
(英題:Tales from Earthsea)
2006年/日本
上映時間:115分
監督:宮崎吾郎
キャスト:岡田准一/手嶌葵/菅原文太/風吹ジュン/田中裕子/香川照之/小林薫/他
「SFの女王」とも称されるアメリカ人作家のアーシュラ・ル=グウィンの小説を原作とした長編アニメーション。
ご存じスタジオジブリ制作で、巨匠・宮崎駿の息子・宮崎吾郎が監督を務めるということで当時話題になりました。
映画自体は宮崎吾郎の独自の解釈・脚本となっており、ある意味で脚色されたストーリーは原作者・アーシュラからは良く思われていない模様。
というのもアーシュラが描いた「ゲド戦記」を原作とし、オマージュとして宮崎駿が描いた「シュナの旅」を原案としたため、両方の共通点を含むものの相違点も多数含むため。
大物監督の2代目としての苦悩や葛藤がそのまま作品に現れてしまったかのように、公開後の評価は非常に厳しいものであり、なんともホロ苦い映画デビューとなりました。
さっくりあらすじ
数多の島が浮かぶ海の世界”アースシー”では突如として竜が人間界に現れ共食いを始め、同時に全てのモノの名前を把握している魔法使いたちがその名前を忘れ、力を失ってしまった。
災いをもたらす者を突き止める旅の途中で魔法使い・ハイタカは父である王を殺害し、魔法の剣を持って国を出た少年・アレンと出会う。
精神を病んでいたアレンと共に荒んでしまった町・ホートタウンに辿り着き、、嘗て巫女だったハイタカの幼馴染・テナーと捨てられた娘・テルーの住んでいる家で農園を耕し日々を過ごすことになる。
ある日、ハイタカの留守中に魔法使い・クモの部下がやって来てテナーが連れ去られてしまうのだが、、、
一応の主人公・アレン
父を殺した罪で国を出る
魔法使い・ハイタカ
アースシーの大賢人
ヒロイン・テルー
ツンデレ
「駄作」の定義と100円
映画なんてもんは結局は人の好みで評価が正反対に分かれるもので、筆者がオススメしてきた映画の数々も「超つまんねぇ!」と思う人も沢山いることでしょう(悲)
父の宮崎駿をはじめ、あらゆる方面から叩かれまくった本作ですが、個人的には決して「駄作」だとは思わない。
さすがに映画館で¥1800出して観ようとは思わないけれども、¥100でも観たくないとまでは思わないからです。
作品としての粗さや矛盾なんてどの映画でも大なり小なりあるものでしょ?そんなんいちいちツッコんでたら映画なんてとても楽しめません。
色々とケチをつけた方が評論家風でカッコいいとは思うけれども、どうせ観るんだったら面白い方に目を向けた方が得ってもんですよ。
とはいえ、さすがに色々と問題ありですね、この映画(笑)
作品としてのダメなところを挙げていったらキリが無い話ですが、脚本家や監督よりも先にプロデューサーが悪いと思います。
偉大な父を持つけどほぼ素人の息子と、キャリアのハッキリしないデザイナーの2人体制の脚本。
「原作」と「原案」が中途半端に混ざった構成。
(過去作と比べて)粗さが目立つ作画。
制作途中で見かねた宮崎パパが「監督代わる!!」って言いだしたのも頷ける話ではありますが、そこまで息子に固執する理由は何だったんだろう?
作品の良し悪しよりもそっちの方が気になりますね。
あとこれだけはツッコまずにいられませんでしたが、個人的には「テルーの唄」の方が気になって仕方がない。
心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うような悲しさを
、、、「鷹」じゃないの??
まとめ
あまりにも批判が多い作品なので擁護に終始してしまいましたが、あらゆる理由で面白いとは言えませんが、観て損するほど退屈な作品ではないです。
ただ「映画」としては残念ながら破綻しており、じわりと感じる面白さは原作依存なところが多いのが正直なところ。
話が戻りますが、やはり建築家とデザイナーに制作をまかせたのが悪かったのでしょう。
世界観としては面白そうな伸びしろを感じるのでもったいないなぁと感じます。
観て損をするほどの駄作とは言えませんが、到底オススメもできません。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。