(原題:Mannequin)
1987年/アメリカ
上映時間:90分
監督:マイケル・ゴッドリーブ
キャスト:アンドリュー・マッカーシー/キム・キャトラル/メシャック・テイラー/エステル・ゲティ/キャロル・デイビス/他
1987年公開の知る人ぞ知る名作。
ハッキリと思い出せない曖昧な記憶ながら、恐らく中学生くらいの頃に観たのだろうと思われます。
ミュージックビデオのような表現豊かな演出、主題歌である「Nothing gonna stop us/愛は止まらない」の耳に残る楽曲、コミカルでハートフルなラブストーリーで非常に感銘を受けたのを覚えています。
懐古主義とも言えますが、古き良き映画は本当に色褪せず、変わることのない感動を届けてくれるものですな。
さっくりあらすじ
アメリカ、フィラデルフィア。
芸術家志望のジョナサンは何をやらせても仕事が遅く、職を転々とするも失敗ばかりで長続きせず、どこに勤めても解雇されてしまう。
恋人との折り合いも上手くいかず、失意の日々を送るジョナサンはかつて自分が制作したマネキンを見つけ、偶然にもマネキンが展示されているプリンスデパートに就職することになる。
経営難で陰謀渦巻くプリンスデパートで同僚のハリウッドと共に奮闘するジョナサンだったが、ある夜にマネキンが人間に変身し、彼に話しかけてくる。
自身を古代エジプト人のエミーと名乗るマネキンはジョナサンの前でだけ人間として振る舞い、無人の深夜のデパートでエミーと二人、斬新なショーウィンドウの飾りつけを始めるのだが、、、
マネキンに恋したヤバい青年・ジョナサン
”エミー”と楽しい楽しい時間を過ごす
キム・キャトラルが超可愛い
醒めないでほしい”夢”
マネキンが人間になって恋に落ちるという微妙に変態っぽいテーマながら、非常にコミカルにロマンスに良く出来ており、もはや感じるのは”純愛”であります。
美しい造形物に魂が宿り恋をするというのは、ある意味で「自分だけの理想の彼女」として、誰もが憧れたことのある恋人の形ではないでしょうか?
冴えない青年が自分の作品を好きになり、目を輝かせて楽しそうに過ごすサマは何とも微笑ましく、その純粋な気持ちは観ている側にもトキメキをもたらします。
そんな夢中になるような展開の中で、当然映画なので終わりが来るわけで、、もう少しだけ観ていたいような、何とも不思議な寂しさが余韻として残ります。
全体的にはドタバタなコメディ作品であり、ノリもテンポも良く楽しい映画です。
どのキャラクターも非常に個性的で印象深く、良い人も悪い人も全部ひっくるめて憎めないチャーミングな魅力が溢れます。
その中でもずば抜けて輝いているのがマネキン・エミーを演じるキム・キャトラルの存在。
太眉に垂れ目にちょいと上向いた鼻、現代風の美人とは全く異なるところでしょう。
でもとにかく可愛く素敵な笑顔、どこか野性味を感じさせる妖艶さ、いたずらっぽいセクシーさ、、、ふぅ。
とにかく可愛い、美人とは違うけど可愛い、そんな彼女の魅力が爆発してますな、マジで。
ちなみに筆者は見てないですが、「セックス・アンド・ザ・シティ」のサマンサ役で出演していたそうですよ。
そんなエミーに恋をするジョナサン、演じるアンドリュー・マッカーシーもまた素敵。
頑固というか不器用というか、世渡り下手な青年ですが可愛らしく誠実そうで、ひ弱そうに見えながらもどこか芯の強さを感じさせます。
特に印象的なのが土砂降りの雨の中でマネキンを見つけた時の表情で、まるで長い時を越え最愛の人に出会えたかのような幸せそうな顔は今でもハッキリと覚えています。
マネキンとイチャイチャしたりドライブしたり、第三者に見つかった時のバツの悪そうな顔も良いですね。
さらにオカマの黒人従業員のテンションの高さ、やる気が空回る警備員のコミカルさ、どれもキャラが立っていて本当に面白いです。
最初っからノリノリで辻褄合わせの脚本にピッタリのキャスティングであり、粗さは感じるものの”夢”を”夢らしく”演出した潔さは非常に良い判断だったと思います。
まとめ
夢があって楽しい物語です。
良く考えれば幼稚とも言えるしツッコミどころも多い脚本ですが、ノリの良いリズムに彩られ、素敵な役者が紡ぐストーリーは本当に輝いて見えます。
スターシップが歌う歌詞のように、二人だけの「誰も触れることのできない世界で愛を見つける」のは正直に羨ましいもので、現実ではなかなか難しいものでもあります。
だからこそ純粋に好きな人と一緒にいられる幸せが感じられるわけで、そんな口に出すのも恥ずかしい”純粋さ”を映画にしたとも言えます。
古き良きハリウッド映画ですが、残念ながら現在はDVDが絶版になっているそうで、お目にかかる機会が無いのが悲しいところですが、ぜひとも観てほしい映画です。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。