(原題:PATRICK)
2018年/イギリス
上映時間:94分
監督:マンディ・フレッチャー
キャスト:ビーティ・エドモンドソン/エド・スクライン/トム・ベネット/エミリー・アタック/ジェニファー・ソーンダース/他
コンプレックスを抱える女性と、アホ可愛いパグが織りなすコメディ・ドラマ。
犬好きはもちろん、そうでない方でもそこそこ笑える良作です。
本作では「英国王のスピーチ」や「ボブという名の猫」という傑作映画の制作陣が参加。
よってくだらない内容でありながらも、笑えるほっこり系映画の完成度としてはなかなかのものです。
あんまり好みではなかったけど、パグって超可愛いね。
さっくりあらすじ
至って平凡な高校教師のサラは「好きな人ができた」と彼氏にフラれてしまう。
幸せな結婚生活を送る弁護士の姉にはバカにされ、両親からも諦められている環境で育ち、今でも自分に自信が持てないでいた。
そんなサラの祖母は飼い犬のパトリックを溺愛していたが、ある日の散歩中に倒れ、そのまま帰らぬ人となる。
葬儀には親族がこぞって集まり、祖母の形見分けとしてサラにはパトリックが与えられるのだが、、、
祖母の葬儀が終わり
押しつけ気味にパトリックを預かる
そもそも犬が好きじゃないサラ
散歩の仕方も分からない
サラに飼われるパトリック
悶絶するほど可愛い
郊外で、犬を飼おう
まず、映画としては極めて平凡で可もなく不可も無く、取り立てて魅力的な作品とは言えません。
しかし、それでもなお魅力的に映る要因として、3つの要因がキモとなります。
まずは主人犬のパトリックがもう、超可愛い。
いまいちパグの魅力が理解できなかった筆者ですが、これで分かりましたよ。
シワシワでブサかわな顔、いたずらっ子だけど従順で懐っこい性格、微妙に真っ直ぐ走れない短足っぷりと、もうどれを取っても超可愛い。
そんなパトリックを押し付けられたサラもまた素敵。
優秀な姉の影に育ち、大人になった今でもコンプレックスに思い悩んでいますが、かと言って秘めた才能を持つわけでもなく本当に平凡な女性です。
冒頭から彼氏にフラれ、怠惰な生活に溺れる様子はリアルというか何と言うか。
演じるビーティ・エドモンドソンが非常に良い味を出しており、決してブスではないけれど美人とも言い難いギリギリのラインが非常に素晴らしいキャスティング。
抜きんでた才能が無いにしろ、誰に対しても誠実であり、内から溢れる魅力があります。
異常に足が遅いという点や、男を見る目が無いという弱点も可愛らしく見えてくる不思議な魅力があり、応援したくなるような、そっと見守りたくなるような人間性が素敵です。
特に終盤のチャリティ・マラソンに挑むシーンはコミカルで可愛らしく、どんくさい動きも相まって一番のほっこりシーンだと思います。
そして、ロケーションとなるロンドン郊外の風情もまた印象的。
緑が多く、可愛らしい建物も多く、さらにロマンのあるボートハウスが超素敵。
イギリスは河川沿いに停泊するボートに住む人が実際にいるそうですが、日本でもできたら大人気ですよ、コレ。
思わず郊外に引っ越して、犬を飼って散歩に行きたくなる衝動に駆られますな。
気持ちに余裕のある生活というのは素直に羨ましいもので、灰色の生活の彩りとして、犬を愛でる日々が素直に羨ましいものです。
物語としては、イケてない女教師が犬と暮らし、己の大事なものを見つけていくような流れ。
一応はロマンス・コメディとも言えそうな内容ですが、どちらかと言えばコメディ色が強めでロマンスはオマケ程度な印象か。
まぁ動物系の映画はひねりが作りづらいジャンルだと思いますが、それにしても真っ直ぐで先の読みやすい作品ですね。
色々とトラブルが続き大変そうなサラの存在も、冷静に考えれば平凡な悩みの範疇の話であり、そこまでどん底に落ちるわけでもありません。
脚本・構成的な起伏がなだらかで、ちょっとパンチには欠けているように思います。
それでも面白いと思うのは主演女優と犬の魅力によるところが大半であり、良くも悪くも演じ手に依存しすぎな内容だとも言えるかもしれません。
まとめ
すごく素晴らしい映画とは言いませんが、個人的には結構響いた面白い映画です。
犬を中心としたコメディとしても、コンプレックスを克服するドラマとしても、独身女性のロマンスとしても、微妙に中途半端な感は否めませんが、それを差し引いても良作かなと。
何となく観てたら面白かったような、お得感のある映画ですな。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。