ノーカントリー

No country for old men
(原題:No Country for Old Man)
2007年/アメリカ
上映時間:122分
監督/脚本
ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
キャスト
トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド/ギャレット・ディラハント/テス・ハーパー/他

 




 

 

2005年に出版された、同名小説を映画化したクライム・サスペンス。

メガホンを取ったのは、現代の米映画界を代表するとも評されるコーエン兄弟。

アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門での受賞と、彼らの代表作と呼べる映画です。

 

アカデミー受賞作!話題作!

こりゃー面白いに違いない!

当時そんな風に思っていた方、多いんじゃないすかね?

筆者もその一人です。

 

しかし深すぎる内容と社会背景を描く作品の壁は高く、安易に映画館へ行った方を叩き落とすような難しさ。

淡々と続く”社会の現実”を描く、エンターテイメントと映画の捉え方を考えさせられた作品でもあります。

 

 

 

さっくりあらすじ

1980年代のテキサス西部。

狩りに出ていたモスは、麻薬取引が行われていたであろう殺人現場に遭遇し、現場近くでブリーフケースを発見する。

ケースには大量の札束が詰まっており、身の危険を感じながらもモスは持ち去ることにした。

夜になり、再び現場を訪れたモスはギャングに見つかり襲われることに。

なんとか逃げ出したものの、置きっぱなしにした車から身元が割れ、金を取り戻しにやってきた殺し屋・シガーに命を狙われる羽目になる。

そんな血生臭い事態を察知した保安官のベルは、2人の行方を追い始めるのだが、、、

 

 

 

 

大金を見つけてしまったモス
演じるはジョシュ・ブローリン

 

キャラが濃すぎる殺し屋・シガー
演じるはハビエル・バルデム

 

老保安官・ベル
ボス星人ことトミー・リー・ジョーンズ

 

 

 

難解な作品の意図

ハッキリ言って上級者向けの映画です。

相当な気合を入れて観ないとポカーン(・Д・)となって終わりますので、あしからず。

 

老いた保安官を演じるトミー・リー・ジョーンズ。

ベトナム帰還兵の猟師を演じるジョシュ・ブローリン。

おかっぱ頭の殺し屋として、圧倒的な存在感を放つハビエル・バルデム。

 

まず物語の主役が誰なのか?

その判別からして難しいんですが、結論から言うと保安官のベルだと思います。

まぁ、原題が「No Country for Old Man」だから当たり前ではありますが、、主役級3人の中で最も出番が少ないのがキモですね。

この先祖代々続いた保安官という仕事を、生業にしているベルという男。

アメリカ全土での犯罪の多様性や残虐性が年々酷くなっており、彼が慣れ親しんだアメリカではなくなりつつあるわけです。

 

 

理不尽な暴力が簡単に人の命を奪ってしまう現実、そしてそれを制することができなくなった保安官。

哀愁漂う初老の男の視点が物語のテーマとなっています。

 

そんな透明感のあるテーマに、残酷さと奇妙な哲学を詰め込んだものだから難しくなっちゃうわけです。

その上インパクトが強すぎる殺し屋シガーの存在が余計難しくさせるわけなんですが、彼の理不尽な”暴力”にもちゃんと意味があるわけで。

 

演出面では効果音を極力使わず、生の音を多用している印象。

もの静かなシーンにゆっくりと差し込まれるサスペンス性が緊張と集中を生み、物語に引き寄せる引力を作ります。

かと思えばいきなりやってくる展開と結末はやはり呆気にとられます。

スローモーション見てて瞬きしたら終わってた、みたいなね。

 

 




 

 

まとめ

賛否両論が非常にハッキリ分かれる作品です。

理由は簡単、作品のメッセージが読み取れるかどうかで面白さの度合いが0にも100にもなるからです。

しかし、これほどの考察や解説を生み出す映画はそう多くはありません。

 

映画を観てディスカッションするのが好きな人は、間違いなくハマるでしょう。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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