2012年/日本
上映時間:128分
監督:三池崇史
キャスト:伊藤英明/二階堂ふみ/染谷将太/林遣都/浅香航大/水野絵梨奈/KENTA/山田孝之/平岳大/他
当時AKBメンバーだった大島優子の「この映画嫌い」発言にて、これ以上ないCMパフォーマンスを得たサスペンス・スリラー。
見るからに先生が生徒をぬっ殺していくんだろうなと予想していたものの、想像以上に予想通りだったので何ともリアクションに困った作品でもあります。
残酷な描写や血しぶきが苦手な人から見れば、目を覆いたくなるような演出が多く、その手の映画経験値が豊富な人から見れば欠伸が出るような退屈な演出です。
女優を目指していたはずの大島さんですが、この程度の映画で観てられないと言うのであれば、残念ながら女優としての適正は皆無と言わざるを得ません。
その程度の演出です。
さっくりあらすじ
英語と学級指導を担当する高校教師の蓮実聖司。
絶大な生徒の人気を誇り、PTAや教員の信頼を得る蓮実だが、彼には他者への共感が欠けている”反社会性人格障害”を抱える秘密があった。
彼の人生の障害になり得る者は容赦なく排除し、偶然を装い次々と人を殺して行く蓮実。
ちょっとしたミスから、関係を持った生徒の安原に秘密の一端を知られてしまい、自殺に見せかけて彼女も殺害する。
しかし犯行現場に別の生徒がやってきてしまったため、仕方なく殺害。
死体の始末をどうするべきか迷う蓮実。
そして彼が出した答えは学校中を死体で溢れさせ、クレー射撃の趣味を持つ教員の久米に罪をなすりつけることだった。。
絵に描いたような清廉潔白な教師
蓮実聖司
正体は人を殺すのに躊躇が無い
サイコパス
映画にする意味
映画を観た当時は原作を読んでいなかった筆者ですが、相当な改変がされたであろうことはよく分かりました。
脚本のぶつ切り感とつなぎ合わせ感が満載で、残酷な演出をすることだけにフォーカスされているからです。
濃い内容の原作を2時間で切り取るので多少は仕方ないことですが、蓮実聖司の正体に感づいた釣井先生が親切に解説してくれるシーンは個人的に興ざめ。
サイコパスの恐ろしさや脅威を口頭で説明されても、、、ねぇ?
もう少し他に演出の仕様は無かったのかとため息が漏れます。
山田孝之演じる柴原先生のシーンなんかは映画としては意味不明で不必要、もっと省けたはずだし蛇足が多い印象。
ついでに売り出し中であろう若手の俳優のカットを不自然にねじ込んできたり、尺の使い方にも疑問が残ります。
こんなだったら無理して映画化しなくてもいいのになと、そんな気持ちが頭をよぎりますね。
猟銃を持った殺人鬼に唯一対抗できそうだったアーチェリーの少年も、、、ねぇ?
競技とはいえ「弓」という武器の練習してる割には叫んでるし、下から上に撃つし、本気で倒すつもりがあんのか?と聞きたくなるくらい。
普段はこの手のツッコミ所には寛容な筆者ですが、あまりにも露骨な見せ場にはやや嫌悪感を感じますね。
淡々と生徒を撃ち殺していくシーンなんかも単調で長く感じます。
慎重で計算高く、邪魔者を排除し続けてきた蓮実が自分勝手に悩んだ末に「全員殺しちゃお!」と開き直る爆発力が最大の見せ場だけに、その温度差が少し足りなかった印象。
結果的にメリハリの少ない単調な仕上がりになってしまいました。
そんな中で、唯一面白く感じたのは伊藤英明氏の存在感。
「海猿」で爆発的な人気を博した、マッシュルームこと伊藤英明氏。
物腰が柔らかく実直な蓮実先生は非常に魅力的で、自分が学生だったら普通に慕っていたかもな、と思わせるような魅力があります。
男の僕でさえそう思うんだから、女子中学生や高校生なら黄色い声を上げるんだろうなぁ、と。
むしろ先生に恋焦がれても不思議じゃないほど素敵な大人に見えるんです。
そんな蓮実先生が顔色ひとつ変えず、「モリタート」を口ずさみ生徒をぬっ殺していく姿は本当に怖い。
この作品が面白いと感じたのは伊藤英明のおかげと言ってもいいくらい。
まとめ
兎にも角にも伊藤氏のハマり具合でイーブンに戻せた作品。
見所があるようで無いような、結果的に血しぶきが舞い上がる残酷シーンだけがフォーカスされたような作品だという印象。
特別オススメはしませんが続編を匂わせる終わり方といい、観て損のない映画ではあると思います。
あと蓮実先生が口ずさむ「モリタート」と言う曲、耳について離れなくなるのでご注意ください。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。