リディック


(原題:The Chronicles of Riddick)
2004年/アメリカ
上映時間:118分
監督/脚本:デビッド・トゥーヒー
キャスト:ヴィン・ディーゼル/ジュディ・デンチ/コルム・フィオール/タンディ・ニュートン/カール・アーバン/ライナス・ローチ/ニック・チンランド/他

 




 

2000年に公開された前作「ピッチブラック」に引き続き、デヴィッド・トゥーヒー監督&ヴィン・ディーゼル主演のSFアクション映画です。

前作ではいち登場人物であったリディックにフォーカスし、銀河の一匹狼であるリディックと、銀河の支配を目論む邪悪な軍団の対決を描いた本作。

作風は大きく異なり、狭い範囲でのサスペンスだった前作に対し、本作では壮大なスケールとアクションを詰め込んだ娯楽作品的な風味が強いように感じます。

 

肉体的にも人気的にも、ピークを迎え始めていたヴィン・ディーゼルのマッシブなアクションを楽しむための映画なので、それ以外を期待すると面白くはないでしょう。

「銀河」という広すぎる世界を描く上で大規模なセットやVFXが必要なため、えらい額の製作費をつぎ込んだ割には興行収入に恵まれなかった不遇の作品でもあります。

 

独自の世界観を構築しようとした狙いはよく分かりますが、スペースオペラを作ろうとしたらB級映画になっちゃったようで、つくづく映画製作の難しさを感じるものです。

 

 

 

さっくりあらすじ

”聖なる死人”ことロード・マーシャル率いる狂信的な軍団・ネクロモンガーはアンダー・ヴァース(暗黒世界)を目指し、武力統治により次々と惑星を侵略していく。

5つの惑星から指名手配を受け、懸賞金が懸けられているリディックは氷の惑星で賞金稼ぎと小競り合いを起こしていた。

 

共に惑星から脱出し、信頼を築いたはずのイマムの住むヘイロン第一惑星から懸賞金が懸けられていることを知り、賞金稼ぎの船を奪ってイマムの元へと向かうリディック。

何故に裏切ったのかをイマムに問いただすものの、エレメンタル族の予言者・エアリオンが現れる。

ヒューリア星の戦士だけがロード・マーシャルを倒し得る唯一の存在だと、そして最後のヒューリア星の生き残りこそがリディックだとエアリオンは告げた。

「俺には関係ない」と一蹴するリディックだが、そこにネクロモンガー軍の艦隊が到着し、圧倒的な戦力による攻撃が始まる。

イマムは妻子を守るために殺され、リディックは怒りと共にネクロモンガーの船へと乗り込むのだが、、、

 

 

 

 

thロード・マーシャル
超強いのに結構ビビり

 

かつて”少年ジャック”だった女性キーラ
リディックに憧れすぎて犯罪者になる

 

妻と上司の板挟みに苦悩するヴァーコ
ある意味1番人間臭い

 

 

 

 

演出に押され気味な脚本

見どころは前述したように、ヴィン・ディーゼルの強靭な肉体によるアクションシーン。

派手さはありませんが彫刻のようにビルドアップした肉体は美しく、またそれを生かすようなカメラワークが特徴的。

うわぁ、、スゲー体(゚Д゚)と見とれてしまうこと請け合いです。

ありがちなヒロイズム映画からの脱却を目指し、ダークヒーローの姿や世界観を緻密に作り込んだ設定はなかなかに興味深いところですが、やや厨二病な香りも漂うところか。

 

ただ根本的な疑問ではありますが、リディックは何故に孤独で犯罪者なんでしょう?

前作の時もクセのある人物ではありますが、”報恩”と”報復”は忘れない律儀な人物に見えます。

敵対すれば怖い相手ですが、協力した分は助力してくれる粋な男です。

 

イマムに裏切られた(実際は違う)と思えば彼の元を訪れ「良い教訓になった、友達はいらねぇ」と吐き捨て、ジャックが己の背中を追って犯罪者になってしまったことに憤りを覚えるなど、彼の繊細な一面も見え隠れしています。

このあたりをもう1段階掘り下げて、物語の背景に奥行きを出しても良かったような気もします。

 

 

 

ダークヒーローと呼ぶにはややお人好しな面が強すぎる上、壮大なスケールの物語にも関わらず内容は薄めかな。

巨大な宇宙船や過酷な環境の描写など、目を見張るほどの美しい映像美を誇りながらもツッコミどころも多く、映像クオリティと脚本クオリティのチグハグ感が否めません。

 

ロード・マーシャルを演じるコルム・フィオールや、予言者・エアリオンを演じるジュディ・デンチなど、かなりの大御所俳優を起用してるのも印象的です。

およそ似つかわしくないSF映画にも関わらず、普通に馴染んで自然に演じているあたりはさすがですかね。

 

 




 

まとめ

続編を見据えたせいか、風呂敷を広げ過ぎた感が否めない大作ですが、個人的には結構好きな作品です。

物語自体はちゃんと確立しているものの、やはり映像と脚本の不釣り合いが目に付きます。

サラッと借りてサラッと見たら意外と面白かった、そんなポジションだと思います。

 

SFやアクションが好きな人はそれなりに楽しめることでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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