機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

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1988年/日本
上映時間:120分
監督/脚本:富野由悠季
キャスト:古谷徹/池田秀一/鈴木洋孝/広森信吾/榊原良子/丸尾知子/弥生みつき/安達忍/川村万梨阿/山寺宏一/他

 




 

日本サンライズが誇る、ロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」

世代を越え形を変え、今なお愛されるアニメシリーズとして有名な本作ですが、その中でも「劇場版・機動戦士ガンダム」の完結編として、そしてシリーズの顔であったアムロとシャアの因縁に決着をつけた作品として描かれています。

ちなみにごく一部ではありますが、当時まだ珍しいCG技術を組み込んだ作品でもあります。

 

歳の離れた兄の影響でVHSの初代ガンダムシリーズが家に完備してあったため、子供の頃の夏休みに何度も繰り返し観ていた記憶があります。

その割には記憶が曖昧で、ところどころ忘れているところも多いんですけどね。。

 

宇宙世紀という舞台の上で、カッコいいロボットデザインと人間的な成長模様を深く描いた本シリーズ。

主人公のアムロをはじめ、数えきれないほどに個性の強いキャラクター達が現れては散っていく悲壮感、大量の犠牲者を出してまでも譲れない信念、戦争と言うものが生み出す禍根などなど。

シリーズを通して表現されてきた、戦いを続ける人間の業。

その結末の一つとして、完成した本作はエンディングを含めメチャクチャ感動したような思い出があります。

 

 

 

さっくりあらすじ

宇宙世紀0093。

長らく行方不明だった、キャスバル・レム・ダイクンことシャア・アズナブルはネオ・ジオン軍を創設し、反乱の狼煙を挙げる。

手始めに小惑星5th・ルナを地球連邦政府のあるチベットへと落下させ、ブライトやアムロ率いる遊軍ロンド・ベルの奮闘も虚しく、5th・ルナはチベットに衝突してしまった。

ネオ・ジオン軍は地球政府高官と秘密裏に取引を行い、停戦に合意することになるが、停戦に安堵する地球政府を尻目に小惑星アクシズを落下させるため、シャアは再び行動に出る。

しかし停戦合意は意味をなさないと読んでいたロンド・ベルは核ミサイルを配備し、アクシズの内部で爆発させ軌道を逸らす作戦を展開。

作戦は成功したかに思われたが、アクシズの破片は引力により地球への落下を開始。

巨大な惑星が地球に落下していく中、アムロとシャアの最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

smileアムロ・レイが自ら設計した専用機
RX-93・ニューガンダム

 

E382B5E382B6E38393E383BCEFBC92シャア・アズナブル専用機
MSN-04・サザビー

 

20150303_14地球に向け落下するアクシズ
”人の想い”が奇跡を起こす

 

 

 

 

人間である故に

あまり細かく書くと本一冊分になるので、ものすごくかいつまんでお話します。

 

「宇宙世紀」という時代。

とあることをきっかけに人間は未だ紛争に身を費やしていますが、ロボットアニメに「現実的な戦争」という概念を組み込んだわけで、地球連邦もジオン軍も、勧善懲悪では割り切れない複雑さがあります。

もちろん子供が観てもある程度理解できるように配慮されているため、最終的には地球連邦が「正義」でジオン軍、というかザビ家が「悪」としてやや偏っているようにも思います。

 

対照的に続編となる「Zガンダム」では地球連邦こそが「悪」であるように描かれ、権力を得た人間の腐敗と「正義」の価値観が、時代と共に変わる人間の儚さがよく分かるわけですね。

その上で生まれた本作は人間の儚さ・愚かさ・強さが目まぐるしく展開し、非常に複雑な人間同士のしがらみが描かれているため、正直なところ2時間では到底収まっていないのがもったいない。

長くても良いから1から10までちゃんと観たかった気もします。

 

 

「人類革新のために、地球の人々は死ぬべきである」というトンデモ説を実行しようとするシャア、本作ではやたら「カッコ悪い」の烙印を押されがちなシャアですが、何故か?

人類全体をニュータイプへと開花させるために、オールドタイプである地球人を抹殺するという微妙に理解できない発想ですが、彼自身の本音は地球生まれのニュータイプ・アムロとの確執、そしてその決着をつけることだというのが見え隠れします。

 

さらに本音を掘り下げれば、結局は両者に深く遺恨を残す存在となったララァが深く関わっています。

そのあたりが何ともカッコ悪いと思う反面、自身が大人になってみると多少の理解も生まれるような気がしますねぇ。

 

 

軍のエースとして、支柱となり軍を支える強力な助っ人として、そしてニュータイプの明日を背負う指導者として。

圧倒的なカリスマ性を誇り、また全ての支持者のために信念を貫くシャアは非常に孤独な男だったのではと思います。

 

統率者として、誰よりも現実を知っているシャア・アズナブルという人格。

相手がアムロだったからこそ本音をぶつけられるわけで、間接的ながらも自分の”弱さ”に対する理解を求める彼の姿は、本当にカッコ悪いものでしょうか?

ニュータイプ同士だからこそ出てしまう心の声は、情けないものなんでしょうか?

残念ながら理想を実行しようと奮闘するアムロと、現実を夢見るシャアが分かり合うことは最後までありませんでしたが、ドラマ部分としては非常に濃い見せ所となっております。

 

 

そして言わずもがな、とにかくモビルスーツがカッコいいんですよね。

数多くのMSが搭乗しますが、やはりアムロが搭乗するニューガンダム、対してシャアが搭乗するサザビー、そして両者の戦闘シーンは激アツですよ!

新たに装備されたファンネルをはじめ、数多くの武器や兵器を使い切り、果てにはMS同士の殴り合いや白兵戦にまで至るこの戦いは盛り上がり十分。

最近のガンダムシリーズは全然知らないけれど、個人的にはこの時の戦いがベストバウトだと信じております。

 

そして終盤、まぁぶっちゃけ奇跡の人類パワーでハッピーエンドという、何とも微妙な終わり方であるものの、その過程は非常に感動するものでもあります。

主要のメンバー以外では完全なるモブと化すガンダムシリーズですが、隕石を止めようとするアムロの姿に感化され、一人、また一人と加わっていくサマは本当に胸を打たれます。

名も無きオールドタイプの兵士たちも人間であり、彼らの想いが共鳴し、生まれた力こそが「人類の可能性」と呼べるものなんでしょう。

 




 

まとめ

サイコフレームの共鳴に包まれたシャアはこう言います「この暖かさを持った人間が地球を破壊する」

そして、その言葉にアムロは「だから人の心の光を見せなくてはいけない」と返します。

 

善も悪も、思想が異なれば見え方も異なるわけで、争いあうのが人間であれば、平和を望むのもまた人間なわけで、、

時代が変わると思想も変わり、あらゆる種の壁を越え、人類が互いに理解し得るのは永遠にこないのかもしれません。

それでもあのサイコフレームの光のように、誰もが一つに心を通わせるような象徴を信じてみたいものです。

 

古い作品なので、観るにあたり前もっての予備知識は必要かもしれませんが、それを踏まえても観てほしい作品ではあります。

特にガンダムシリーズの解説や考察のサイトなどは本当にたくさんあるので、そちらを覗いてから観ても良いかもしれません。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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