
暁星記
1999年~2008年
作者:菅原雅雪
モーニング(講談社)
全8巻
かつてモーニングで連載されていた、未来系SFミステリー漫画。
遠い未来の技術と原始時代を組み合わせたような、独自の世界観が特徴的です。
絵柄もまた独特なものであり、特異な世界観も含めて万人向けな内容とは言い難いところではあります。
しかし深みのあるストーリーと、生命や魂をテーマにした哲学性はのめり込ませるだけの魅力があります。
さっくりあらすじ
スズシロの村の若衆は狩りの途中、シシザルの群れに襲われる。
ヒルコの活躍により撃退するが、その強さに目をつけた精霊は自分の計画にヒルコを利用するため付きまとうことになる。
その後、近場の村の会合に参加するヒルコだが、警備の薄くなったスズシロの村は襲撃を受け壊滅状態に。
死んでしまったスズシロの大爺の魂を探すためヒルコは地獄へと降りることになるが、その一連の行動を遠めに監視する「管理人」の姿があった、、、
主人公・ヒルコ
哀しい運命に生まれ
壮大な宿命を背負う
まとめ
稚拙な説明文で申し訳ないですが、これでもかなり具体的に書いているつもりです。
でもまぁ、意味分かんないよね(汗)
というのもこの作品は舞台設定が複雑で、触接的に物語の根幹に関わります。
専門用語(というか土着の言葉?)のような独特の表現があり、さらにストーリーは一貫せているものの、最初と最後で展開が大きく異なるという難しい内容です。
そもそも舞台が地球から遠く離れ、尚且つ馴染みの無い金星が舞台になります。
未知の星で描かれる物語には数々の伏線が張り巡らされており、一気に解き明かしたくなる欲求が生まれる魅力的なプロットなんですな。
何故人類が金星に住んでいるのか?
どうやって金星が生活できる星になったのか?
「管理人」とは何者なのか?
等の難解な内容と、そもそもの世界観の把握には時間を要するものでしょう。
ついでに言えばスクリーントーンを使わない独特な絵柄もあって、初見はとっつきづらいと思います。
しかし見事に回収されて行く伏線や、終盤に向けて収束していく物語は極めて魅力的なもの。
作中で描かれる金星での生活や複雑な人間の歴史など、まさに宇宙規模の壮大なストーリー展開は興味深く、グイグイ引き込まれる懐の深い漫画です。
超科学と文学とスピリチュアルが混在するような奇作なので、人は選ぶ作品ではあります。
ぜひ一度御覧くださいませ。
おまけ
金星は地球に似ているんだそうで”姉妹惑星”とも呼ばれています。
とはいえ、平均気温が460℃くらいなので、現実的に(あくまで机上の空論ね)考えると地表に住むのではなく、上層にローティングシティ(ドーム状のコロニーが大気中に浮いてるヤツ)を作るのが最も実現できそうなんだとか。
ロマンですなぁ。