(原題:Coma)
1978年/アメリカ
上映時間:113分
監督:マイケル・クライトン
キャスト:ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド/マイケル・ダグラス/リチャード・ウィドマーク/リップ・トーン/ロイス・チャイルズ/他
古い映画ですが、医療サスペンスの傑作です。
筆者は医者も病院も全く信用しない偏屈野郎なので、こういった医療の闇は大好物なんです。
医師が結託し、臓器移植や売買で金儲けを企むという物騒なお話ですが、そういえば点滴に異物を混ぜた事件はどうなったんすかね?
時間と共に凶悪事件も風化してしまう現代ですが、未解決事件というのはやはり気になるもので、誰もがお世話になる病院が事件現場になるとそう簡単には忘れないですよね。
本作は映画というよりかはTVドラマのような作りであり、何となく観てたら全部観ちゃった系の作品ですが、なかなか面白いですよ。
さっくりあらすじ
ボストン記念病院で働く女医のスーザンは中絶手術を受けた親友のナンシーが術後に昏睡状態に陥ってしまい、ショックを受ける。
脳死状態になってしまったナンシーと同じタイミングで関節の手術を受けた男性も植物状態に陥っており、簡単な手術のはずが次々と患者が同様に植物状態になっていることにスーザンは疑念を抱く。
思い立ったスーザンはまずナンシーのカルテをチェックしようと、担当した麻酔科医のジョージに頼んでみるのだが、、、
若き女医・スーザン
時代を感じるけど、美人
スーザンの恋人・マーク
マイケル・ダグラスがハンサムだわぁ。。
植物状態の患者をケアする施設
何か色々とえらいことに
昔の映画は面白い
懐古主義とも言えますが、古い映画って味があって好きなんすよね。
「脳死が頻繁に起きる病院」と「臓器売買」というキーワードなだけで、かなり正確に先が読めるであろう展開ですし、また予想通りに物語が進んでいく安定感。
分かってはいるものの、妙に惹きつけられるサスペンス性はなかなかのものだと思います。
序盤に課せられた不審な謎を一つずつ解いていく構成は丁寧とも言えますし、単調とも言えるかもしれません。
しかし非常にオーソドックスで基本に忠実であるが故の面白さがありますし、それに加えて視覚的に恐怖感を煽る不気味な演出の数々もまた素晴らしいもの。
サスペンスとしても、ミステリーとしても、ちょっとしたオカルトっぽいエッセンスも含め、完成度は高いですよ。
まぁ病院とか研究所という独特の閉塞感って不気味で怖いですよね。
終始漂う薄気味の悪い雰囲気、生々しさを感じる医療の現場、その淀んだ空気の中で光る主人公の勇気と執念と、恐怖感と緊張感が交錯するリアリティが本作最大のウリになるのかな。
主演のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドは名前の通り、フランス系カナダ人の女優。
舞台上がりの女優ですが、ゴールデン・グローブ賞の受賞やアカデミー賞のノミネートなど、実力派の女優として知られています。
何とも言えない独特の美貌が素敵です、お色気シーンも素敵。
そして往年の名俳優マイケル・ダグラス。
さすがに時代を感じさせるほどに若い頃のマイケル氏ですが、言わずと知れた実力派の俳優であり、また監督やプロデューサーとしても素晴らしいキャリアを残しています。
最近は咽頭癌を患ったり、最近問題視されているセクハラの被害を訴えられたりと大変そうですが、一流の映画人として、これからも頑張ってほしいですね。
まとめ
特に捻りもなく、気楽に楽しめるB級サスペンスとしては傑作だと思います。
現代のサスペンス作品のように展開が二転三転するようなことはありませんし、読み通りの推測がそのまま進んでいく作品ではありますが、お菓子でもつまみつつ昼下がりに観る分には楽しめると思いますよ。
サクッと観れるお手軽な作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
記録上の最初の移植実験は1905年、子犬の心臓を成犬に移植したんだとか。
1960年代にはチンパンジーの移植実験が始まり、人間の移植は1967年に行われ、約100例の研究があったそうですよ。
そして80年代に入り免疫抑制剤が開発され移植は爆発的に増加、90年代半ばには4000例を超えるほどに症例が増えたそうです。
現在の日本では約13000人の患者が移植を待ち続けており、その中で手術を受けられるのは300人なんだとか。
事故って死んだ後のドナー登録とか、真面目に考えても良いかもしれませんなぁ。。