(The Quick and the Dead)
1995年/アメリカ
上映時間:107分
監督:サム・ライミ
キャスト:シャロン・ストーン/ジーン・ハックマン/ラッセル・クロウ/レオナルド・ディカプリオ/トビン・ベル/ロバーツ・ブロッサム/ケヴィン・コンウェイ/キース・デイヴィッド/ランス・ヘンリクセン/他
「氷の微笑」で世界的なセックスシンボルとして、当時の映画界に君臨していたシャロン・ストーンが孤高のガンマンを演じた西部劇。
ようやくオスカー俳優に輝いたレオナルド・ディカプリオが、当時の期待の若手として起用された作品でもあります。
ついでにオーストラリアで実力派俳優として、無双状態だったラッセル・クロウのハリウッドデビュー作でもあります。
そしてボスキャラに幅広い演技力を誇る、名俳優ジーン・ハックマンを起用。
監督には「スパイダーマン」シリーズで知られるサム・ライミを据えるなど、今考えてみるとなかなかに豪華な布陣で挑んだ映画となっています。
さっくりあらすじ
荒野の開拓地、さびれた田舎町のリデンプションにて。
悪名高い市長で権力者のジョン・へロッドにより年に一度の早撃ちトーナメントの開催が近づき、各地からガンマンが集結していた。
類まれなる美貌を持つ謎の女性ガンマンのエレン。
保安官だった父をヘロッドに殺された過去を持つ彼女は早撃ちの技術を磨き、復習を果たすために舞い戻ってきたのであった。
圧倒的な強さを誇るへロッド。
若き天才ガンマンでありへロッドの息子・フィー。
銃を捨て、牧師となったコート。
そして孤高のガンマン・エレン。
それぞれの思いが交錯する中、次々と戦いが始まるのだが、、、
シャロン・ストーン
端正な顔立ちとエロスな雰囲気を併せ持つ
レオ様
クッソ生意気な天才ガンマン
何でもこなせる万能俳優ジーン・ハックマン
当時はまだ無名だったラッセル・クロウ
西部劇ファンに嫌われた佳作
西部劇とはアメリカ人にとって、深い文学や美学のような面があります。
日本で言う時代劇もそうですが、映画通を自称する人たちは必ずと言っていいほど古典的な西部劇を好む人が多いように思います。
「明日に向かって撃て」とか、「荒野の七人」とか、「真昼の決闘」とか。
通に言わせると、正義のガンマンがやむを得ずに銃を抜く姿に、男としての深みやロマンがあるのだそうです。
本作ではそういった西部劇の哲学を、よりカジュアルにアレンジした映画の実現を目指した意気込みを感じます。
そういう意味では女性を主演に据えることで、カチカチに固まった西部劇の固定観念に変化をもたらそうとしたのかもしれません。
結果的には西部劇を好む人々から酷評され、赤字になり、人気が右肩下がりだった西部劇モノのの衰退に一役買ってしまったわけで。
残念だなと思う一方で、個人的にはまぁまぁ面白かったんですけどね。
原因を挙げるのであれば、シャロン・ストーンがガンマンを演じる、というのが難しかったような気がしますかね。
西部開拓地ならではの埃っぽいような小汚い格好はしているものの、あまり馴染んでいるとは言いがたく、悪い意味で美貌が光っている印象。
銃裁きや乗馬など、すごく努力したのはよく分かりますが、美貌が邪魔をして迫力には欠けています。
そんなシャロン・ストーンがダダをこねて連れて来たと言われるだけあって、レオ様はとても良かったです。
まだ幼く、カッコいいと言うよりは可愛い感じのあどけない少年ですが、最強の父親という壁を乗り越えるべく奮闘する姿が存在感を発揮しています。
俳優陣の中ではぶっちぎりで若手ですが、現在の中心的スターだけに、この時からすでにその才能が開花しかけているのが見て取れますね。
そしてラッセル・クロウ。
いまやハリウッドでも指折りの演技派俳優ですが、この当時はまだ無名に近い俳優でした。
現在ではワガママで演出や脚本に横槍を入れるので有名ですが、それも映画に対する情熱からくるものだと解釈しています。
良くも悪くも職人気質な俳優さんであり、それを以てしても納得できるほどの深い演技力を誇ります。
さらに大御所ジーン・ハックマン。
遅咲きの俳優として有名ですが、チョイ役から主役まで、善人も悪人も演じわける多彩な顔を持ちます。
本作ではラスボスの悪徳保安官を演じているわけですが、その悪の魅力は本作随一ですね。
まとめ
昔はよく金曜ロードショーとかでやってたんですよね。
古典的な西部劇を新しい形にアレンジした挑戦的な作品だけに、賛否が分かれるのは仕方ないことなんですが。
興行的には失敗と言える結果だったようですが、それでも個人的には楽しめた作品です。
王道的なストーリーに少しアクセントをつけた西部劇。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。