(原題:Moana)
2016年/アメリカ
上映時間:113分
監督/脚本:ロン・クレメンツ/ジョン・マスカー
キャスト:アウリイ・クラヴァーリョ/ドウェイン・ジョンソン/テムエラ・モリソン/ニコール・シャージンガー/レイチェル・ハウス/他
ディズニーが送る、フルCGのファンタジー・アドベンチャー映画。
ハワイを舞台にしたであろう異常に美しいCGアニメーションや、主題歌「How Far I’ll Go」がアカデミー主題歌賞にノミネートされるなど、日本では公開前から話題となっておりました。
美しくも恐ろしい自然の脅威、ご先祖様が残した勇気、家族との深い絆を描いた作品でもあり、耳に残る音楽がどこかミュージカルを感じさせる演出は極めて高い完成度を誇ります。
笑いあり、涙あり、そして迫力満点のアクションシーンは非常に素晴らしく、これは一見の価値ありです。
さっくりあらすじ
女神ティ・フィフィの”心”には「命」を創造する力があり、海しかなかったこの世界に島、植物、動物を誕生させた。
それ故にその力はあらゆる”悪”の標的となり、ある時に変幻自在の半人半神マウイにより”心”を盗まれてしまう。
ところがマウイは逃げる最中に怪物テ・カァに襲われ、ティ・フィフィの心と自身の武器「神の釣り針」を海底に落としてしまい、またティ・フィフィの”心”が無くなったことで世界は闇に包まれ始めた。
幼い頃に海と”出会った”モアナは村を導く跡取りになるべく、海に出ることを禁じられた身であった。
しかし、世界を闇から守ることを運命づけられたモアナはティ・フィフィに”心”を返すため、伝説の英雄・マウイを探す旅に出るのだが、、、
村を導く立場にいるモアナ
世界を救う冒険に出る
半人半神の英雄・マウイ
武器は”神の釣り針”
突如として現れた怪物テ・カァ
世界は緩やかに破滅に向かう
別格の芸術性
最近は日本のアニメも海外でヒットし、内容だけでなく映像面でも勝負できるクオリティを誇っていますが、やはり世界の壁は厚いですね。
画面に映る全てのものは文字通り”命”を吹き込まれたかのような美しさ。
CGで作られたものとは思えないほどの質感で、特に水・植物・石の造形は芸術レベルのクオリティであり、変な言い方ですが本物よりも綺麗に感じます。
そしてそんな美麗な映像表現だけでなく、ちょくちょく挟まるセルアニメとの組み合わせが非常に独創性の高い神話の世界にピタリとはまり、アニメという枠を越えたエンターテイメントとして成立しているわけですよ。
「アナ雪」や「ズートピア」など最近のディズニーアニメは”恋愛要素”が薄い傾向にあるような気がしますが、本作に限っては皆無です。
これはかなり珍しいことであり、男女のバディ・ムービーでありながら「仲間としての絆」以上に発展しない展開は極めて稀なことでしょう。
強いて言えば”家族愛”がテーマとして描かれているものの、どちらかと言えばモアナという少女を通した冒険譚としての面が非常に強めです。
監督を務めたロン・クレメンツ氏、ジョン・マスカー氏は二人ともジョージ・ミラー監督の大ファンなんだそうな。
それ故に「マッドマックス」に影響を受けたであろう、印象的なシーンが散在しております(笑)
しかし優しく、美しく、時として苛酷にもなる海を舞台にした物語としては良い意味で噛み合っており、これ以上ない娯楽活劇として完成しています。
嫌味な言い方をすればディズニーらしさに欠けるとも言えますが、同じ土俵で昇華し続けるのではなく、異なる土俵で進化し続けるディズニーの姿勢には頭が下がるばかりです。
あと海外ではともかく、日本で公開されるアニメとして、これほど「タトゥー」にフォーカスした作品も珍しいですね。
何かと言えば敬遠され、嫌われ、疎まれる入れ墨という文化ですが、ポリネシアの文化では入れ墨は非常に重要な意味を持ちます。
もちろん日本のタトゥーとは全然別物であることは理解していますが、こういった表現が毛嫌いしている方々の理解に繋がると良いなぁーとは思いますね。
モアナが海に出てからが物語の本番なので、登場人物は意外と少なめなんですが、その分どのキャラクターもきちんと構成され魅力に溢れています。
赤ちゃんモアナの可愛さは異常でマジ超可愛いっす、こんな娘がいたら親バカ確定でしょう。
さらに陽気でいい加減、でもどこか影を感じるマウイのキャラも素敵です。
しかし、個人的にヒットしたのがモアナのおばあちゃん。
モアナの事を最も理解し、導き、ピンチを助けてくれるスーパーばあちゃんは本当に素晴らしく、ある意味で一番印象深かったキャラクターです。
ついでに鶏のヘイヘイも良いですね。
ディズニー公式認定の「最もおバカなキャラクター」とのことですが、つらい旅のお笑い要因として、またモアナを助けるサポート役としての存在感が抜群です。
まとめ
予告を見た時点で結構期待していたので、筆者的にハードルを上げて臨んだ本作ですが、文句無しで期待以上の面白さです。
物語の展開、迫力あるアクション、思わず笑えるコミカルさ、感動を誘う映像表現など、どれを取っても素晴らしいとしか感想が出てきません。
話題になった歌も非常に良いものでした。
ここまで手放しで褒めちぎることは珍しいですが、これは間違いなく名作です。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。