(原題:The Mothman Prophecies)
2002年/アメリカ
上映時間:119分
監督:マーク・ぺリントン
キャスト:リチャード・ギア/ローラ・リニー/ウィル・パットン/ルシンダ・ジェニー/デブラ・メッシング/アラン・ベイツ/他
謎の怪現象に遭遇した男性が、その真相を追い求めるミステリー映画。
1960年代に実際に起きたとされる事件をモチーフに描かれた作品ですが、制作に関わった複数の関係者が不審死をとげたということでいわく付きの作品とも言えます。
映画のテーマとしても、現実に起きた”モスマンの呪い”と称された一連の事件としても、不謹慎ながらも非常に興味をそそる背景があります。
とはいえ理解の難しい内容であり、「意味わかんね」となる人がほとんどでしょう。
さっくりあらすじ
ワシントン・ポスト紙の記者・ジョンは妻のメアリーと幸せに暮らしていたが、クリスマス・イヴの夜にメアリーが事故を起こし、謎の言葉とメモを残し死んでしまう。
2年後、出張でリッチモンドへと向かうジョンは深夜の高速道路で車が故障、助けを求めようと辿り着いた家で何故か拘束され警察まで呼ばれる羽目に。
ライフルでジョンを威嚇する家主・ゴードンは3日連続で同じ時間にジョンが訪ねて来たと訴えるも、婦警のコニーは取り合わずジョンを連れてホテルへと送っていく。
そこで初めて、ジョンは2時間の運転では到底辿り着けないであろう600㎞離れた町、ポイント・プレサントにいることに気づくのだが、、、
妻を事故で無くしたジョン
何故か見知らぬ男に拘束される
ちなみにモスマンはこんな感じらしいっす
都市伝説
まずは「メガテン」ファンなら分かるでしょうが、一般的に日本では馴染みの無い「モスマン」のご説明を。
1966年にウェスト・バージニア州のポイント・プレザントという町でコウモリのような鳴き声で赤く光る眼を持ち、翼を広げて飛ぶと車よりも速いという未確認生物の存在が目撃されたそうです。
そうして「モスマン」と呼ばれた謎の生物ですが1967年、ポイント・プレザントに続く橋が大規模な崩落事故を起こし、事故現場でモスマンを目撃したという噂を最後に目撃証言は無くなったんだそうな。
「先住民の呪い」だとか「エイリアンのペット」だとか、はたまた「新種の鳥獣類」だとか、減っていく目撃証言とは対照的に様々な説が流れ、今現在でもコレといった真相は分かっていません。
まぁ日本でいうところの河童とか、ツチノコとか、口裂け女とか人面犬らへんと同等な存在なんでしょう。
そんなトンデモ説をテーマに据えた作品ですが、一言で言えば「伏線未回収オカルト・ミステリー」と言ったところか。
何とも不可思議な現象や謎、それに伴う未曽有の緊張感などは素晴らしいものの、謎は謎のままに終わってしまうのでモヤモヤはあります。
この感覚は「SOIL」と同じようなもので、我々の理解を超えた謎として、敢えてこのような描写を選んであろうことは見て取れます。
が、映画としてこれを「深い」と取るか「中途半端」と取るかは人それぞれであり、恐らくは中途半端に感じる人が大多数になるんじゃないかなぁと。
真偽はともあれ、一応は実話がベースになっているという”面白いアドバンテージ”がある作品だけに、それが映画に反映しきれていないのが残念なところ。
とはいえ事実として実際に数十名が亡くなってしまった痛ましい事故に、都市伝説を絡ませるというのは難易度の高いものではありますので、それを踏まえた上で考えれば良くできているようにも思います。
むしろ事故の原因やモスマンの正体など真相が判明していないものに対し、オリジナルの脚色を加えていたらそれこそつまらない駄作になっていたことでしょう。
地味でパッとしなくても、こういった地に足のついた演出を選んだことは正しい判断だったと思います。
まとめ
多分、あまり怖い映画ではありません。
多分、そんなにスッキリする映画でもありません。
観終わってみれば「?」と首をかしげる、そんな不可解な映画であり、それこそが当時の人々が恐れた「モスマン」に対する印象なのかもしれません。
人の理解の及ばない超常的な存在や世界観だって否定できるものではないし、そこに理解がある方はそこそこに楽しめるのではないかと思います。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。