(The Moment of Truth/The Karate Kid)
1984年/アメリカ
上映時間:127分
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
キャスト:ラルフ・マッチオ/ノリユキ・パット・モリタ/エリザベス・シュー/ウィリアム・ザブカ/マーティン・コーブ/他
ジャッキーも悪くないけれど、ノリユキ・パット・モリタあってこそのベスト・キッドでしょ。
というわけでジェイデン・スミスとジャッキー・チェン共演の中国武術版リメイクが記憶に新しいところですが、今回は原作の空手青春映画です。
気弱でひ弱な白人青年が日系人に空手を教わり、強さと絆を得ていく物語はアクションと言うよりはヒューマン・ドラマに近いもの。
80年代のレトロな雰囲気、空手を通して描かれる人間的な成長。
「強さ」とは?「弱さ」とは?
大切なことだけれども教えるのは難しい、そんな心の教育に訴えかけてくる作品だなと思います。
さっくりあらすじ
内気な少年・ダニエルは母の仕事の都合で引っ越すことになった。
新たな環境では友達にも恵まれ、参加したパーティーでは裕福な少女・アリと出会い恋仲になるものの、その現場を目撃した不良グループに目をつけられ叩きのめされてしまう。
グループのリーダー格であるジョニーはアリの元恋人であり、空手大会のチャンピオンだった。
友達に対し「空手をやっている」と語ったダニエルの弱さに辟易した友達は彼の元を去り、その後はジョニーを筆頭に不良グループからイジメを受けることになる。
仲良くしてくれるのはアリとアパート管理人の老人・ミヤギだけという日々の中、ダニエルはジョニーに仕返しを試みるも失敗、逆にリンチされる羽目になる。
しかし、そこに現れたミヤギはあっという間にジョニー達を倒してしまい、彼が空手の達人だということが判明するのだが、、、
ダニエルとミヤギの邂逅
ワックスかけるー♪
真似した人も多いのでは
鶴の舞ー♪
真似した人ry、、
爽やかな成長
青春・絆・空手道。
人種や文化の壁を越え成長していく様は実に清々しく、ジャンプで連載してもおかしくない程の王道な成長譚と言えます。
空手の基礎を身に着ける方法のユニークさ、勝つことよりも大事な過程があるという教え、これはぜひとも子供に見せてあげてほしいものです。
ただドラマ部分に重きを置いた作品なので、派手なアクションを期待すると肩透かしをくらいますので、あしからず。
これは空手の技術や演出を魅せるためのツールではなく、あくまで武道が持つ精神性にスポットを当てたからだと思われます。
修行の演出も非常に滑稽なものであり、いちいちツッコんでたらキリがないものですが、逆にこの胡散臭さが良い味になり非常に印象深いものになっております。
本作において特筆すべきはパット・モリタ氏の存在。
空手の達人でありながらも勝ち負けでの価値観を良しとせず、心の強さが大事だと訴える老人・ミヤギとしての存在感は抜群です。
大戦中の日本人の悲しみに触れる点もあり、実際に収容所で過ごした経験があるモリタ氏の”深み”から生まれる表現は正に彼ならではのものでしょう。
むしろダニエルの成長を通じて描かれたミヤギの人生を観る映画なのかもしれません。
ちなみにパット・モリタ氏ですが、本名は森田則之さん。
いわゆる日系二世の俳優で70~90年代に活躍し、2005年に73歳で亡くなりました。
合掌。
主人公・ダニエルを演じるラルフ・マッチオも分かりやすい美少年といった感じで、何とも”主人公”っぽいイケメンです。
実は当時22~23歳だったそうですが、異常に若いですよね、どう見てもティーンエイジャーです。
このシリーズ以降はヒット作に恵まれず埋もれてしまったようですが、50代半ば(2017年現在)にしても変わらず若々しさを保っております。
そして監督のジョン・G・アヴィルドセン。
言わずもがな、名作「ロッキー」でも監督を務めたジョン氏ですが、低予算×青春映画を作らせたら右に出るものはいませんね(笑)
ただし、ヒット作を生み出す手腕が評価される一方でゴールデンラズベリー賞でのノミネート常連でもあり、良くも悪くもムラのあるお方ですな。
まとめ
テンポ良く、シンプルで分かりやすく、後味スッキリ。
先述したようにツッコミどころの宝庫ではありますが、本作に関してはそんな些細なことは気にならない魅力が溢れています。
古臭い考え方ですが、やはり男の子は強くあるべきで、また強さとは何を指すのかを教えてくれます。
武道とは人を活かすためにあるもの。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。