アイアンマン2


(原題:Iron Man 2)
2010年/アメリカ
上映時間:124分
監督:ジョン・ファブロー
キャスト:ロバート・ダウニー・Jr/グウィネス・パルトロウ/ミッキー・ローク/ドン・チードル/スカーレット・ヨハンソン/サム・ロックウェル/サミュエル・L・ジャクソン/他

 




 

MCUシリーズ全体の1作目となる前作が大ヒットを記録し、一応の3部作構想を引き継いで製作された続編。

概ね前作からの流れを踏襲しながらも新たに「ウォーマシン」と「ブラック・ウィドウ」が参加し、今後の「アベンジャーズ」への流れが本格化していきます。

 

ちなみにMCUの中心作品となる「アベンジャーズ」を経て、大手配給会社パラマウントの主導で3作目が製作されることになっていたようですが、本作公開後に配給権をディズニーに売却。

出版社マーベル・コミックも既に買収済みであり、映像部門も含め、事実上マーベル事業の大部分を掌握したことになります。

 

ピクサーをはじめ、ルーカス・フィルムにマーベル・スタジオ、さらに2017年末には大手映画スタジオの21世紀フォックスまで買収し、エンタメ界では並ぶものの無い超巨大映画会社が誕生したわけですな。

すげーな、マジで。

 

 

 

さっくりあらすじ

トニー・スタークが「私がアイアンマンである」と正式発表してから半年、新たなアーマー”マーク4”と共に世界平和を目指すトニーだったが、合衆国政府からは「アーマーは兵器である」と認識され引き渡しを要求される。

これに断固として反対するトニーはアーク・リアクターの動力源である「パラジウム」の毒素に体を蝕まれ、自身の開発を世に残すための博覧会”スターク・エキスポ”を開催した。

かつてアメリカに亡命し、トニーの父ハワード・スタークとの共同研究も務めた経験があるロシア人物理学者アントン・ヴァンコはスパイ容疑で逮捕され、強制送還された後は厳しい生活に晒されそのまま他界した。

アントンの息子・イワンはそういった経緯からスターク一族を恨み、父の研究成果から独自にアーク・リアクターを開発し、それを動力にした武器と共にカーレースに参加中のスタークを急襲する。

簡易型のアーマー”マーク5”によりトニーは辛くも撃退するが、逮捕されたイワンの存在と共に、アイアンマンと同等のテクノロジーが存在するという事実が露呈してしまうのだが、、、

 

 

 

 

ご存知、社長
パラジウム中毒に悩む

 

トニーを付け狙うロシア人科学者・イワン
アイアンマンに匹敵するテクノロジーを持つ

 

ブラック・ウィドウが初登場
ロングヘアも素敵よね

 

 

 

 

平凡なアメリカ

相変わらずのオーバーテクノロジーに大迫力のアクションと、この手の映画のツボは抑えてあるものの、良くも悪くも至って平凡な作りだなと。

CGを駆使したバトルシーンも大爆発も、ライバルの存在により生まれる新たなテクノロジーも大男を豪快になぎ倒す女性も、どれもこれもがありきたりで平凡な印象に終始します。

とはいえ今までの流れも踏まえ、そういった平凡な展開を差し引いても十分に楽しめるエンタメであることに変わりはないのですが、それにしても少々単純すぎるかなぁとも思いますね。

 

武器を保有すべきは国家なのか、個人なのか?

人間が使用する兵器と無人(ドローン)ロボット兵器には倫理的にどういった差があるのか?

 

それなりに考えさせられるテーマを掲げながらも掘り下げが非常に甘く、なし崩し的にアメリカ万歳!的な空気で終わっちゃうのは国民性なのかな。

バットマンの醸し出す重さ・深さに対してのこの軽さ・浅さは極めて対照的な印象で、優劣をつけるものではないにしても好みは分かれそうなところです。

 

 

パラジウムによる毒素が体を蝕み、余命を悟るトニーが前作よりもおちゃらけに走っているのも少々不満かな。

意地でも弱音を吐かず、自身の信念を曲げないと言えば聞こえは良いですが、少々ふざけ過ぎで感情移入しづらいんすよね。

真摯に何かを考えるような描写が無く、平和を願う正義の味方とは程遠く、むしろ気分で敵を決めてしまうような危うさが気になります。

 

とはいえ周りの人間も驚異的な兵器を保有する人を相手にしているとは思えない気楽な意見の数々であり、総合的に見てどいつもこいつも自分勝手だなという風にも思えますが。

現実的に考えれば、僕らのような凡人には理解し得ないストレスがあるのかなとは容易に想像できますね。

 

あとペッパーとのつかず離れずのやり取りは早くもお約束みたいなシーンではありますが、そう何度も演出するような内容でもないし、これも蛇足に感じます。

 

本作でのヴィランとして登場するイワン・ヴァンコを演じるミッキー・ロークは個人的にお気に入り。

キャラとしての扱いはともかく、なかなかに渋くてカッコいいヴィジュアルと印象的な登場もあり、それなりに魅力的なキャラではないかと思います。

惜しむらくはトニーほどの天才ではなかったことと、微妙に見せ場が少なく、わりとあっさり退場してしまう演出くらいですかね。

 

ついでに初登場となるブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフがとにかく可愛いっす。

最近は少々お太りになられたように思いますが、当時の彼女の美貌は本当に素晴らしいものです。

 

 




 

まとめ

アクションもユーモアもたっぷりな内容であり、それなりに深いメッセージ性もあり、シリーズの流れを踏襲した作りにはなってはいるものの、やや脚本が弱めな印象です。

見せ場は多いようにも見えますが、見せ場以外の中弛みも多いかなと。

端的に言えばド派手な「アベンジャーズの番宣」と言えるかもしれません。

 

ただテンポの良さに重きを置いて、なおかつ暗い展開も明るいノリで表現するのがアイアンマンの持ち味とも言えますし、結局はそれなりに面白いんですけどね。

高品質な「軽さ」と言いますか、あれこれ考えずにゆるーく観るのが正解かもしれません。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。



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