ポセイドン


(原題:Poseidon)
2006年/アメリカ
上映時間:98分
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
キャスト:ジョシュ・ルーカス/カート・ラッセル/ジャシンダ・バレット/リチャード・ドレイファス/エミー・ロッサム/他

 




 

1972年公開にされた「ポセイドン・アドベンチャー」をリメイクしたパニック映画。

容易に察しがつくと思いますが、転覆した豪華客船からの脱出を目指すアドベンチャー的な要素も強めです。

 

公開当時には不可能だった映像を、現代のCG技術で復活させたと評される通り、目を見張るようなCG映像が満載。

特に製作に1年かかったとされる冒頭のシーンの完成度は凄まじく、豪華絢爛な客船も海も、とても作られたものだとは思えない素晴らしい完成度を誇っています。

 

正直なところ、作品としての内容は少々アレな感じもしないでもないです。

どちらかと言えばリメイク(そのまま作り直し)ではなく、リブート(設定を真似た違う作品)寄りな映画かなと。

 

 

 

さっくりあらすじ

豪華客船「ポセイドン号」では、大晦日を祝う盛大なパーティーが開催されていた。

しかし年が明けた直後に、巨大な波を受け船体は転覆し、多数の死傷者を出してしまう。

ひっくり返った船内は物と死体が散乱し、乗客はパニックを起こしていたが、船長は救助を待つようにと乗客を説得していた。

ギャンブラーであるディランは自身の勘で船内にいれば助からないと予測し、1人で脱出しようと考える。

それを見た元NY市長のロバートは、別エリアにいる娘を助けるために協力を持ち掛けるのだが、、、

 

 

 

 

ギャンブラーのディラン
1人だけでも助かろうと考える

 

元消防士で元市長のロバート
協力して脱出しようと提案する

 

給仕のマルコ(左)
本作最大の被害者

 

 

 

 

 

及第点なリメイク度

ラジー賞の最低リメイク賞にノミネートされた本作。

前作を観ていないので、本作のみの感想になりますが、個人的にはそれなりに楽しめました。

「ドラマ部分が薄い」との指摘が多かったそうなので、やはり同じシチュエーションを用意した別物として観るのが正解なのでしょう。

 

そもそも、前作が公開されたのが70年代ですからね。

比較した上での辛口な論評なんでしょうけど、時代が違うし、比べること自体に無理があるんじゃないかと。

ファミコンとPS4を比べようがないのと同じで、比べる基準が見当たらないですよね。

昔のゲームも面白いけれど、確実に今のゲームの方が良く出来てますから。

懐古主義も良いですけど、新しいものを新しい視点で見ることも大事かなと思います。

 

 

ちょっと話が逸れましたね。

物語としては至ってシンプルで、転覆した船内からの脱出、それだけ。

映画の尺のほとんどを脱出に使っているため、実際の時間軸で脱出しているかのような錯覚を覚えますね。

98分の行き詰まるサバイバルはなかなかどうして、切迫感と緊張感に包まれ、目が離せない展開が続きます。

 

主に活躍するのは1人で逃げ切ろうと考えるギャンブラーのディランと、皆で逃げようと考える元消防士(笑)のロバートの2人。

対照的な思考の持ち主ではありますが、徐々に考え方を擦り合わせ、生き延びるために協力する姿はそれなりに感動します。

まぁこの手の映画では無能or馬鹿な人物が足を引っ張るのがお約束ですし、それ故にまともで勇気ある人物がカッコよく見えるのも王道的なものでしょう。

 

全体的な重厚感にはやや欠ける気がしますが、それを捨てた上でのテンポの良さは現代風のエンタメ作品としては良い判断だったと思います。

ただし、テンポの良さを重視するあまりにバタバタ死んでいく仲間たちの姿は悲しいものです。

いやね、脱出劇だし犠牲を伴うのは仕方がないんだけどね、給仕のマルコの死にざまがもう不憫で不憫で。。

 

天災による事故死や、脱出の最中での事故死とは到底呼べず、どう見ても人災であり、殺人事件とも受け取れます。

演じたフレディ・ロドリゲスが本当に親切そうで、優しそうで、人の好さが伝わるような素晴らしい演技でした。

人を思いやりつつも、誰かを助ける勇気も持ち合わせ、どうせ死ぬだろうと予測はしていましたが、こんな死に方をするとはねぇ。。

 

極限状態における被害者の判断は責められないとは思いますが、こうも露骨に見せられると少々不快感が上回りますね。

もし自分が一緒に逃げるメンバーであれば、次の生贄は間違いなくあのジジイになることでしょう(笑)

 

 

あとは余談ですが、やはり船のスクリューって何とも言えない怖さがありますよね。

巻き込まれたら一瞬で餃子の具みたいになるんだろうというイメージが、頭から離れません。

それが豪華客船サイズになればなおさらで、最後の脱出の現場を見た時点で諦めてしまいそうです。

 




 

まとめ

前作がどれほどに良作なのかは分かりませんが、本作もエンタメ作品としては十分に楽しめる内容です。

海の怖さ、水の怖さ、ゆっくりと近づくタイムリミットの不気味さと、どれを取ってもバランスよく、テンポ良く。

ややB級パニックな感は否めませんが、どうみても駄作ではないですね。

 

ただし、エンタメとしての娯楽性は及第点ですが、パニック系としての予定調和を崩そうと、無駄に予想外をねじ込んだところだけは、マイナスだと言っておきます。

でも、それなりに面白いよ。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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