(原題:The Sixth Sense)
1999年/アメリカ
上映時間:107分
監督:M・ナイト・シャラマン
キャスト:ブルース・ウィリス/ハーレイ・ジョエル・オスメント/オリヴィア・ウィリアムズ/トニ・コレット/ドニー・ウォルバーグ/ミーシャ・バートン/他
「この映画にはある秘密があります。まだ映画を観ていない人には決して話さないでください」
といったブルース・ウィリスの宣伝が話題となり、そのセンセーショナルな内容でシャラマン監督の名を広めた作品。
ハーレイ・ジョエル・オスメントが天才子役として脚光を浴びた作品でもあり、現在の彼の姿を見ると年月の残酷さにため息が漏れるばかりであります。
当時は高校生だった筆者ですが、先に鑑賞した友人が「すげぇ、やべぇ、でも言えなーい」というウザい絡みを連発。
そのせいでハードルを上げ過ぎていたこと、さらに普通に先が読めてしまったことからあまり楽しめなかった思い出の映画です。
一般的には名作に数えられている作品ですが、当時はしっくりこなかったんだよなぁ。。
さっくりあらすじ
小児精神科医のマルコムはある晩、かつてのカウンセリング患者であったヴィンセントに「救ってくれなかった」となじられ、銃で撃たれてしまい、直後にヴィンセントが自殺したことで彼を救えなかった現実を思い知る。
1年後、妻との会話が無くなり、さらに別の男性との愛を育む姿を見て傷つき、途方に暮れていた。
そんな折に心を閉ざした少年・コールと出会い、ヴィンセントの姿を重ねたマルコムは必死になってコールの心を開こうとする。
コールは死者が見えてしまう第六感に悩み続けており、事情を知らない母親や周りの人間からも奇異な目で見られていた。
「幽霊」という存在に懐疑的だったマルコムだったが、コールの訴えを受け入れ、死者がコールの元へと現れる理由を探ろうとするのだが、、、
小児精神科医として活躍していたマルコム
死者が見える少年・コールと出会う
古典的な手法ながらも、ビビらせにくる少女
二度観る映画
どんなに面白くても一度観れば完結してしまうのが映画というものですが、本作に限っては二度目の鑑賞も楽しめるのが最大の特徴と言えるでしょう。
ブルース・ウィリスの余計な宣伝のせいで、オチに気づいてしまった筆者は残念ながら一度しか楽しめなかったわけです。
でもちょっと勘の良い人なら気づくよね、こんなん。
ただそれを踏まえた上でもどんでん返しの結末は十分に楽しめるものだと思います。
先入観や固定観念を意図的に植え付け、映画において物事を判断する唯一の材料である「映像」を構成できる演出、並びに設定は非常に興味深いもの。
総じて得体の知れない”恐怖”を非常に効果的に表現しています。
また、各登場人物の”視点”で見える風景を変え、絶対的に存在するはずの”不自然さ”を感じさせないところも素晴らしい。
何となしに観てしまいがちですが、もの凄く計算され尽した映像表現であることが伺えますね。
更に言えば、その計算された構成の中で非常に難しいであろう演技をこなす俳優陣がまたすごいです。
主演のブルース・ウィリスは「ダイ・ハード」のようなタフなアクション俳優の印象が強いですが、心に不安を抱えた弱い男もまた上手く演じきっております。
対するハーレイ・ジョエル・オスメントもそれに追随するかのような圧巻の演技、彼が見る「幽霊」という存在の意味がより深くなっていきます。
死者が見えてしまうという「呪い」を忌み嫌っていたコールは自身の能力の意味に気づき、それに伴いマルコムは自身が置かれた立場に気づき、感動的な結末を迎えていきます。
よくよく考えれば「泣けるホラー」なんてジャンルは相当に珍しいですよね。
そして最初に示した”二度”観ることの意味。
物語の根幹が理解できれば全く異なる物語になるところ、そしてそう感じさせる脚本、演出、構成がとにかくズバ抜けていると感じます。
まとめ
残念ながらオチが読めてしまったせいで、個人的にはあまり楽しめなかった作品ではありますが、恐らくは良作だと言って良い完成度でしょう。
単なる幽霊系ホラーではなく、そういった背景に描かれる重厚な人間ドラマが一番の見どころと言っても良いと思います。
ゴリゴリのホラーマニアには物足りない内容だと思いますが、大体の人はそれなりにビビる内容ではないでしょうか。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。