(原題:Spider-Man2)
2004年/アメリカ
上映時間:127分
監督:サム・ライミ
キャスト:トビー・マグワイア/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/アルフレッド・モリーナ/ローズマリー・ハリス/ドナ・マーフィー/J・K・シモンズ/エリザベス・バンクス/テッド・ライミ/他
というわけで、「スーパーパワーを身につけてしまった凡人の苦悩」から「普通の人間として生きるか、ヒーローとして生きるかの葛藤」にシフトした2作目。
「自己愛」と「自己犠牲」
人間を遥に超越する”力”を持つヒーローは、どのように生きていけばいいのか?
自分が身体を張って人助けをする対価は何なのか?
日常の中にヒーローが実在するとして、彼らが何をモチベーションに戦うのかを現実的に描いた本作。
ピーターという1人の人間の内面や苦労を掘り下げたドラマとして、超人vs怪人の戦いを描くアクションとして、正当にパワーアップした面で多大な評価を得た作品でもあります。
さっくりあらすじ
グリーン・ゴブリンとの死闘から2年。
大学生となったピーターはスパイダーマンとして悪と戦う日々を過ごしていたが、多忙を極めた生活は徐々に破綻し、大学の単位を落とした上にバイトもクビになってしまう。
ある日、ピーターはハリーの紹介で、オズコープ社の核融合プロジェクトを仕切る高名な科学者・オクタビアス博士に会う。
翌日のプロジェクト発表にデモンストレーションにて、脊髄に直結する人工知能アームを身につけ実験を披露するオクタビアス。
しかし実験装置が暴走し、人工知能を制する制御チップが故障。
意識不明になり、病院に運ばれたオクタビアスだったが人工知能に思考を乗っ取られ、「ドック・オク」として覚醒してしまった。
一方、ヒーローと大学生活の両立に限界を感じ始めていたピーター。
自分の使命に迷いが生じ、超人的な力が消え始めてしまうのだが、、、
ケチな鬼編集長
J・K・シモンズは今回も健在
本作のボス
「ドック・オク」ことオクタビアス博士
グリーン・ゴブリンだった父の仇
ハリーはスパイダーマンの命を狙う
2作目にして最高傑作
サム・ライミ監督作品として3部作のスパイダーマン、本来は1作目と3作目の繋ぎになるポジションですが、最も「上手」に作られたのは本作で間違いないでしょう。
日常生活と人助け、両立が非常に困難でまっとうな生活が送れないピーター。
ヒーローそしての感情に迷いが出た彼はスーパーパワーを失ってしまうわけですが、これは気持ちの整理がつかず「中途半端な状態では何ひとつ上手くいかないんだぞ」というメッセージにも見えます。
超人的な筋力はもちろん糸も出せなくなり、急に視力が落ちたりするのも演出が細かくて説得力があります。
開き直ってスパイダーマンを辞め、一転して充実していくピーターの生活。
学業もバイトもM・Jとの関係も、ヒーローとして活動さえしなければ私生活は上手くいくわけです。
誰のために、何のために「自己犠牲」に身を投じるのか。
そんな葛藤に焦点を合わせた脚本は非常に素晴らしかったと思います。
「小さなことでウジウジ悩むなよ」という意見も多いようですが、悩みなんて傍から見たら誰でもそんなもんですよね(笑)
今回は覆面ヒーローとしては禁断とも言えますが、激しい戦いの末に一般人に正体がバレてしまいます。
素顔が晒され、どうリアクションしていいか分からないピーターに対し、皆が伝えたのは「正体は誰にも言わない」ということ。
愛するM・Jのために戦うことに迷いは無くとも、今まで機会が無かっただけの「みんなからの感謝」を受け取ることでやっと使命を取り戻すピーター。
これは名シーン。
列車での迫力溢れる戦闘も含め、非常に評価の高いプロットでもあります。
赤毛のビッチことM・Jは本作で大幅にパワーアップ。
構ってちゃんな上に、婚約者にもえげつない振る舞いをしたことで散々に叩かれています(笑)
あくまで役が悪いんであって、キルスティン・ダンストに当たるのは止めましょう。
ていうか皆ブスブス言うけどさ、個人的にはけっこう可愛いと思うんだけどなぁ。
愛嬌ある人って素敵じゃない?
まとめ
最終的にM・Jにも親友ハリーにも正体がバレてしまうわけですが、ピーターも含め全員の心境の変化も見所であり、「3」へと続く伏線でもあります。
冒頭で述べた通りに深いドラマ性、迫力あるアクション性が非常に高いバランスで噛み合っており、映画としての完成度はこの2作目が一番高いと思います。
正義を貫く代償と責任の重さ、ヒーローに欠かせない「偉大な勇気」を描いた秀作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。