2002年/日本
上映時間:99分
監督:園子温
キャスト:石橋凌/永瀬正敏/麿赤児/迫英雄/さとう珠緒/宝生舞/野村貴志/ROLLY/ジョシュア/辻岡正人/他
若者による集団自殺をテーマに描いたサスペンス・スリラー。
大勢の女子高生が手を繋ぎ「せーの!」で駅のプラットホームに飛び降りるという、極めてショッキングなシーンが当時話題を呼んだと記憶しております。
1990年代後半あたりからインターネットの爆発的な普及に伴い、ネットを通じた自殺や集団自殺が右肩上がりに増えているんだそうな。
特に日本は先進国の中では突出しており、最近では中年~老年の自殺率は下がっているものの、逆に若い世代の自殺は増えている傾向があるそうです。
実際にイジメや社会的なストレスで命を絶つといったニュースは、残念ながら頻繁に聞く気がします。
亡くなった方の気持ちは分かりませんが、もう少し生きる希望が湧くような、夢を見れるような世の中にはならんもんですかね?
さっくりあらすじ
新宿駅のホームから女子高生54名による、集団自殺が起きる。
直後に夜勤中の看護師2名が突然の自殺、残されたスポーツバッグには集団自殺した女子高生のものを含んだ皮膚で作られたと思われる紐状のものが発見される。
事件なのか?
事故なのか?
判断に困る警察の元に、自殺予告をしているサイトの存在を仄めかす連絡が入る。
後日、とある高校で再び集団自殺が起こり、彼らは「自殺クラブ」という謎の言葉を残すのだが、、、
「せーの!」で飛び込む女子高生
ショッキングな映像に明るいBGMが不気味
投げっぱなしジャーマン
綺麗な放物線を描き、ものの見事に投げっぱなしなジャーマン・スープレックスの如し。
平たく言えば意味が全く分かりません。
トマト祭りのように血飛沫で真っ赤に染まる電車のシーンに始まり、「じゃ、行ってくるわ」と軽いノリでの投身自殺。
そして怖いと言いながらも屋上から落っこちていく高校生たち。。
”死”に対する恐怖があまりにも欠如しており、およそ常識では考えられない思考回路でポンポン死んでいく演出は、恐怖よりも不気味さの方が遥かに上回っています。
その不気味さも何というか、、ある種の洗脳やカルト的な匂いが立ち込めていて、謎が解決しないままに進んでいくストーリーは悪い意味で不快です。
「アナタはアナタの関係者ですか?」という、いかにも意味不明な問いも個人的に全く響かず、そこに深さも謎も感じません。
一休さんか。
ブラックユーモアを狙ったような演出もチラホラ見受けられますが、どれもイマイチ面白くなく、ただただスベっている印象。
どう転んでも暗くなるテーマだけに、観るに堪える演出を狙った意図は理解できますが、それを表現できるほどのスキルは正直まったく感じないのが残念なところ。
この”観る者を翻弄する”というのが園子温監督の持ち味であるならば、筆者は苦手ですね。
起承転結をキッチリと表現できずに翻弄される映像集は”映画”とは呼べません、”ストーリー付きのPV”と呼ぶのが妥当なところでしょう。
とはいえ、非常に印象に残るモノであるのは間違いないし、鑑賞後に何かを思わせるだけの余韻はあります。
まとめ
何とも評価し難い作品です。
そもそも「面白い」か「つまらない」の枠で考えるのが間違っているようにも感じます。
映像的にグロめなシーンが多く、「血のりが余ったんですか?」と聞きたくなるほどに血まみれな映像が多いので、それ系が苦手な方はオススメしません。
全体的に唐突な物語で整合性が無く、ほとんどの方は観終わって???となることでしょう。
そんなぶん投げっぱなしの物語の考察が好きな方は、観ても損は無いでしょう。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。