アイ・アム・レジェンド

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(原題:I Am Legend)
2007年/アメリカ
上映時間:100分
監督:フランシス・ローレンス
キャスト:ウィル・スミス/アリシー・ブラガ/ダッシュ・ミホク/チャーリー・ターハン/サリー・リチャードソン/ウィロウ・スミス/他

 




 

アメリカのSF作家、リチャード・マシスン著「地球最後の男」を原作としたSFサスペンス・ホラー。

ウィルス・パンデミックが起こり「ダーク・シーカー」と呼ばれる人間の変異体が生まれてしまった世界。

その人類のほとんどが死滅した世界で、ウィルスやダーク・シーカーと孤独に戦う男を描いた作品です。

 

ゾンビ系SFアクションなイメージが強いですが、どちらかと言えばサバイバル・ホラー寄りな印象。

有名な話ですが、スクリーンテスト(一般客を募集し、公開前に手応えを探る試写会)ではイマイチな反応だったそうです。

で、公開直前に急ピッチでエンディングを差し替えた経緯があり、色々と複雑な思いが交錯したようですな。

 

やや投げっぱなしな伏線回収などを除けばそれなりに楽しめる作品ではありますが、物語の解釈に大きな差が生まれてしまう結果となりました。

 

 

 

さっくりあらすじ

2012年、ニューヨーク。

ウィルス感染により世界人口のほとんどが死滅してしまった世界で、元米国軍に籍を置いていた科学者ロバート・ネビルは愛犬のサムと共に3年もの間、廃墟と化した街で暮らしている。

パンデミックを引き起こしたクルピン・ウィルスに対し、耐性を持つ者も少なからず存在した。

しかし生き残った人類のほとんどは異常な身体能力を獲得し、太陽光を嫌うダーク・シーカーへと変貌してしまった。

昼間は野生動物を狩り、夜はダーク・シーカーに気づかれないようにひっそりと自宅で過ごすネビルだが、その地下室にはダーク・シーカーを人間に戻すために研究実験施設が併設されている。

研究は進み、新たなサンプルのために実験用の女性ダーク・シーカーを生け捕りにするのだが、、、

 

 

 

 

日中は愛犬・サムとお出かけ

 

夜、寝るときはこんな感じ
ダーク・シーカーに悟られないようにひっそりと

 

ダーク・シーカー
太陽光を浴びると死んでしまう
知性が無いようだが、、、

 

 

 

 

”視点”と”解釈”

突然ですが、皆さん「ニーア・レプリカント/ゲシュタルト」というゲームを御存じでしょうか?

2010年にPS3、Xbox360で発売されたARPGですが、守る者のために「人」と「マモノ」の間で続く争いを描いた作品ですが、本作とも深い共通点があります。

 

人類の大多数の命を奪ったウィルスにより、人ならざぬモノへと変貌してしまった元・人間を元に戻すため、実験体を捕らえ研究や実験を繰り返しながら、ネビルは日々戦っています。

光を恐れ、暗闇に住み、凶暴に人間を襲うダーク・シーカーの存在は驚異的であり、ネビルからすればまさに”怪物”そのものです。

実際に中盤で愛犬・サムを失うことになり(ここ一番の泣き所)、「家族」を失ったネビルは我を忘れてダーク・シーカーを殺しに、復讐しに行きます。

 

 

対してダーク・シーカーの視点から見るとどうでしょう?

凶暴で知性が無いとされている彼らですが、ネビルを罠にかけようと試みたり、感情的なものを訴える素振りを見せたりと一定以上の知性を供える描写があります。

ネビルが実験体として捉えた女性ダーク・シーカーは群れのボスの仲間(というか恋人)であり、大事な人である描写があり、彼らからすれば銃器で襲い掛かり、仲間を連れ去るネビルこそが”怪物”なわけです。

つまりどちらかが正しいわけでなく、勧善懲悪などという概念は存在しない、言うなればウィルスに負けた”旧人類”とウィルスで変異した”新人類”の争いだとも言えます。

 

そしてこれこそがスクリーンテストで嫌われ、エンディング差し替えとなった大きな要因とされています。

ちなみに本作ではネビルは生存者と出会い、自身の研究成果を託して自爆するという結末になり、彼の残した血清によりロバート・ネビルは「伝説」になった、、、と。

 

 

まぁエンディングなんて結局は好みですから、それについてどうこう言うつもりはありません。

ただ圧倒的に人間目線に偏った描写とハッピーエンド風な味付けにアレルギーが出たのも事実です。

 

先述した「ニーア・レプリカント/ゲシュタルト」では争っているのは人間(の形をした偽物)とマモノ(訳あって肉体を失った人間)という背景があります。

自分の愛する者を救うため、大事なものを奪おうとする「敵」と戦うストーリーは非常に感慨深いものがあります。

開発元は株式会社キャビア(2011年に買収されました)という変態クリエイター企業なので、非常にアクが強く、独特な演出や表現が多いですが、考えさせられる、泣ける作品が多いです。

 

ややマニアック寄りですが、面白いので機会があればお試しください。

 




 

まとめ

ちょっと小難しくしましたが、物語自体は割と単純で、気楽に観れるジャンルです。

撮影時にニューヨークの5番街を200日にわたり区画封鎖したり、航空宇宙博物館でのゴルフシーンがあったりと、非日常な風景も観ていて興味深いものだと思います。

 

最後になりましたが、本作で特筆すべきは愛犬・サム。

もう本当に可愛くて、頼りがいがあって、こんなワンちゃんマジで欲しいっす。

そんなサムが亡くなってしまうシーンはかなりの涙腺崩壊ポイントになりますので、ご注意ください。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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