(英題:Project A)
1983年/香港
上映時間:106分
監督/脚本:ジャッキー・チェン
キャスト:ジャッキー・チェン/サモ・ハン・キンポー/ユン・ピョウ/他多数
押しも押されぬ世界のスーパースターである、ジャッキー・チェン主演のカンフーアクション映画。
代名詞でもあるノースタント、体を張りまくったアクションをこれでもかと盛りつけ、迫力ある映像は必見の価値あり。
若い世代は知らないかもしれないでしょうが、現代のジャッキー・チェンが送る明るく楽しいアクション映画とは明らかに異なるものではあります。
「酔拳」「スパルタンX」「ポリス・ストーリー」など、肉体的に全盛期の頃のジャッキーは別次元を行く桁違いのアクション・スターであり、ガチでもの凄いアクションを売りにしていました。
”アクション”という演技を軸に、いかに美しく、迫力があり、面白いのか。
CGやワイヤーアクションに頼らない、生身の人間の限界に挑戦し続けた偉人として、深く尊敬するばかりでございます。
さっくりあらすじ
20世紀初頭、イギリス統治下の香港。
香港沖を縄張りにする海賊たちが横行し、水上警察はことごとく海賊を取り逃す失態が続いていた。
さらに陸上警察との諍いの末に大乱闘を起こし、最終的に陸上警察に吸収される形で傘下に収まってしまう。
ある日、海賊撲滅のために派遣されたイギリス海軍が提督もろとも海賊に捕まり、人質にされる事件が発生。
旧水上警察の代表としてドラゴンは陸上警察のジャガー隊長と和解し、コソ泥のフェイも加わった精鋭チームは人質の救出、並びに海賊の捕縛を目的とした作戦”プロジェクト・A”を開始するのだが、、、
”ドラゴン”ことジャッキーと”デブゴン”ことサモハン
息ピッタリ、職人芸のアクション
ユン・ピョウ
ブルース・リーのスタントを務めたことも
有名な落下シーン
3回も落ちました
夢中にさせる魅力
素早く、強く、派手でカッコいいカンフーアクション。
現在の30~40代のメンズであれば、誰もが一度は真似をした経験があるはずです。
超人的な身体能力と芸術的な格闘技術を持ちながらも、それに甘んじず、殺伐とした演出にならないように流血するようなシーンはできるだけ抑えてあります。
それに加え、ところどころにコミカルな笑いを挟むジャッキー流のエンターテイメントは、この時点で既に完成されていたと言っても良いでしょう。
先輩、後輩の間柄であるサモ・ハン・キンポーとユン・ピョウとの相性も良く、超人同士だからこそできる、素晴らしいアクションの数々は観る人の心を鷲掴みにする魅力が詰まっています。
迫力、アイデア、ユーモア、どれを取っても一級品であり、香港アクション映画の金字塔と言えるだけの密度がありますね。
見どころとしては大きく2つ。
陸上警察との喧嘩と、海賊のアジトへの潜入。
最初の陸上警察との乱闘シーンは得意の小道具を利用し、ややコミカルなアクションが映えます。
ジャッキーほどの知名度は無くとも、ジャッキーと同等に動き回るユン・ピョウのアクションも必見です。
そして最後のジャッキー&サモハン&ユン・ピョウvs海賊の頭。
脚が悪く杖をついて歩くお頭ですが、いざ戦闘となれば筋骨隆々の体と怪力を武器に大立ち回り。
演じたディック・ウェイは主に悪役を演じる本格派アクション・スターとして、知る人ぞ知る有名な御方。
テコンドーや散打で鍛えあげた肉体が繰り出す、速さと重さを兼ね備えた美しいアクションはジャッキーに勝るとも劣りません。
所狭しと、あらゆる道具を駆使し、3対1で戦うシーンは非常に見応えがあり、何度観ても飽きることはありません。
この芸術的とすら思えてしまうアクションの数々は本当に一度観てみてほしいですね。
これほど心を熱くさせるアクション・エンターテイメントは、そう多くはありませんよ。
まとめ
優れた身体能力を限界まで駆使し、より派手に、よりコミカルに。
あらゆるアイデアを注ぎ込んだ作品として、個人的にはジャッキー映画の中で最も内容の濃い作品だと思っております。
またユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーとの共演も素晴らしく、マニアな方はこれだけでご飯3杯はイケることでしょう。
最後に真面目な話をすると、かつての香港アクション映画というものには”コミカル”という概念は少なく、派手に見栄えするものは意外にも少ないものでした。
画面狭しと動き回り、感心するほどの超絶アクションとユーモアを前面に押し出すジャッキー・チェンのスタイルは、香港アクション映画の指針を示したという意味でも非常に価値のあるものなんです。
歳を重ね、アクション・エンターテイメントの最前線からは退いてしまったジャッキー氏ですが、どれほどに凄いことをやっていたのか、また彼が本気を出すとどれほど超人的なのか。
若い世代には特に観て欲しい作品ですね。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。