ダーティー・コップ


(原題:The Trust)
2016年/アメリカ
上映時間:93分
監督:アレックス・ブリューワー/ベンジャミン・ブリューワー
キャスト:ニコラス・ケイジ/イライジャ・ウッド/スカイ・フェレイラ/ジェリー・ルイス/他

 




 

ラスベガスを舞台に、境遇に不満を抱える警官が強盗を企むクライム・サスペンス。

近年はヒット作に恵まれずとも、借金まみれで出演する映画を選ばずとも、筆者が敬愛するニコラス兄貴の主演作です。

ちなみにW主演の相方を務めるは、ミスター・フロドことイライジャ・ウッド。

何とも小粒な作品ではありますが、そこそこに緊迫感もあり、平凡ながらも味のある映画になっております。

 

 

 

さっくりあらすじ

若い巡査部長のデビットと中年の警部補のジムは、腐敗が横行するラスベガス警察に勤務している。

当たり前のように些細な不正がまかり通る毎日に嫌気がさす2人だったが、ある日ジムは競売にかけられる予定の車にコカインが積まれているという噂を聞く。

ジムはデビットに声をかけ、悪人から金を奪うという名目で強盗を計画するのだが、、、

 

 

 

 

真面目に業務をこなすジムとデビット
警察内部の腐敗っぷりにウンザリ気味

 

隠されたコカインの情報を得て
麻薬の売人から金を奪うことを思いつく

 

デビットの協力を得て
引くに引けない計画に乗り出す

 

 

 

 

 

低空飛行

かったるく日々の仕事をこなす2人の警官のテンションそのままに、多少の起伏はあるにしてもローテンション感が拭えない作品です。

どうにも山場のような盛り上がりがなく、コソコソと計画を立ててはコソコソと実践し、リアルな描写とも言えますが映像的な面白みには大いに欠けている印象。

終盤は斜め上なエンディングも相まって、何とも言えない仕上がりになってますね。

 

これは映画に限った話ではないんですが、近年のエンタメ(小説、漫画、ドラマetc)全般がアイデアありきに寄り過ぎているのかなと。

序盤の掴みはすごく面白く、先が気になって仕方ないほどの期待に対してのレスポンスが微妙なことが多い気がします。

端的に言えば最初は面白く、途中からトーンダウンしてしまうということ。

 

本作でも冴えない2人の警官が一攫千金を夢見て、警察内部の情報に裏打ちされた強盗計画に臨むと、ここだけ切り取れば面白そうな話なのになぁ。

映画って難しいですな。

 

 

で、物語としては、その2人の警官が葛藤しながらも計画を実行し、些細なことから疑心暗鬼に囚われていくという流れ。

原題の「The Trust」が示す通り、警察という職を捨て犯罪を犯すにあたり、互いの絆や信頼関係が描かれることが本来のテーマとなります。

自分のキャリアと人生を天秤にかけ、その上で手を出した汚職(というか強盗)の渦中で、互いにどこまで信用して良いのかが焦点のひとつとなります。

 

とにかくイケイケで犯罪行為に前向きというか、どこか楽観的で浮ついているジム。

明るく前向きで、これから危険で思い犯罪を行う緊張感に欠け、それ故に笑顔からこぼれる素の表情には怖さを感じます。

 

対してギリギリまで迷いを見せ、いざ計画を実行してもイマイチ覚悟が決まっていないデビット。

なし崩し的に計画に参加し、常に後悔に後ろ髪を引かれているようなメンタルであり、また犯罪行為にそぐわない小心者。

 

2人とも文句無しの名俳優ですし、このキャラクター設計における肉付けは本当に見事なもので、深い演技力が存分に味わえます。

それだけに演出的に勿体ないというか、ダラダラと強盗計画を描くよりも2人の信頼を示す根拠を描いて欲しかったなと。

互いの信頼こそがキモなだけに、どうも腑に落ちないというか、説明不足で唐突な印象が拭えません。

 

ついでに、エンディングの展開も無理矢理に決着した感が否めず、どうにも消化不良。

考察の余地を残すようなジャンルの作品ではないですし、キッチリ最後まで説明して欲しかったなと。

終わり方に迷ったから、投げっぱなしたようにしか見えないし、どんでん返しと言うにもちょっと無理があるかな。

 

 




 

 

まとめ

不満点が先行してしまいましたが、個人的にニコラス兄貴が好きなのと、久しぶりにイライジャ・ウッドの作品を観るのでハードルが上がってたのもまた事実。

平凡な作品の域は出ておりませんが、フラットな視点で観れば退屈な作品だとは思いません。

凄く面白いとも言えませんが。

 

久々に判定に困る映画ですわ、期待せずにダラダラ観てたら意外とのめり込むかもしれません。

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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