2007年/日本
上映時間:109分
監督:曽利文彦
キャスト:黒木メイサ/谷原章介/松雪泰子/大塚明夫/他
たまーに夜更かししてると、思いがけず興味深い映画に出会うことがあります。
この映画もそう、途中からしか見れなかったんですが、キッチリ最後まで見て、前半が気になりすぎて翌日はソッコーでTsutayaです(笑)
「ピンポン」や「明日のジョー」を手がけた曽利文彦監督による、フルCGの長編アニメーション。
ちなみに昔ファイナルファンタジーとかいう似たようなCG映画が、シャレにならんほど大ゴケしたこともありましたが、、、
もともとこの監督はVFXやCGアニメーションの職人畑の出身で、他の作品にはあまり見られない強いエンターテイメント性が特徴です。
違う畑の人が役者や監督をすることに対して否定的な筆者ですが、今作を機に多少考え方を改めた奇作でもあります。
邦画や日本のアニメによくある映画、よくある映像表現から脱却しようという意図は感じますし、何かすごいモノを作ろうという熱意は十分に観るに値すると思います。
さっくりあらすじ
2067年、バイオテクノロジーとロボット産業で日本は世界を大きくリードしていたものの、国際連合は厳正な規制を設けようと日本に圧力をかける。
対する日本は圧力に屈することなく、ハイテク技術を駆使することで情報、渡航を完全にシャットアウト、鎖国に突入する。
外国人は日本に一切入国できなくなり、その上常に可動するジャミングにより日本の情勢を知る術は無くなってしまっていた。
2077年、アメリカの特殊部隊が日本への侵入を開始し、そして特殊部隊員・ベクシルが目にしたものとは、、、
美しいフルCGの世界
米国特殊部隊員、ベクシル
技術とアイデア、日本が誇る職人芸
2007年の作品で、昔とまでは言いませんが、けっこー前に製作された作品です。
ドラマやアニメの劇場版ではなく、人気の漫画や小説が原作なわけでもなく、その上フルCGアニメというマニアックな手法を用いたこの作品。
こんなリスクしか見えない企画を通したプロデューサーやディレクター、そして監督がまず素晴らしいと思います。
この”オリジナル”を放つ気概こそが、現在の邦画アニメーションに足りないものじゃないでしょうか?
ひいては人気コミックと旬な若手俳優に頼ることしかできない、現在の日本映画界の残念なところが浮き彫りにもなりますね。
特にここ数年は売れて有名になった原作ありきの映画(しかも大体が改悪)か、今が旬のアイドル&タレント人気にあやかったような、凡作以下な映画しかないじゃないですか。
〇〇が主演!
〇〇が声優を務めた!
それ以外にウリが無いというのは本当に悲しいこと。
それと比べれば本作は、まっさらな映画をアイデアと映像手腕だけで勝負しようとした心意気は褒めて然るべきでしょう。
内容もさることながら、この気概だけでも評価に値するものだと強く信じております。
最近だとドラえもんの映画がフルCGになっておりましたが、ドラえもんに迫力を求めますか?
感動を売りにする良い作品であるのならば、2Dアニメでも十分感動できます。
曽利監督いわく、「あまりに実写に近づけるとかえって不自然さが目立つ」とのことですが、アニメーションとも実写とも異なる独特の風合いが筆者的にとても新鮮でした。
まとめ
ハリウッド映画とまではとても言えないものの、それを意識したような迫力。
特にアクションシーンは国内実写映画では絶対に再現できない規模の映像や、2Dアニメーションだけでは表せないダイナミックさなど、ありそうで無かった表現がそこにはあります。
正直、まだまだ細かいところが発展途上な映画ではあると思います。
CG自体も違和感を覚えるところもありますし、ストーリーも意外とあっさりしてますし。
でも、逆に言えばまだまだ伸びしろがあるということです。
これから先、より面白く、スケールの大きな作品となることを楽しみに待ちましょう。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。