(原題:The Jackal)
1997年/アメリカ
上映時間:124分
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
キャスト:ブルース・ウィリス/リチャード・ギア/シドニー・ポワチエ/ダイアン・ヴェノーラ/マチルダ・メイ/J・K・シモンズ/ジャック・ブラック他
1971年出版の「ジャッカルの日」を元にしたサスペンス・アクション、ちなみにハリウッドリメイク作品。
ただ完全オリジナル要素で完成した映画であり、原作との関連は薄めなんだそうな。
あまり評価はされていないようですが、主演ブルース・ウィリスの七変化や特徴的な狙撃銃など、それなりに見どころのある作品だと思います。
個人的にはそこそこ好きな映画ですし、90年代に多く見られた凡作として、良くできたB級映画として観ればそれなりに楽しめるのではと思います。
さっくりあらすじ
ロシア内務省(MVD)とアメリカ連邦捜査局(FBI)の合同チームに弟を殺されたマフィアのボス・デレクは報復として凄腕の殺し屋・ジャッカルに報復としてアメリカ要人の暗殺を依頼する。
対して、神出鬼没・正体不明のジャッカルを逮捕するため、FBI副長官・プレストンとMVD少佐・コスロヴァは刑務所に収監中の元IRA狙撃手・デクランに協力を要請。
刑期に対する恩赦とジャッカルの”顔”を知る元テロリスト・イザベラの保護を条件にデクランは協力を約束するのだが、、、
正体不明・国籍不明
凄腕の殺し屋・ジャッカル
変装が得意
現地で情報や武器を調達
原作はきっと傑作
恥ずかしながら原作小説やオリジナル映画は詳しく知りませんが、その上でもきっと原作は魅力あふれる傑作なんであろうと十分に予測がつきます。
取って付けたような民族紛争的な背景や、変装になっているかどうかに疑問を感じるブルース・ウィリスの七変化、影の薄めなリチャード・ギアの存在など、原作を好む方が気に入らないエッセンスは分からんでもないですが、これはこれで面白いっすよ。
でもジャッカルの変装と、それを見破るデクランの心理描写を中心に描いてあるため、総じて登場人物の掘り下げが甘く、味のあるキャラクターも多いだけに演出としては不満が残ります。
でも複雑な人間関係の中で、最後になかなかシビれる展開が用意されているだけに少々もったいない印象です。
まぁ面白い原作を大味に仕上げるのがハリウッドの常套手段とも言えるので、これは多めに見るべきところですかね。
そんな大味な映画の見所はやはりブルース・ウィリス演じるジャッカルの存在と、彼が使う大型自動狙撃銃の描写。
どこか不気味さを感じさせるブルース・ウィリスの演技は評価できるとして、それでも彼は悪役向きな俳優ではないのだと再確認させられます。
いまいち凄みに欠けるというか、人を騙すことに長けているものの、暗殺することにかけてはどう見ても二流ですな。
計画に邪魔が入り、逃走するために大型狙撃銃を乱射するシーンなんかはモロにダメな演出であり、プロらしい仕事とは正反対でスマートさの欠片も感じません。
高い知能と戦闘能力を誇るであろう設定だけに、その人物設定を活かせていないところが本当に残念。
まぁこれはジャッカルが悪いと言うよりかは演出が悪いんですけどね、監督の責任ですな。
それに加えて先述した大型自動狙撃銃は良くも悪くもインパクトが凄い。
要人暗殺の観点で見れば役に立つかは甚だ疑問ではありますが、いかにもハリウッドなロマン溢れるギミックは個人的には大好物。
大型の操縦可能な台座に据えられた狙撃ライフルは正にロマンの塊であり、それを組み上げた若き日のジャック・ブラックも当時から良い演技力を発揮しています。
そしてジャッカルの後を追い続ける元IRA兵士のデクランですが、そもそもがジャッカルの物語に寄っているあるため影が薄いかな。
登場シーンが多いわりに印象が弱いというか、ジャッカルと対を成す存在としては魅力に欠けてしまうのが物足りないですな。
でもやっぱりリチャード・ギアが悪いんじゃなくて演出の問題だと思いますが。
まとめ
あくまで個人的にはそこそこ面白く及第点。
総じてテンポ良く、B級アクションだと思えば結構楽しめる作品ではあります。
サスペンス部分もサクサク解決していきますし、淡々と暗殺の準備を進めるジャッカルを追うデクランという展開も単純であり、アクション事態もそれなりに盛り上げてくれます。
「中身が無い映画」と取るか「あっさりした映画」と取るかは紙一重なところではありますが、決してつまらない駄作ということは無いと思います。
予定の無い夏休みの午後なんかに良いですよね、「うっかり全部観ちゃった!」くらいがちょうど良い。
オススメはしませんが、観て損はない作品です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。