マグノリアの花たち

steel-magnolias
(原題:Steel Magnolias)
1989年/アメリカ
上映時間:116分
監督:ハーバート・ロス
キャスト:サリー・フィールド/ドリー・パートン/シャーリー・マクレーン/ダリル・ハンナ/オリンピア・デュカキス/ジュリア・ロバーツ/トム・スケリット/サム・シェパード/他

 




 

1987年にオフブロードウェイとして、2005年にはブロードウェイとして公演され、世界各国でも演劇として公演されているロバート・ハーリング氏による群像劇。

 

田舎の小さな美容院と、そこに集まる女性たちの人生を描いた愛情、友情、生命の物語です。

興行的には芳しくなく、大ヒットした映画とは言えませんが、紛れもなく名作です。

 

特筆すべきは豪華な女優陣。

アカデミー女優のサリー・フィールド
(ノーマ・レイ/プレイス・イン・ザ・ハート/フォレスト・ガンプ/アメイジング・スパイダーマン

同じくアカデミー女優のシャーリー・マクレーン
(愛と追憶の日々/バレンタイン・デー/LIFE!

同じくアカデミー女優のオリンピア・デュカキス
(月の輝く夜に/アウェイ・フロム・ハー・君を想う)

アメリカでは女優、歌手、作曲家とマルチに活躍しているドリー・パートン。

そして後にアカデミー女優となる、若かりし頃のジュリア・ロバーツと信じられないほどの豪華な顔ぶれ。

 

不勉強なもので、「見たことある人ばかりだなぁ、、」なんて思っていたら名だたる大物ばかりでしたね、すみません。

 

 

 

さっくりあらすじ

ルイジアナ州の小さな町にて。

犯罪者の夫に悩むアネルがトルーヴィが経営する美容室に就職した日、その日は近所に住むマリンの娘・シェルビーの結婚式当日だった。

髪をセットしに来たマリンとシェルビー、さらに前町長の未亡人・クレリー、トラブルメーカーのウィザーも加わり、憎まれ口を叩きながらも楽しく語らっていた。

シェルビーは弁護士のジャクソンと結婚、しかし糖尿病を患う彼女が子供を持つことは非常にリスクが高く、妊娠が判明したクリスマスにマリンと口論になってしまう。

命を懸けてでも子供を産みたいと決心したシェルビーはそのまま男の子を出産、そしてアネルはシェルビーの結婚式で出会ったサミーと恋に落ちるのだが、、、

 

 

 

 

SteelMagnolias_3新米美容師・アネル
彼女が町に越してきてから物語が始まる

 

Steel-Magnolias2トルーヴィが経営する美容室
小さな町の社交場

 

Steel-Magnolias5実力派大物女優たち

 

 

 

 

”愛”が紡ぐ、”命”の物語

物語冒頭、冴えない若手美容師が町一番の美容室で職を得るところから物語は始まります。

序盤はコミカルな描写が多く、ほっこり系のコメディドラマのようにも感じますが、後半はグッと引き締めて本格ヒューマンドラマへとシフトしていきます。

 

群像劇なので、ハッキリとした主役は存在しませんが、母マリンと娘シェルビーを中心に物語は進んでいきます。

素晴らしいのはまだ若く、演技にも粗さが見えるジュリア・ロバーツを周りで支える5人の女性たち。

各国の映画賞受賞、ノミネート経験があるだけあって非常に高い演技力を誇ります。

 

個性豊かで色鮮やかなキャラクター性を発揮しながらも、決して前に出るわけでもなく、経験不足な女優をカバーしながらも印象深い演技をするという神業レベルの仕事はまさに職人といったところ。

 

立場をわきまえ、脇役に徹するところに女優としてのプライドを感じます。

ちょっとしたセリフや表情でクスリと笑えるものの、コミカルな方面へ寄りすぎない絶妙なバランス感覚。

リアルにおばちゃん達の雑談を聞いているようで、自然でさりげない面白さがありますね。

どの人物も相応に欠点があり、良いところもあり、人間臭い魅力に溢れています。

 

 

同じ地域で、同じように生きてきた女性たちの絆。

ツギハギだらけでも、しっかりと築かれた互いの信頼感。

小さな片田舎で、つらいことも楽しいことも全て分かち合える女性たちの日常は面白いものですね。

 

女性の社会進出がより先進的に、現実味を帯びてきた現代で、彼女たちが描く物語はきっと何かの励みになるはずです。

よく働き、笑い、泣き、怒り、生活感や気持ちを共に生きていける環境は胸を打ちますよ。

 

 




 

まとめ

古臭くて地味な作品ですが、間違いなく「良い映画」です。

 

女性はやっぱり強し。

メンズには辿り着けない心の強さを感じます。

 

楽しくても悲しくても、ひたすらに淡々と流れる時間という概念。

そこに愛が生まれ、新たに生命が生まれ、そして儚く消えていく。

当たり前の日常というものに、これほどの価値を感じさせる映画は珍しいと思います。

 

オススメです。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。


 

 

 

 



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