(原題:Automata)
2014年/スペイン・ブルガリア
上映時間:110分
監督:ガイ・イバニェス
キャスト:アントニオ・バンデラス/ビアギッテ・ヨート・ソレンセン/メラニー・グリフィス/ディラン・マクダーモット/ロバート・フォスター/他
スペイン&ブルガリア発の、近未来SFサスペンス・アクションという変わり種。
しかしながら内容は人類滅亡の危機や、人工知能のアイデンティティなど、割とオーソドックスな未来ものだと言えるでしょう。
いわゆる2045年問題として、シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉も耳にするようになった現代ですが、そういった問題点に腰を据えて取り組んだ映画は未だに少ないような気がしますね。
人間的にも、機械的にも、それぞれの使命や運命という意味での本質に迫った珍しい作品だと思います。
さっくりあらすじ
2044年、強力な太陽フレアにより地上は砂漠と化し、人類の99.7%は死滅した。
そんな中、ROC社は人型ロボット”オートマタ・ピリグリム7000型”を開発し、人類存続の要となる防御壁や機械雲の設置を行う。
膨大な数のロボットは2つのプロトコル(生物への攻撃不可・自他の改造不可)によって管理され、また人類の脅威にならないよう、プロトコルは変更できないものとなっていた。
しかしある日、自らの修理をしたオートマタが発見され、ROC社の保険代理人であるジャックは調査に乗り出すのだが、、、
保険代理人のジャック
不可解なオートマタが相次ぎ
調査するが、、
愛玩用オートマタもあるよ
頂点が代わる時
舞台は2044年、近いようで遠い、遠いようで近い近未来ですね。
現代なりのレトロフューチャーといいますか、立体映像やら人工的な雲やら、果ては性的欲求を満たすロボットやら、いかにも現代に根差した未来的な演出が目に留まります。
異常気象により自然は破壊され、人の代わりにロボットが肉体労働に従事するようになった未来。
生物を傷つけることなく、また勝手に修理や改造をすることもない、ロボットが人を超えないように制限を課すという決まり事。
そんなルールに則っているはずのロボットに、予期せぬ出来事が起こるところから物語は始まります。
ここまでは従来の近未来映画と似たようなものですが、本作の特徴としては極めて映像が静的なところ。
退廃的で儚く、でもどこかに美しさを感じさせる地上の演出はなかなかのもの。
いわゆる終末的なテーマと、未来における技術的特異点というテーマを上手く融合し、映画として完成している印象です。
逆に言えば映像的な抑揚が少な目だとも言えますし、作品の背景的にどうしても悲観的でダウナーな雰囲気になってしまうので、エンタメ性を重視した映画とは温度差を感じます。
さて、シンギュラリティの話に注目がいってしまいますが、本作の視点のひとつとして「誰が地上を支配するのか」という点について触れようと思います。
言うまでもなく現在は”人間”であり、殆どの生物は人間に管理されていますし、今や違う惑星の既得権益を争ったりできるような科学力を持つに至りました。
さらに言えば、「神の領域」とも称される、遺伝的な加工を施した生物まで作れるようになっているわけですな。
そんな人類が人工知能を作り、そのAIに後継機のロボットの設定を作らせることが本作最大のキモとなります。
人工知能はわずか8日で人類の英知を超越し、人類に害をもたらすかもしれない存在になってしまったと。
”かもしれない”という微妙なニュアンスがまた面白く、人とロボットの関係が逆転しちゃっていることが示唆されています。
劇中で描かれるロボットの目的は人類の歴史を引き継ぎ、さらなる時代を生きていこうとすること。
これは永らく地上を支配した人間に取って代わる存在になり得ますし、実際にロボット側の視点で見ると人間なんて何とも思ってないわけで。
人類が生きていけない過酷な土地に向かおうとするロボットの背中は実に印象的なもので、彼らからすれば人が生きようが死のうが、全く気にもならない存在になってしまったわけです。
実に悲しい話ではありますが、ロボットが人間の脅威になり得るという発想自体が、人間の傲慢さを表しているようにも思えます。
「進化したAIが人間を抹殺する」というアイデアは永らく映画業界を席巻し、もはや定番と言えるほどのプロットになってきました。
しかし過酷な環境というバックグラウンドをベースとした場合、AIからすれば人間は脅威ではないという事実には説得力を感じます。
山に住む熊や猪なんかを思えば分かりやすいですが、彼らから見たら僕らの存在意義なんてそんなものかもしれませんね。
まとめ
予想はできても予測は難しい人工知能の進化。
実際にどういった不具合が人間サイドに起きるのかは全く分かりませんが、その可能性のひとつと考えれば興味深い作品と言えます。
映画としてはチラホラと粗さが垣間見えますが、退廃的で寂しい環境と、無機質で不気味なロボットの表現はなかなかのものです。
滅ぶ運命にあり多種との共存が不可能となった人類と、それを横目に次世代を生きようとする人工知能。
エンタメ性には欠けますが、深い作品ですな。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。