
(原題:Tropic Thunder)
2008年/アメリカ
上映時間:107分
監督/脚本/原案:ベン・スティラー
キャスト:ベン・スティラー/ジャック・ブラック/ロバート・ダウニーJr./ブランドン・T・ジャクソン/ジェイ・バルチェル/ニック・ノルティ/ダニー・マクブライド/スティーブ・クーガン/マシュー・マコノヒー/トム・クルーズ/他
「ナイトミュージアム」でお馴染み、ベン・スティラーが監督・脚本・製作を努めたアクション・コメディ。
「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラック。
「アイアンマン」のロバート・ダウニーJr.。
そしてイーサン・ハントこと大御所トム・クルーズ。
このハリウッドを代表する面々が終結した、ブラックジョーク満載の映画です。
「メリーに首ったけ」「ドッジボール」「ナイトミュージアム」のように、ファミリーやカップル向けなライト属性の作品を中心に、様々なアイデアで楽しませてくれるベン・スティラー。
そんな映画作りに飽きたのか、その鬱憤を晴らすが如くかなりクセがあり、場合によっては笑えないレベルのコメディなので人は選ぶ作品かと思います。
さっくりあらすじ
ベトナム戦争の実話を元に、製作予定の大作映画「トロピック・サンダー」
落ち目のアクションスターにヘロイン中毒のコメディ俳優、そして5度のオスカーに輝くカメレオン俳優が終結し、撮影が始まるも5日目にして予算が底を尽き、撮影続行不可の危機に瀕していた。
プロデューサーの圧力に息も絶える想いの新人監督に、「リアルな演技を求めるのなら、アイツらをクソの中に叩き込め」と原作者は囁き始める。
それを聞いて意を決し、主要俳優5人をジャングルへと連れて行く監督。
無数のカメラを配置し、リアルな撮影を観光しようとしていたのだが、、、
落ち目のアクションスター・ダグ
安定のベン・スティラー
ガチなカメレオン俳優・カーク
ロバート・ダウニーの演技は必見
金に汚いプロデューサー・レス
この人マジで危ない
映画製作の側面
有無を言わさぬスーパースター達が終結したであろう、異常に豪華なキャスティング。
演技において本来は非常に賢いであろう俳優陣ですが、みなさん一貫して目が据わっているというか、冷静にイカれている雰囲気がどうにも不気味な印象でした。
これを狙ってやるのはさすが一流の演技です、、よね?
役作りに込める情熱に反して色褪せていく人気、そしてワンパターンと呼ばれることへの恐怖。
そんな俳優として生き残るための努力や信念、映画俳優という人種の生き方はある意味でカッコよく見えます。
しかし俳優としての魅力をかき消すような、度を超えたおバカなノリで全て帳消しになっている印象ですね。
すごく下らない脚本をすごく真面目に撮影したような、意味がありそうでやっぱり無さそうな、、そんな微妙なバランス感覚で作られた作品なわけで。
それは面白いのか、面白くないのか、、
判定が非常に難しい作品ですね。
演出面では、斬新でユニークなアイデアもチラホラと垣間見えます。
特にあからさまに適当に作ったCMや映画予告は、これから現れる俳優の紹介も含め、非常に面白いアイデアでした。
ついでに伏線にもなっています。
しかしファミリー向けにできない理由としては、まずグロい。
とってもグロい。
新人監督がジャングルに一行を連れてきた辺りのシーンなんかは本当にグロいので、耐性が無い方はきついと思いますよ。
そしてイカれた倫理観。
こっちはそんなにひどいものではないですが、やはりライト層のコメディ好きには対しては、やや過激な表現が多いように感じます。
とはいえ、映画のクォリティで考えると相当に完成度は高いです。
こんなに下らないお話のために実際に本物のジャングルで撮影し、爆破シーンを作り、非常に丁寧で作りこまれた演出のレベルは素晴らしいというか何というか。
評価すべきところはジャック・ブラックとロバート・ダウニーJr.というアドリブ大好き俳優達の個性を伸ばし、欠点は抑えていくベン・スティラーの巧みな撮影技法でしょう。
誰かが突出して目立つわけでなく、良い意味でバランスを取れるのはコメディ俳優としてのキャリアを感じさせますね。
そして、本作で最も特筆すべきはトム・クルーズの存在でしょう。
イーサン・ハントこと、正統派アクロバティック俳優である彼がこんな役を引き受けるとは、、しかもメチャクチャ面白いし。
スタント大好きな凄腕エージェント以外に、彼にこんな才能が眠っていたとは。
天才は何をさせても天才なんですね、何故か嫉妬してしまいました。
まとめ
よく練られた脚本に、スター達によるコミカルながらも高い演技力。
オーウェン・ウィルソンは訳あって参加できなかったようですが、トム・クルーズの存在感が補って余りあるのでヨシとしておきましょう。
グロ系とアホな倫理観に耐性のある方、もしくは一周回って笑えるお方には安定のベン・スティラー風コメディといったところか。
ギリギリのブラックジョークのオンパレードなので、ユーモアのセンスが問われる作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。