シュガー・ラッシュ


(原題:Wreck-It Ralph)
2012年/アメリカ
上映時間:101分
監督:リッチ・ムーア
キャスト:ジョン・C・ライリー/サラ・シルバーマン/ジャック・マクブレイヤー/ジェーン・リンチ/アラン・テュディック/他

 




 

ゲームの中の世界を舞台に、大男と小娘が織りなす長編アドベンチャー・ドラマ。

今は懐かしいゲームセンターの筐体ゲームの中の世界で、お客様(=プレイヤー)を楽しませるために働くキャラクター達の人生がテーマとなっております。

 

当初は「完全子供向け」と判断し全く観る気も無かったのですが、ちょいとご縁があり鑑賞して観るとコレがもう、超面白い

言うてもディズニー、良い仕事してます。

 

大人も子供も楽しめるツボを押さえた丁寧な作り。

美しい映像で動き回る、個性豊かなキャラクター達。

そして笑えて泣ける、明確なメッセージ性。

良い歳こいたおっさんが推すのも気が引けますが、これ良い映画ですよ。

 

 

 

さっくりあらすじ

営業中はプログラムに従いお客を楽しませるゲームのキャラクター達は、閉店後には各ゲームを繋ぐターミナル「セントラル・ステーション」で互いに交流を楽しんでいる。

アーケードゲーム「フィックス・イット・フェリックス」でプレイヤーの妨害を図る大男・ラルフは常にゲーム内で厄介者扱いされ、不満を抱えていた。

他のキャラクター達が企画したパーティーにも呼ばれず、悪役だという理由で念願の”ヒーローのメダル”を手にすることも敵わず、ラルフもとうとう我慢の限界に。

自分だってヒーローになれることを証明するため、メダルを求めて他のゲームの世界に潜り込むのだが、、、

 

 

 

 

 

フィックス・イット・フェリックス
ラルフの妨害を割けて建物を直すゲーム
つまりドンキーコング的な感じ

 

”悪役”にウンザリしたラルフ
他ゲームの悪役の集団セラピーに通う
クッパとかベガとか

 

旅先で出会った少女・ヴァネロペ
自称・天才レーサー
小生意気でワガママ

 

 

 

 

 

適材適所

とでも言いますか、勧善懲悪の概念とはまた異なるベクトルで描かれる”主役”と”悪役”という立場は興味深いものです。

昔から嫌われ者の視点や内面を描くような作品は多々あるので目新しいとまでは言いませんが、主人公の対となる存在が”ヒーロー”ではなく、同じ嫌われ者という点は斬新だなと。

それも明確に理路整然とした理由ではなく、悪役と言う雰囲気やイメージで”何となく”輪から追い出しているような節があり、これはかなり現実にある「仲間外れ」の感覚に近いのではないでしょうか。

 

主人公のラルフは、ゲーム内で建物を壊しプレイヤーの邪魔をする”悪役”です。

本人も粗野でガサツで、すごく良い人というわけでもなさそうですが根は優しく、ただただ同ゲームの住人に存在を認めて欲しかっただけでしょう。

直接的に悪口を言われたわけではなく、特別誰かに意地悪をされたわけでもなく、それでも賑やかな街並みの中で孤独感を抱えているわけですな。

 

その原因はズバリ「無関心」

ゲーム内のキャラクターは各々に立場と役割があり、明言はされないまでも(ゲーム内の)主人公・フェリックスが序列の頂点にいます。

言い換えれば社会的な強者とも言えるでしょう。

誰もが憧れ、自然と人々の輪の中心にいる存在、それこそがラルフの求めるものなわけです。

 

しかし現実には褒められるでもなく、馬鹿にされるでもなく、仕事(ゲームの稼働)が終わればまるで消えてしまったかのように、誰もラルフの事を気にしません。

これは辛いよね。

 

そんなラルフがゲームの住人と賭けをして、自らの存在や価値を認めさせようと奮起することから物語は動いていくわけですが、そこで出会った少女・ヴェネロペもまた似たような存在です。

プログラムの異常を抱えているらしいヴェネロペは彼女のゲーム内では異端の存在であり、誰も関わろうとしないどころか、積極的に無視される可愛そうな女の子。

生意気で強がりで、かなりクセのある少女ではありますが、彼女が抱える孤独や寂しさもまた辛いもの。

そんな陰気な雰囲気を振り払うかのように明るく振る舞う彼女の表情も、非常に印象的ですな。

 

 

物語としては、そんなはぐれ者2人がゲームの世界に隠された秘密に気づき、世界を救うために奮闘するのが大筋となります。

まぁ、、半分くらいはラルフが悪いんだけどね。

 

しかし”物を壊す”専門のラルフの特性や、”物を直す(強化する)”特性のフェリックス、さらには戦闘専門の女軍曹やレトロな解析度でカクカク動くキャラクター達など。

どれも非常に強い個性があり、あくまでゲーム内でのお話だと印象付けるような演出の数々は非常に素晴らしいものです。

 

最初はクソ生意気で可愛くないヴェネロペも、終盤には笑みがこぼれるほどに可愛く見える魅力がありますし、自身の立ち位置を受け入れたラルフの姿も非常に印象的です。

ついでに各ゲームでの悪役を集めた集団セラピーや、数々の映画をパロったであろう演出の数々も映画好きには嬉しいところ。

基本的には子供向けな作品ですが、大人も楽しめるツボの抑え方はさすがの一言です。

 

 




 

まとめ

終わってみれば、なんてことの無い物語です。

ゲームにはヒーローがいて、悪役がいる、ただそれだけ。

 

しかし自分の生き方、さらに言えば存在価値を認めることって簡単ではないんですよね。

俺はもっとできるはずだと。

私はもっと凄いはずだと。

誰もが一度は思ったことのある感情じゃないかと思います。

 

自分の価値を受け入れ、それを認め、その中で幸せを見つけようとする。

そんな等身大の成長と幸せを描いた良い話だなと、素直に思うわけですよ。

 

やはり子供向けなビジュアルが目を曇らせますが、大人でも十分に楽しめる良作です。

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 



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