2007年/日本
上映時間:120分
監督:水田伸生
キャスト:阿部サダヲ/堤真一/柴咲コウ/小出早織/京野ことみ/酒井若菜/木村緑子/大倉孝二/他
宮藤官九郎が脚本を担当し、サラリーマンが舞子さんと野球拳をすることを夢見るコメディ映画。
コミカルな演技を持ち味とする阿部サダヲの映画初主演作であり、クドカンといえば阿部サダヲという息の合った表現が楽しい作品です。
舞妓を愛して止まないサラリーマンが巻き起こすドタバタ系コメディですが、その独特のハイテンション、それに加えた京都や舞子の知識など、くだらないだけの無いように終始しないあたりがクドカンの魅力なんでしょうか。
さっくりあらすじ
東京に本社を構える食品会社に勤務する鬼塚公彦は高校の修学旅行で助けてもらって以来、熱狂的な舞妓ファンである。
常に頭の中は舞妓でいっぱいであり、自分の舞妓ホームページを作ってはこまめに更新する日々を送っている。
そんなある日、京都支社への異動の話を受け公彦は喜んで転勤することになり、京都出身だと自称しながらも三重出身の恋人・富士子と躊躇無く別れ、いざ京都へと向かうのだが、、、
食品会社のサラリーマン・鬼塚公彦
こよなく舞妓を愛す
そんな公彦を鼻で笑う男・内藤
座敷の常連でプロ野球選手
公彦の元彼女・富士子
公彦を見返すため、舞妓の修行に励む
阿部サダヲ
とにかく阿部サダヲの魅力が満載な本作。
彼ならではの独自のキャラクター性やはっちゃけ具合など、まさに阿部サダヲという個性を楽しむための映画といっても過言ではないでしょう。
そういった個性を存分に活かしたクドカンと水田監督の手腕は素晴らしいの一言です。
ただテンションの高い作品なので、観るタイミングというか、こっちがローテンションの時に観ると逆に鬱陶しく感じそうな気もしますのでご注意を。
良くも悪くもクドカン色な作品ではあるので、好き嫌いも分かれそうなところではあります。
ただね、せっかくの楽しい作品なので、やはり楽しい気分になりたい時に鑑賞すべきかなと。
全編通しての痛快コメディではあるものの、それに準ずる物語の深さはありません。
端的に言えばひとつひとつの笑いには力が入っているものの、あくまで”映画”としての枠組みで考えれば明らかに破綻していると言わざるを得ません。
観客の心をグッと掴む瞬発力には優れていますが、それを維持するスタミナが無いのかな。
やはり物語という背景があるからこそ映画として面白いのであって、そこを完全にスルーしてしまうと作品としてはボヤけまくりなんですな。
前半は面白いんだけれども後半に入って失速してしまうのはまさにそういったところが原因で、思い付きのギャグを重ねた結果、着地に失敗したような節が見え隠れします。
結局「阿部サダヲが面白かった」以外の印象が薄いんですね、せっかくのキャスティングも少々勿体なく感じちゃいますよね。
ただ単に笑える映像集を作るのであればサンドウィッチマンのコント集の方が面白いし。
新たな形の映画と言えば聞こえは良いけれども、そういった意味ではまだまだ改良の余地が見えてしまうのが残念なところです。
とはいえ、”舞妓”という知っているようで知らない世界に焦点を当てたアイデアは面白いものですし、表面的ではあれ京都ならではの伝統的な世界観を紐解いた意味では興味深い作品だとも言えます。
個人的には全く興味の無い舞妓・芸妓・祇園という世界ですが、可愛らしい舞妓さんの姿はなんとなく癒し系な雰囲気を感じますね。
むしろあれだけの舞妓メイクを施した上で、一目で分かる柴咲コウの顔の主張にはややビックリですが。
美人というのはどう着飾ってもブレないもんなんですな。
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まとめ
実質ストーリーは滅茶苦茶であり、映画というより長編コントと言った方が正しいでしょう。
テンポ良く送り出される下らないギャグの数々、強引に笑いに持っていく粗さはありますが、それを踏まえた上でもそれなりに笑えるんじゃないかなと。
個人的には途中でお腹いっぱいな印象でしたが。。
阿部サダヲ&クドカン好きにはたまらない、それ以外の人にはそれなりに面白いエンターテイメントです。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。