
(原題:The Amazing Spider-Man)
2012年/アメリカ
上映時間:136分
監督:マーク・ウェブ
キャスト:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/リス・エヴァンス/デニス・リアリー/マーティン・シーン/サリー・フィールド/イルファーン・カーン/キャンベル・スコット/他
全6部作になる予定だったサム・ライミ版スパイダーマンが諸事情により3部作で完結。
新たにキャスト、脚本、設定、世界観を練り直し、文字通りリブート作品として公開された”新生スパイダーマン”となります。
監督を務めたのはマーク・ウェブ氏、元々はMVの監督でしたが初めて長編映画監督を務めた「500日のサマー」が非常に高い評価を得ました。
前シリーズ同様に一般人としてのピーターの苦悩や、ヴィランたちの心理背景などを描きながらも新たなスパイスを継ぎ足した本作。
ピーターの性格改変、初代ヒロインのグウェンの存在(M・Jは2代目)、ウェブシューターの開発など、過去作とは異なるエッセンスを盛り込んであります。
より原作に近い描写がされている一方で、ピーターの両親の死に対する謎など、ミステリータッチな演出も特徴的か。
そんな流れの新シリーズは全4部作であると発表され、複数のスピンオフも企画されるなど、製作側の気合は相当なものだったのでしょう。
それにも関わらず、タイミング的に時代の波にも恵まれずに衰退してしまうのであります。
さっくりあらすじ
幼い頃に天才科学者だった両親を亡くし、叔父に引き取られ育ったピーター・パーカー。
高校生になったピーターは父の形見である鞄の中にオズコープ社の極秘資料を発見し、ラボに届けに行くも実験対象の蜘蛛に噛まれてしまう。
そうして得た強大な身体能力に有頂天になるピーターだったが、ある晩それを咎めたベン叔父さんと口論になり、自分が故意に見逃した強盗に叔父が殺されてしまう。
叔父の死をきっかけに、ピーターは自身の力を正義のために使うことを決意し「スパイダーマン」として活動し始める。
その頃オズコープ社の科学者カート博士は、自分の体を対象に人体実験を施し異形の怪人へと姿を変えていた、、、
新ピーター、天才発明家
どう見ても科学オタには見えない
初代ヒロインのグウェン
こっちも天才
本作のヴィランである怪人リザード
「トカゲは人間より優れている」そうです
そんなバキ的思想を持つ科学者
「ギャップ」
リブートするに当たりキャラの改変は仕方ないものですが、長身・イケメン・最初から強い正義感・スケートボーダー・プレイボーイ肌・科学の天才などなど、、
どう考えても、どーう考えてもスクールカーストの頂点にいなきゃおかしいキャラ設定に違和感が全開です。
サム・ライミ版が人の内面や感情を深く描写するのに対し、ライトな作風を狙ったんだと思います。
ですが前シリーズとのギャップが大きいだけに、個人的には新ピーターのキャラクター性をすんなり受け入れるのが難しいですね。
軽口を叩きながらコミカルに相手を叩きのめす姿はかなり原作に近いので個人的には好印象ですが、「やっぱりリブートするには早すぎたんじゃないのかなぁ」という気持ちが拭えません。
ヒロインもキルスティン・ダンスト演じるM・Jからエマ・ストーン演じるグウェンにバトンタッチ。
M・Jに比べて、よりヒロインぽくなったのは一般的に良いと受け止められたのではないでしょうか。
ただロマンス映画で有名になったマーク・ウェブ監督だけに、ロマンスシーンが少しくどいしクサいかな。
エンターテイメント性を求めているので、甘ったるい恋愛はもう少し控えめにしてほしいと思ったのが正直なところ。
当時はアンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンがプライベートでもお付き合いしていたのが話題になりましたが、企画が消滅したのと平行して彼らの関係も消滅。
スター同士のお付き合いは難しいものですな。
ヴィランの”リザード”ことコナーズ博士も悪い人ではないという前置きがあるんだけど、何でもかんでも”メンタル的な暴走”のせいにするのもワンパターンで少し飽きてきたところ。
新シリーズの象徴として印象に残るような、絶対的な悪としての存在感が欲しいような気もします。
まとめ
良く言えばベタなアメコミの、ライトタッチでお手軽な展開。
人の内面や苦悩を掘り下げすぎたサム・ライミ版と比べてエンターテイメント性は確実に高まっています。
しかしやはり時間の問題というか、サム・ライミ版の延長として観てしまう傾向があるせいか、前シリーズと比べると脚本的な重さにはかなり欠けているのが露呈してしまうのが悲しいところか。
あと内容が薄いわりに長い。
とはいえアクションシーンは非常に優れているので、旧シリーズを未見の人はかなり楽しめる内容じゃないでしょうか。
2作目への可能性は十分に残した初作だと思います。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。