
(原題:The Rebound)
2009年/アメリカ
上映時間:96分
監督・脚本:バート・フレインドリッチ
キャスト:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/ジャスティン・バーサ/アート・ガーファンクル/ジョアンナ・グリーソン/リン・ウィットフィールド/他
椿鬼奴のモノマネでお馴染み、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演のラブストーリー。
舞台はニューヨーク、キャリアを積み上げていくシングルマザーや将来の方向に悩む大卒フリーターなど、ちょっとした社会的な背景もチラホラと。
ハリウッド発ながらもインディーズ映画のような奥ゆかしさ、現実にありそうな地味な日常に濃ゆいロマンスを落とし込んだ作品でもあります。
余談ですが「理想の彼女」と検索すると予測検索で「身長」と出たあたりが世の中のリアルなんでしょう。
さっくりあらすじ
高学歴で高収入、子煩悩でもある夫と結婚し郊外の街に暮らす専業主婦のサンディだが、ある時に夫と隣人が浮気している動画を発見してしまう。
即座に離婚を決意し子供を連れニューヨークへと引っ越すが、アパートに見学に行った際にカフェの店員であるアラムと出会う。
アラムは大卒ながらもフリーターで実家暮らし、永住権目的で結婚したフランス人女性と別れ、彼女のことが忘れられないでいる。
TV局へと就職し、ニューヨークでの生活も落ち着いたサンディは友人の勧めで男性を紹介され、アラムに子守をお願いするのだが、、、
ひょんなことから出会った二人
互いに心惹かれ、距離を縮めていく
思いやりに溢れるアラムに子供達も懐くが、、
年齢の壁とは
バツイチ、子持ち、16歳下の彼氏、そして働くシングルマザーと。
今どき珍しくはないでしょうが、恐らくは少数派であろうカップルの物語ですな。
筆者的にはむしろ年上の女性の方が好みではあるので、24歳当時にキャサリン・ゼタ=ジョーンズと出会ったら鼻血を流しながら尻尾を振りまくってアピールしていたと思いますが、それはあくまで男性の視点。
女性から見て二桁の歳の差というのはやはり色々と考えてしまうのが現実というものでしょう。
そんな悩める女性を演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズが極めて魅力的で美しく、本当に素敵です。
子供を背負い、繊細な女心に揺れる肉食系女性といった感じで、自身の恋愛観と現実の生活の狭間で思い悩む葛藤を抱える女性として、なかなかのハマり役。
いわゆる姉さん女房ポジションになるわけですが、これだけの美貌に恵まれていれば、そりゃー大卒のメンズなんぞイチコロでモノにできるわって感じです。
そしてイチコロにされた、ジャスティン・バーサ演じるアラムもまた良い味を出しております。
心優しい世間知らずなお坊ちゃんであり、将来に対する漠然とした悩みを抱えるアラムは、ステレオタイプな価値観から逸脱した世界で生きようともがく青年です。
良い教育を受けただけあって非常に賢く、またそれを鼻にかけることのない好青年ではありますが、どこか頼りなく将来性に欠けるという人物として、これまたハマり役ですな。
物語としては専業主婦が仕事を始めたらグングン出世して、自分を心から大事にしてくれる年下男子との愛情を描くという、ある種のファンタジーとも言える内容。
何の経験も無い主婦がTV番組製作で重宝され、心優しく子供の面倒も苦にならない若者に好かれ、贅沢な悩みに落ち込む物語です。
ある程度の社会的背景や学歴の問題などを描いた点は非常に好感が持てますし、ちょいちょい挟まる下ネタもそれなりに面白いのですが、軸となる脚本に雑さが垣間見えます。
特に終盤の展開はちょいと斜め上な強引さがあり、ラストシーンに至っては置いてけぼりな急展開もあり、観ている側としては少々困惑気味に。
「キャリアや年齢差ではなく、やはり人間性でしょ」という主張は理解できますが、それを描くに当たっては性急過ぎて空っぽな仕上がりになってしまったのは残念なところです。
端的に言えば年齢差のあるカップルの馴れ初めを描くためのご都合主義であり、またそれが透けて見えてしまう当たりに完成度の低さを感じますね。
まとめ
男女の恋物語をファンタジックに彩った作品だと思えば、そう悪くはありません。
軽いノリで観るラブコメだと思えばそれなりですし、どっしりと構えて観るには物足りなさを感じるでしょう。
ただただキャサリン・ゼタ=ジョーンズの美貌を堪能するか、優しくて甲斐甲斐しい年下彼氏を妄想するには面白い作品かなと思います。
よければ一度ご鑑賞くださいませ。