イントゥ・ザ・ストーム


(原題:Into the Storm)
2014年/アメリカ
上映時間:89分
監督:スティーヴン・クォーレ
キャスト:リチャード・アーミテイジ/サラ・ウェイン・キャリーズ/マット・ウォルシュ/マックス・ディーコン/ネイサン・クレス/他

 




 

アメリカでは毎度お馴染みの、竜巻がもたらす恐怖を描いたパニック・スリラー。

自然と生まれ全てを破壊する竜巻と、それらを糧に生計を立てる人々(ストームチェイサー)と装備など、なかなかに興味深いディザスター映画です。

 

何気ない気持ちで観た作品ではありますが、これがもうどっぷり集中できる良作でして。

約90分というタイトな作り、迫力満点の竜巻の描写、そして数々の気象の知識などなど、意外と面白い映画に出会うとテンション上がりますな。

 

 

 

さっくりあらすじ

アメリカの小さな街・シルバートンで卒業式を手配する教頭のゲイリーは竜巻注意報を理由に式の延期を訴えるが、校長は意に介さず式は執り行われることになった。

一方、巨大な竜巻の撮影を生業にしている”竜巻ハンター”のチーム・タイタスの面々は、竜巻の発生地点を予測しシルバートンに到着した。

そしていざ竜巻が発生すると、過去に類を見ないほどに成長し、街に壊滅的な被害をもたらし始めるのだが、、、

 

 

 

 

迎えた卒業式
大事な記念日となるはずが、、

 

撮影班の特注車”タイタス”
装甲車並みの頑強さを誇る

 

そして生まれた竜巻だが、
予想以上の規模へと成長する

 

 

 

 

竜巻

積乱雲の下で地上から雲へと延びる渦巻き状の上昇気流(wiki参照)の総称だそうですが、たまに日本でも発生しますよね。

ほとんどの場合はつむじ風以上で竜巻以下という印象ですが、本場アメリカの中部辺りでは数年毎にニュースになっている気がします。

僕らから観ればこの世の終わりみたいな惨状に思えますが、アメリカの知人に言わせれば日本の地震もこの世の終わりに見えるそうで、慣れ親しんだ自然現象に対する恐怖感や文化の差が見て取れますね。

 

不謹慎な物言いではありますが、この手の映画のテーマって結構限られるんですよね。

まず竜巻に地震や火山噴火、そして津波(水害)と、ハナっから絞られた物語であるが故に、単純に視覚的な恐怖が物差しになるわけで。

 

いかに災害の純度を高めるのか?

いかに驚異的な表現を描けるのか?

シンプルだからこそ誤魔化しのきかない、割と難しいジャンルの映画だと思っています。

そういう意味では本作は非常に良くできているように思いますし、良くも悪くも竜巻がもたらす恐怖が存分に味わえます。

 

 

物語としては、息子の安否を確かめる教頭先生、竜巻を追いかける撮影隊、そしてアホ丸出しなYoutuberと、主に3つの視点で描かれます。

ひとつの竜巻を3つの角度で表現するのは個人的には良い判断かなと、単調になりがちなパニック映画のエッセンスが効いてます。

ただし、3つの物語が収束して同じエンディングを迎えるともっと良かったんですけどね。

単に3つに分けただけで、それ以上の工夫が見えないのは少々残念かな。

それでもアホ丸出しのYoutuberとか、ロマン溢れる対竜巻車両とか、いずれも面白い素材がチラホラと見受けられますが。

 

そして、とにもかくにも描かれる竜巻の脅威。

まるで生き物のように地上に舞い降りた竜巻がどんどん成長し、建物も街路樹も車も、全てを吹き飛ばす迫力は圧巻の一言です。

内容の8割はそれだけですし、見どころとしても本当にそれだけ。

 

多少のドラマ性は持たせてあるものの、そんなもんはあくまでアクセント程度の話であり、ただただ無力感に浸れる映像は実に素晴らしい。

特に後半はもう絶望的に大きな竜巻へと成長し、まるで「世界のビックリ映像100」とかを観ているような気分になりますね。

実際の科学的考察はどうなのか分かりませんが、未曽有の自然災害の脅威という点では文句無しに良く出来ているのではないでしょうか。

 

 




 

まとめ

神の所業か、自然の気まぐれか、人類が築いた文明がいとも簡単に壊されていく図には何とも言えない儚さが漂います。

それが常識ではあり得ないトンデモレベルにまで昇華すると、むしろ美しさすら感じるほどです。

まぁ実際にあの現場にいたら見苦しく逃げ回ることでしょうが、安全安心は当たり前ではないという危機感を思い出させてくれますね。

 

「こんなんあり得ない」と嘲笑するのは簡単ですが、実際に「あり得ない」地震や津波が日本でも発生しました。

あくまでエンタメの域は出ない作品ではあれ、時々こういった映画を通じて災害に対する心構えを持つのも悪くは無いんじゃないですかね?

 

結構面白かったですよ。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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