(原題:Snake Eyes)
1997年/アメリカ
上映時間:99分
監督:ブライアン・デ・パルマ
キャスト:ニコラス・ケイジ/ゲイリー・シニーズ/ジョン・ハード/カーラ・グギノ/スタン・ショウ/ケヴィン・ダン/他
「ブラック・ダリア」や「ミッション・インポッシブル」を手掛けた、ブライアン・デ・パルマ監督によるサスペンス映画。
このブライアン監督はコロンビア大学(超一流大学)で物理工学系の道を志しながらも、映画の世界に飛び込んだ変わり種。
ついでに作品毎のムラが非常に激しいことで知られています。
本作に於いての興行的な失敗、後に監督を務めたSF作品「ミッション・トゥ・マーズ」での超大失敗もあり、最近では大作に関わることはほとんど無くなってしまいました。
かなりクセの強い監督なだけに、映像にもクセの強さがチラホラと見られ、そういう意味では独特の味がある作品だと言えます。
まぁ面白いかどうかは微妙なところですが、、、
さっくりあらすじ
豪雨の中、アトランティック・シティ・アリーナでボクシング・ヘビー級のタイトルマッチが始まろうとしていた。
汚職刑事・リックは早々に街の顔役への挨拶をすませ、親友であり、会場にいる国防長官の警備主任でもあるケビンとも久しぶりの再開を喜び、試合のゴングが鳴った。
白熱した試合は王者・タイラーがKOされ会場は熱気の渦に包まれるも、同時に銃声が鳴り響き国防長官が狙撃される事件が発生する。
会場はすぐに閉鎖され、リックが録画テープを確認すると挑戦者のパンチはタイラーに当たっておらず、タイトルマッチは八百長だったことが判明するのだが、、、
ヘビー級タイトルマッチ
王者・タイラー
観戦しに来た汚職刑事・リック
親友で海軍士官のダン
事件の鍵を握る謎の女性・ジュリア
巨乳
独特のカット
冒頭からの長回しや独自の視点からの映像、一人称視点にスローモーションなどなど、これ必要か?と思わず首を傾げたくなるほどに独特のカットが印象深い作品です。
それが面白いかどうかは置いといて、このブライアン・ドゥ・パルマ風な味わいを楽しめるかどうかがキモと言えるでしょう。
脚本的には特に捻りがあるでもなく、割かしストレートなサスペンスであり、やはり演出から醸し出される緊張感がメインとなります。
豪雨の中のアリーナという閉鎖的な空間、大衆の前で起きた凄惨な事件、そして徐々に明らかになっていく謎の数々と、ベースはとってもオーソドックスなもの。
逆に言えば凝りに凝った演出を抜けばなんてことのない作品だとも言えますが。。
そんな味気の無い脚本に華を添えるのが汚職刑事・リックを演じるニコラス・ケイジと、親友・ケビンを演じるゲイリー・シニーズの両名。
派手なシャツでカツアゲに勤しむような、絵に描いたようなチンピラ風のニコラス・ケイジはさすがの演技力。
普段の役柄とは遠いキャラクターではありますが、実に自然に汚職刑事を演じています。
本当に何をやらせても馴染むことのできる素晴らしい役者ですな。
そして頑固そうで融通の利かなそうな海軍士官・ケビンを演じるゲイリー・シニーズもまた素晴らしい演技。
常に冷静沈着な態度には一抹の闇が感じられ、良い意味でも悪い意味でも淡々と行動する姿にはどこか怖さを感じさせます。
近年はTVシリーズの活躍の方が多いですが、「アポロ13」や「フォレスト・ガンプ」など、往年の名作でも高い演技力を発揮した素晴らしい役者です。
そして本作のエンディングが特殊というか、リアルというか、、
見たまんま不良刑事なリックの身を賭した活躍で事件は幕を閉じますが、脚光を浴びて英雄となった故に数々の汚職も明るみに出てしまいます。
自分とは違いエリート街道をまっしぐらのダンを救うため、そしてダンを救うことで落ちぶれた自分の誇りを取り戻すために奮闘した挙句に、待っていたのは離婚と刑務所だったというヘビーなもの。
こういった結末は斬新だなと思いますし、強引なハッピーエンドを選ばなかったところは高く評価したいところです。
まとめ
ちょっと勘の良い方ならば事件の黒幕や意図は割とあっさり分かってしまうことでしょう。
極めて地味でさりげない伏線は多岐に渡って散りばめられているものの、そこに気づかなくてもそれなりに観終わってしまうという何とも惜しい作品ではあります。
噛みしめて噛みしめて、その末にようやく味わいが出る作品だとは思いますが、ぶっちゃけ面白いかどうかは微妙なところです。
既存の映画観に飽きた方などにはオススメできるかな、、多分。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。