復讐捜査線


(原題:Edge of Darkness)
2010年/アメリカ・イギリス
上映時間:117分
監督:マーティン・キャンベル
キャスト:メル・ギブソン/レイ・ウィンストン/ダニー・ヒューストン/ボヤナ・ノヴァコヴィッチ/ショーン・ロバーツ/他

 




 

娘を殺された刑事の父親が、超法規的に復讐捜査に乗り出すサスペンス・アクション。

元ネタは1985年代にイギリスで放映されたTVドラマだそうです。

 

主演を務めるは、目が笑ってない俳優の代表格メル・ギブソン。

というか、家族を失い復讐の鬼になる役を演じたら世界でも有数の俳優と言って良いと思います。

溢れだす娘への愛情がそのまま復讐の源泉となり、冷静にブチギレていく迫真の演技に注目です。

 

 

 

 

さっくりあらすじ

愛娘・エマと久しぶりの再会を果たした刑事のトムだったが、エマの具合が悪くなり病院へ連れて行こうとする。

みるみる容体が悪くなるエマを抱え外に出ると、謎の男に襲撃されエマはそのまま亡くなってしまう。

ショック状態やエマの声の幻聴などに悩まされながらも、トムは犯人の行方を追うのだが、、、

 

 

 

 

久しぶりの再会を果たす2人
家族団欒のはずだったが、、

 

娘を亡くし、復讐を求め
独自に捜査に乗り出す

 

何故に娘は殺されたのか?
その真相を知る

 

 

 

 

ショッキング

かなりサスペンス寄りのアクションということで、不可解に殺された娘の真相を追い求める内容になるわけですが、全体的に演出にインパクトがあります。

怖い系なものではありませんが、のんびり観てるとビクっとなるようなショッキングなシーンが唐突に現れ、目が覚めるような思いをするわけですな。

残酷で悲しい物語なだけに後味は悪いものではありますが、この独特な演出はちょっとクセになりますね。

 

娘を失った憤怒を胸に抑え込み、至って冷静に振舞おうとするメル・ギブソンがマジで怖くてね、これは流石の一言ですね。

触れたら崩れてしまいそうな痛みを背負い、生前の娘のことを思い出しては強硬な捜査手段を反省し、それでもケジメをつけるために歩き出す。

この姿はもう感涙ものですし、娘がいるパパさんなら誰でも感情移入するであろう必然の怒りなわけですよ。

 

娘のエマを演じるボヤナ・ノヴァコヴィッチがまた可愛くてね、もう可愛くて仕方がない感がダダ洩れなメル・ギブソンの演技も相まって思わずこっちも笑みがこぼれてしまいます。

それ故に、突然やって来る娘の死がショッキングに引き立ってしまうわけなんですが。

 

また離れて暮らしていたエマの実態を掴むほどに、また過去のエマの回想シーンが挟まるほどに涙がこぼれそうになるわけでして。

特にパパの真似してヒゲを剃るシーンなんかは泣けるよね、筆者もヒゲが濃ゆいので、いつか娘とやってみたいと思いますよ。

 

 

そして、謎に包まれていた彼女の行動の真相を知るからこそ、胸を張って復讐に臨める清々しさすら感じます。

で、映像的にヒントが散見しておりまして、割と早い段階でオチが掴めるのも本作の特徴と言えます。

何が起きていて、誰が関わっているのかが早めに判明するだけに、この怒りの行き先が分かりやすく展開するわけで。

 

クソみたいな政治家とか、国の研究を盾にやりたい放題な事業家とか、それにあやかって生きるダニみたいな弁護士とか。

もう寸刻みにしても全く胸が痛まない悪の権化なわけですな、だからこそ「とことん痛めつけてからぬっ殺せ!」とこっちも前のめりになっていくわけですな(筆者だけ?)

最後の最後も、主犯格をただぬっ殺すだけではなく、ワンクッション挟んで絶望感を植え付けた上でぬっ殺すというアイデアも最高(病気)

ただ自分勝手に復讐を果たすでなく、因果応報を含ませて処刑する姿勢には感服です(サイコパス)

最後の最後にぶっ込まれたファンタジー性もホッと胸を撫でおろす暖かみのあるシーンですし、ハッピーエンドとは言いませんが「本当に良かったね」と思えるエンディングも印象的です。

 

唯一気になったのが、本当の意味で事件を締めたのが主人公のトムではないところ。

政治家の後始末をする仕事人が妙な哲学性を語り、最終的に彼が全ての始末をつけるのは悪くはないんですけどね、何がしたかったのかなと。

薄汚いものを見てきたことに対する後悔か、怒りか、贖罪か。

彼なりの信念があったであろうことは理解できますが、でも「お前はそれでメシを食ってきたんだろうが」とも思っちゃうわけなんですよ。

国家の正義を守ることを信念に動いてきた男が、残りわずかな命を自分の正義に懸けたと思えば悪くはないんですけどね、遅すぎるだろと。

 

 




 

 

 

まとめ

残酷に娘を失う深い悲しみ、それを糧に燃え上がる怒り、このアップダウンが実に激しく、感情を揺さぶられる良作だと思います。

とにかく純度の濃い復讐劇は印象的ですし、それに伴うインパクトのある演出も実に素晴らしいものです。

多少のアラも目につきますが、それを踏まえても上々な完成度ではないでしょうか。

 

やっぱりメル・ギブソンは復讐だよね!!(誉め言葉)

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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