(原題:Marvel’s The Avengers)
2012年/アメリカ
上映時間:143分
監督:ジョス・ウェドン
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr/クリス・エヴァンス/マーク・ラファロ/クリス・ヘムズワース/ジェレミー・レナー/スカーレット・ヨハンソン/トム・ヒドルストン/サミュエル・L・ジャクソン/他
MCU6作目にして、マーベル・コミックのヒーロー達が集結したメモリアルな作品。
2005年に企画されたシリーズとして、豪快な番宣とも言える主要キャラクターの単体作品はそれぞれ成功を収め、いよいよ全員集合が実現しました。
興行作品としての規模の大きさ、サイエンス・フィクションとファンタジーの融合、そして壮大な物語の始まりとして、これほどに映画で興奮したのは久しぶりだった気がします。
平和を守るヒーロー達という極めてありふれたテーマでありながらも、究極のファンサービスと言っても差し支えないこの内容は世界中で大ヒットを記録しました。
さっくりあらすじ
神々の国・アスガルドから宇宙空間へ飛ばされたロキだったが、地球侵略を狙う宇宙民族・チタウリと手を組み、コズミックキューブの奪取を目論んでいた。
地球では70年前に海に沈んだコズミックキューブを回収し、S.H.I.E.L.Dがエネルギーの研究を行っていた。
しかし突如としてキューブのエネルギーが増大し、召喚されたロキはホーク・アイの精神を支配し、そのままキューブを奪っていった。
S.H.I.E.L.D長官のヒューリーはすぐにブラック・ウィドウに連絡、ブルース・バナー博士(ハルク)を説得し、キューブ追跡の協力を要請することに。
更に氷の中から救助されたスティーブ・ロジャーズ(キャプテン・アメリカ)と、トニー・スターク(アイアンマン)にも協力を要請し、ロキの後を追うのだが、、、
全員集合!!
今回の黒幕・ロキ
コメディ・リリーフへまっしぐら
個人的にはホーク・アイが一番好き
お祭りだぜ!
金持ちな天才社長・愛国心に燃える超人兵士・雷神様・緑の怪物・美人スパイ・百発百中の弓の名手と、いよいよ「アベンジャーズ」の結成でございます。
本作の何が凄いって、キャラクターの割り振りが完璧なんですよ。
一応は謎のエネルギー体”キューブ”を巡る物語があるわけですが、そんなものは脇に置いておきましょう。
冒頭のアイアンマンvsソーとか、中盤のソーvsハルクとか、そして終盤の決戦とか。
適度に高揚感を刺激する魅力的な対戦カードがあり、またその全てが満足いくほどに充実しているわけで。
各々に見せ場があり、満遍なく、偏り無く適材適所で戦う演出は極めて高いバランス感覚で完成しており、思い入れのあるキャラも無いキャラも、皆が満身創痍で戦う姿が感動を呼ぶわけですな。
端的に言えば、チャオズとヤムチャにもしっかりと活躍の場があるってことですな。
文字通り主役級の登場人物を並べ、どのキャラクターの魅力も損なわないように気を使いながらも、予想を上回る大迫力の映像で楽しませる緻密な計算が伺えます。
ド派手に、ダイナミックに、ファンサービスも含め娯楽映画として最高峰のレベルにあるのではないでしょうか?
そうした各キャラクターの立ち位置は物語の構成にも存分に活かされています。
明らかに最強候補のハルク・アイアンマン・ソーは専ら戦闘用員として、逆に戦闘力で劣るキャップ・ブラックウィドウ・ホークアイはドラマ用員として、各々が物語の構成を担います。
映画を作る上での複雑なプロットはこうして完成されており、非常に緻密な計算の上で成り立つ”娯楽性”が垣間見え、いかに練りこまれた作品なのかがよく分かりますね。
単なる娯楽映画に留まらない深い魅力は、こうした丁寧さから生まれるわけです。
とはいえ、最大の見どころは爽快感溢れるアクションシーンに他なりません。
ロキが暗躍し、地球への侵攻を進める異星人相手に大立ち回りを展開するアベンジャーズの面々ですが、とにかくハルクが超強い。
マーク・ラファロ演じるブルース・バナー博士は気弱で温厚な性格の持ち主故に、どこか頼りなく戦力としての不安がつきまといますが、怒りを解放した際のパワーが圧倒的で実にカッコいいっす。
タイマンもさることながら、多数を相手にした際のアイアンマンの汎用性も目を引きますし、ハンマー片手に雷を放つソーも抜群の存在感を誇ります。
そうしたクセの強すぎる仲間に指示を出すキャップも素敵だし、ガチで百発百中の矢を放つホークアイも素敵だし、ボロボロになったブラック・ウィドウも可愛いし。
全員が主役級なだけあって、全ての登場人物が魅力的に見えるのは凄いことですよね。
ついでにある程度の社会風刺も盛り込み、主義主張の異なる正義がまとまり、より大きな悪を討つという物語は少々考えさせられるところもあります。
それぞれの掲げる”正義”や”平和”という概念は決して一枚岩なわけではなく、とりあえず敵が来ちゃったから手を組んだだけであって、この些細な綻びは後の物語として引き継がれることになります。
まとめ
総じてマーベル・コミックという文化が現代の映像技術で映画となり、異なる価値観や背景を持つキャラクターが肉付けされ、所狭しと動き回る姿はそれだけで感動を呼びます。
例の如く、興味の無い人は全く興味の湧かないジャンルであり、所詮は娯楽作品であります。
しかしこれほどに密度が濃く、これほどに胸が躍る作品はそう多くはないのも事実でしょう。
先にこちらから入るのも良いと思います。
ここから興味を持ち、個々の作品に行くのも全然アリでしょう。
歴史あるマーベルが、威信を懸けて作った特別なお祭り映画です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。