2017年/日本
上映時間:149分
監督:原田眞人
キャスト:岡田准一/役所広司/有村架純/平岳大/東出昌大/松山ケンイチ/伊藤歩/他
司馬遼太郎の歴史小説を元に、日本史に残る「関ヶ原の戦い」を描いた戦争群像劇。
豊臣秀吉の死から始まる、石田三成と徳川家康との一連の闘いが描かれます。
大きな声では言い辛いところですが、個人的には戦国史よりも三国志の方を好んで読みます。
日本史については「信長の野望」をプレイするくらいですし、あとは「センゴク」と「バガボンド」と「花の慶次」くらいなんで、色々と偏った知識なのは間違いないでしょう。
なので司馬遼太郎先生の原作も読んだことのない筆者ですが、偏った知識なりに、そこそこ楽しめた印象です。
さっくりあらすじ
死期が迫る豊臣秀吉の裏で、徳川家康は豊臣に忠誠を誓う者とそうでない者を見極め、水面下で仲間に引き入れようとしている。
かつて秀吉に見出され、片腕として仕えている石田三成はその思惑を見抜き、女忍を通じて徳川側の動向を探っていた。
秀吉亡き後、後継者・秀頼の後見人となった家康は次々と配下を従え、勢力を拡大していく。
そして東軍(家康)と西軍(光成)は、関ケ原の地で相対するのだが、、、
石田三成
秀吉に心酔する正義の男
徳川家康
秀吉亡き後の天下を狙う
島左近
多分一番カッコいい
劇場版大河ドラマ
とでも言うんですかね、とにかく細かい説明ナレーションが印象的。
それ自体は悪くはないものの、全10話くらいに分けられそうな映画を2時間半にまとめたせいか、とにかく早急さが目につきます。
テンポ良くと言うにはあまりにも早く、また細かい登場人物の描写もあり、情報過多が過ぎるかなと。
それ故にドラマ性の希薄さが浮き彫りになり、本来は演出するべき登場人物の心情をナレーションで片付けるシーンもチラホラと。
悪く言えば手抜きに見えなくもないです。
長い物語を短縮するためのナレーションなんでしょうが、だったら映画じゃなくても良かったじゃないかという、何とも本末転倒な完成度ですな。
とはいえ決して退屈な作品というわけでもなく、短い尺でも存在感を発揮する俳優陣と、迫力ある合戦は中々に見るものがあると思います。
この規模と装備で、大規模な合戦を演出した映画は多くはないでしょうし、それだけでも観るに値するんじゃないかなと。
ただし、ヌル歴史好きの筆者と、ガチな歴史ファンの温度差は考慮して然るべき。
史実を読むのが好きな方から見れば退屈な映画だとも思いますし、やや歴史スペクタクル系に寄っている感も否めません。
まぁ基本的に歴史ものはファンの思い入れも強く、万人受けするものは無理なんじゃないかなとも思いますが。
物語としては、悪徳な徳川家康に対抗しようと奮闘する石田三成を描き、ちょこちょこと有村架純とイチャつく流れ。
あえて嫌味な書き方をしましたが、個人的にはこういったアイドル女優を無理に登場させるのが嫌いなもんで。
いや、有村架純さんは可愛いんだけどね。
物語の流れで決して必要の無い女忍を描き、石田三成とのロマンスを描く。
どう見たって必要無いプロットだし、むしろ他の描写に尺を使えよと。
「天下分け目の決戦」だし、国の頂点に立つための戦いという大義名分があるのにも関わらず、それを台無しにしちゃうキャスティングこそが最大の問題点ですよ。
さらに言えば、岡田准一と役所広司という、主役2人の技量差も少々気になります。
窮地に追い込まれながらも粘りに粘り、何とか決戦まで持ち込んだ苦悩が微妙に伝わってこず、いざ合戦が始まれた先頭で無双する岡田三成。
何だかイメージしている三成像と剥離があり、結局いつもの岡田君といった感じですよ。
アイドルならではの爽やかさが隠しきれないところも含め、思ってたほど器用に演じ分けられるタイプじゃないのかもしれません。
対して、圧巻の演技力で肥えた権力に酔う徳川家康を演じる役所広司はさすがの存在感。
老獪で非情な家康の役作りは十分ですし、合戦中に楽しそうにはしゃぐ姿にはちょっとした狂気すら感じさせます。
何よりも「敵に回したら怖い」感は相当なものであり、これはさすがの一言ですな。
そんな2人に割って入る島左近もまた素敵。
とにかく硬派で勇猛果敢、そして義に厚いと、申し分の無い豪傑です。
演じる平岳大のビジュアルもあり、男臭くセクシーな所作がシビれますね、、、ふぅ。
後は繰り返しになりますが、何より「関ケ原」を描く作品なんですし、下手なドラマよりかは「合戦」そのものを描いた方が面白かったかもしれませんね。
開戦から何が起きて、何故に石田三成は破れ、また何故に徳川家康が勝ったのか。
そこまで焦点を絞って、6時間と推定される合戦を研磨すれば、2時間半で濃い戦争ドラマが作れたんじゃないかなぁ。
まとめ
何だかマイナス面ばかりが印象的でしたが、でも退屈な作品だとは思ってませんし、むしろそこそこ面白かったと思っています。
もっと面白くなったであろう伸びしろを感じるだけに、勿体ない気持ちも拭えませんが、史実と擦り合わせて観ればより魅力的に感じるかもしれません。
。
ライトな歴史好きであれば、そこそこ楽しめると思います。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。
オマケ
諸説ありますが、東軍74,000人vs西軍84,000人が激突したとされる関ケ原の戦いで使用された鉄砲の数はおよそ25,000丁に上るんだとか。
当時の欧州全土で保有された重火器が約30,000丁だと言われており、それに匹敵する数の鉄砲をつぎ込んだ関ケ原の凄惨さが良く分かりますな。
ちなみに、火縄銃が日本に伝来したのが1953年頃(諸説あり)とされており、ポルトガルの商人が2丁運んできたのは有名な話です。
絶対に見本であっただろう鉄砲の製法を分析し、かの有名な火縄銃「種子島」が誕生するわけですが、その期間がたったの1年。
モノづくり日本、恐るべし。