険な状況でも冷静さを失わない精神力、エイリアンと退治してすぐに退路を探す賢さ、屈強な海兵隊にも劣らない勇敢さが際立って描かれています。
LV-426での唯一の生存者である少女・ニュートに対しては恐らく、どこか亡くなった娘を重ね合わせているかのような雰囲気があり、どんなに危険な状況でもニュートの救出を諦めない”強靭な母性”も感じますね。
またエイリアン側も卵を産み、言うなれば我が子に対して脅威になる人間を排除する立場として、同じく母であるエイリアン・クイーンの姿も描かれます。
言わば子供を守る母vs母ということで、種族の枠を超えたスーパーバトルが最高の見せ所と言えるでしょう。
前作に比べ起伏が激しく、近未来的な重火器や装甲車、エイリアンのテリトリーに踏み込んでいく緊迫感、打算的な人間の醜さ、前回ひどい目に遭わされたアンドロイドへの不信感などなど、アイデアも多岐に渡り飽きることがありません。
特に迫力満点の重火器の音や、徐々に狭まっていく探知機の機械音など、視覚と聴覚を刺激するエンターテイメント性の強化が最も前作と異なるところでしょう。
こういった娯楽作品としての仕上がりにアレルギーを出すファンも多いようですが、すでに怪物としての恐ろしさが判明している土台があるため、派手さで作品の奥行きを広げたのは個人的には良い判断だなと。
閉鎖空間の中でサスペンス調にすると同じ仕上がりになっちゃうしね、シリーズ内での差別化としては完璧に近いのではないでしょうか。
作品の特性を理解した上で、異なるアプローチで優れたエンターテイメントに仕上げたキャメロン監督の手腕は素直に評価されるべきですな。
本作に於いて輝くのはアンドロイドのビショップの存在。
良い意味で人間味を感じさせない無表情な風貌、かつて襲ってきたアンドロイドを「不良品」の一言で片づける感情の無さ、どこか信用の置けない飄々とした態度など、人間とは違うアンドロイドの存在感があります。
しかし「恐怖を感じる」と発言したり、最後の最後まで仲間を助けるために奮闘したり、その独特のビジュアルもあって愛すべきキャラへと変貌を遂げております。
序盤で披露されるナイフのシーンは一切の編集や加工を加えず、とんでもない芸を披露してくれますよ。
まとめ
非常にタフで見応えのある、まさに金字塔の続編に相応しい素晴らしい完成度です。
賛否はあるにしても一級のエンターテイメントであることに間違いはありません。
恐らくはシリーズで最も有名な作品ですし、一度は観て損はないでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。