(原題:HIP HOP-ERATION)
2014年/ニュージーランド/アメリカ
上映時間:94分
監督:ブリン・エバンス
キャスト:ヒップ・オペレーション・クルー
ドキュメンタリー映画というのは基本的にシンプルなものですが、これほどに魅力的なシンプルさはなかなか出てこないものだと思います。
平均年齢83歳、ニュージーランドで余生を送るジジババがヒップホップ・ダンスでラスベガスのダンス選手権出場を目指すというお話、しかもこれが実話というか、まさかのドキュメント映画なんだから驚きです。
このトンデモ企画は瞬く間に広がり、米国のニュースや雑誌で取り上げられアメリカ全土でジジババ旋風を巻き起こしたそうな。
何かに秀でていたわけでなく、有名になるようなことを成し遂げたわけでもなく、いわゆる「普通」の人生を歩んできた老人たち。
そんな彼らの無謀とも言える挑戦は人の心を打ち、映像作家や作曲家、ダンサーの協力のもと、”ラスベガスで踊る”という夢物語を現実に、そして感動を呼び起こす映画にまでなってしまうというまさに「奇跡」の作品です。
世代を越えた付き合い、純粋にダンスを楽しむ心、何かを学ぶ喜び、挑戦する勇気、人生において何が大切なのかを教えてくれる映画と言っても良いのではないでしょうか?
実際にニュージーランド、アムステルダム、著名なサンタバーバラ国際映画祭など、世界各国で上映オファーが殺到し、また多くの賞を獲得したとして高い評価を得ているようです。
最高齢は実に94歳!転んだら死んでしまいそうな、観ているこっちがヒヤヒヤするような老人たちですが、自分たちが触れなかった新しい世代の音楽やダンスに触れ、「今が一番楽しい!」と言える彼らの姿は本当に素敵で、むしろ羨ましくさえ感じるほど。
実際の撮影では監督も製作陣も「ラスベガスに辿り着くまで生きていられるのか?」とかなり後ろ向きなところからスタートした模様(笑)
30歳も中盤に入り歳を重ねることに少しずつ後ろ向きになっていた筆者ですが、価値観が180°変わりそうな、日常から一歩だけ踏み出す大切さを感じさせます。
「生きる喜び」を忘れがちな現代社会、たまにはこんな映画も良いものですよ。
チャレンジ精神に溢れるジジババと監督に敬意を表し、観に行きたいと思います。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
8月27日(土)シネスイッチ銀座で公開。