(原題:Face/Off)
1997年/アメリカ
上映時間:138分
監督:ジョン・ウー
キャスト:ジョン・トラボルタ/ニコラス・ケイジ/ジョアン・アレン/ジーナ・ガーション/アレッサンドロ・ニヴォラ/ニック・カサベテス/他
鳩を飛ばしたり、二丁拳銃を多用したり、これ見よがしなロングコートをはためかせたり。。
ハードボイルドでバイオレンスな映画を撮らせたら一級品の、ジョン・ウー監督作品です。
「ハード・ターゲット」「ブロークン・アロー」に続き、ハリウッドに進出したジョン監督が最も自由に製作できたと自画自賛するだけに、ジョン・ウー節の宝庫とも言える本作。
好きな人にはたまらない、そうでもない人にはちょいとクドめな作風はやや人を選ぶものの、一回ハマると病みつきになる中毒性があります。
ついでにW主演となるジョン・トラボルタと、ニコラス・ケイジの一人二役の好演も話題となり成功を収めました。
さっくりあらすじ
6年前に息子を殺されたFBI捜査官ショーン・アーチャーはテロリストのキャスター・トロイを追っていた。
トロイが弟・ポラックスと共に空港からの逃亡を図っているとの情報を掴み、空港での銃撃戦の末にトロイ一味を逮捕することができた。
しかしトロイはロスに最近爆弾を仕掛けていたことが判明、トロイは意識不明の重体、ポラックスは頑として口を開こうとしない。
そしてFBIは全身の整形手術によりアーチャーをトロイとして刑務所に潜り込ませ、信頼を得てポラックスから情報を引き出す作戦に出ることになる。
そして宿敵トロイの顔を移植し、キャスター・トロイとしてアーチャーは行動を始めるのだが、、、
FBI捜査官ショーン・アーチャー
凶悪テロリストのキャスター・トロイ
顔を”取り替えた”ことで事件は複雑に
逆転する”善”と”悪”
というわけで、比喩でもなんでもなく、文字通り善と悪が入れ替わる映画です。
冒頭の派手なアクションからしてジョン・ウー風味が漂ってきますが、ちょっとくたびれた感じのジョン・トラボルタと、何かエロイ油でテカってるニコラス・ケイジの対比が目を引きます。
当時すでに2大スターとして活躍していた両氏ですが、まぁ迫力があるというか、説得力があるというか。。
息子を殺され、殺意と正義感の間で揺れるアーチャー(トラボルタ)
そんなアーチャーをほくそ笑み、遊び半分なノリでテロを楽しむトロイ(ケイジ)
誰がどう見てもトロイはムカつくし、自然とアーチャーを支持する気分にされることでしょう。
どちらも演技力が光っており、キャラクターと顔のインパクトが非常に印象的で、その後のストーリーにも活きてくるわけですな。
そしてその後は色々あって顔を取り換え、お互いにFBI捜査官の英雄&凶悪テロリストとして振る舞うわけですが、ここで全てが逆転します。
ついさっきまでムカつく奴だったトロイ(ケイジ)が急に可哀想な犠牲者に。
応援していたはずのアーチャー(トラボルタ)がすげぇムカつく凶悪犯罪者に。
同じ顔なのに印象が180°反転するわけで、単純ながらこの設定は非常に面白いものでした。
というか、その単純な面白さを支える両者の演技力が非常に素晴らしいものだと言えます。
ポラックスに逃げられ、刑務所の中で悲観に暮れるアーチャーの姿は絶望感に包まれ本当に可哀想。
対照的に(家族視点で)人が変わったかのように振る舞いながら、満更でもなさそうな妻と娘を抱えるトロイの姿が何とも複雑な気持ちにさせます(笑)
またアクション活劇としても申し分無し。
鏡越しの射撃や、相変わらずの拳銃突きつけシーンなど、ある種の哲学を感じさせるようなガンアクションは安定の迫力があります。
最後の最後が割とあっけないような気もしましたが、それは観る人にもよるのかな。
まとめ
今でこそ一般人にも普及している美容整形という技術。
さすがに全身整形したり、誰かに成りすましたりする人はまずいないでしょうが、このまま技術が発展すればこういった映画も現実のものになる日がくるのかもしれません。
2大スターが上手く噛み合い、怒りや悲壮などのドラマがあり、派手なアクションがあり、映画としての完成度は非常に高いものだと思います。
記憶や思い出に残るタイプの作品とは思いませんが、アクション嫌いじゃなければ一度は目にしてほしい作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。