ロボコップ

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(原題:RoboCop)
1987年/アメリカ
上映時間:103分
監督:ポール・バーホーベン
キャスト:ピーター・ウェラー/ナンシー・アレン/ロニー・コックス/カートウッド・スミス/ダン・オハーリー/ミゲル・フェラー/ロバート・ドクィ/他

 




 

ややエグめなバイオレンス描写に独特の倫理観を重ね、「ターミネーター」と共に80年代を代表する、近未来を描いたSF映画です。

昔は「金曜ロードショー」とか「日曜洋画劇場」とかでよく放映されていたように思いますが、最近は全くやらなくなってしまいましたね、大人の事情でしょうか?

ちなみに2014年にリメイク作品も公開されています。

 

監督を務めたのは「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「インビシブル」なんかで有名なポール・バーホーベン。

当時は原作の無いSFヒーローものなど、見向きもされない時代。

まして「ロボコップ」なんてタイトルの映画なんぞ誰も撮りたがらず、結果的にバーホーベン監督に押し付ける形になったという逸話もあります。

ちなみに当のバーホーベン監督も脚本を1ページ読んで捨てたそうですが、奥様の助言で撮影に前向きになったとか、、やはり女性は偉大ですな。

 

 

 

さっくりあらすじ

かつて自動車産業で栄華を誇っていたが、現在では凶悪な犯罪都市と化してしまったデトロイトは、巨大複合企業のオムニ社により街全体を支配されていた。

オムニ社はデトロイトに新たなる都市「デルタシティ」を築くため、犯罪撲滅に向けて警官に取って代わるロボットの開発を続けていたものの、事故を起こしてしまったせいで計画は白紙に戻ってしまう。

デトロイト市警に配属されたマーフィ巡査は相棒のルイスと共に、警官殺しで手配中のマフィアを追うが、逆に敵に捕まり処刑されてしまう。

”警官のロボット化”を模索していたオムニ社はマーフィの遺体を引き取り、生体部分を利用し「ロボコップ」として蘇らせるのだが、、、

 

 

 

 

robocop-1987-04生前のマーフィ巡査
中の人はガチな仏教徒

 

完成品がこちら
専用拳銃”オート9”がイカす

 

robocop_276pyxurz相棒のルイス
正義感溢れる女傑

 

 

 

 

”資本主義”と”倫理”

もう設定が最高ですよね。

近未来のデトロイトではオムニ社が文字通り君臨しており、会社員から警察官まで、全てオムニ社の管轄で行政が行われています。

一般的に国が(公務員が)管理する「市民の安全」というものを、民間の会社が執り行っているわけです。

これは究極の資本主義社会ですよね。

 

近未来が舞台ですが、何かと派手で汚く、そして空っぽな80年代という時代を象徴するような背景が印象的。

同じく80年代に生まれた世代としてはどことない懐かしさと目新しさ、あとバブリーな空虚さを感じます。

全体的にブラックというか、ちょっとした小ネタにもシニカルな要素が強く、またそれをボカさずに表現する辺りが本作の”味”と言えるでしょう。

この点で、いわゆる”B級映画”とは一線を画していると思います。

 

 

やや非現実的な”ロボコップ”という存在を描いた本作ですが、単なる娯楽作品に留まらず様々な問いかけがあるように感じます。

 

家族思いで正義感の強い警官がサイボーグとして蘇り、法を執行していく一方で徐々に蘇る、人間の時の記憶に思い悩む姿。

デトロイトのマフィアと結託し、街の支配を一層強めようと暗躍するオムニ社。

人間なのか?機械なのか?の境界線で思いっきり機械扱いされている実験台のようなマーフィ。

 

このような倫理観を揺さぶる設定は個人的に面白く、”素晴らしいアイデアに伴う倫理”というものは現実世界にもままある話ではないでしょうか?

 

 

特筆すべきところは、やはりロボコップの造形でしょうか。

鈍重で強靭なボディはあらゆる重火器を跳ね返し、コンクリートも軽々砕くパワーを誇り、専用拳銃オート9での極めて精密な射撃。

そのヴィジュアルもあいまって非常に男のロマンをくすぐる、魅力的な存在です。

昨今で流行っているスピード重視のスタイリッシュアクションとはまた違うカッコよさがあると思います。

 

ちなみにスーツは着脱が面倒で非常に重く、主演のピーター・ウェラーがマシンの動きの練習をしたにも関わらず満足に動けなかったことから深く落ち込み、撮影が遅れるというアクシデントがあったそう。

ついでにスーツのデザインを巡り、監督とデザイナーがガチ喧嘩をしたとも言われています(笑)

 

 

そしてロボコップの前身となるポンコツロボット”ED209”の存在。

人工知能搭載の自立兵器ですが、全く役に立たず事故を起こしたためにお蔵入りし、結果としてロボコップの開発に着手します。

その無機質で不気味な動きはストップ・モーション・アニメと呼ばれる技法で、これは今や職人芸と呼べるほど貴重なものになっております。

 




 

まとめ

社会風刺、ブラックジョーク、そしてエグい描写など、むしろよく子供が起きている時間にやっていたなとも思えるアクの強い作品です。

特に序盤のマーフィが殺害されるシーンはなかなかのグロさ、人によっては閲覧注意レベルなのであしからず。

しかし古い映画ながらも、今でも色褪せない魅力があると断言できます。

 

機械とヒューマニズム、そして社会的な倫理観。

アクションだけでなく、できればそういった面にも注目してみてください。

 

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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