ドニー・ダーコ


(原題:Donnie Darko)
2001年/アメリカ
上映時間:113分
監督・リチャード・ケリー
キャスト:ジェイク・ギレンホール/ジェナ・マローン/ドリュー・バリモア/メアリー・マクドネル/ホームズ・オズボーン/他

 




 

 

不安定なメンタルを持つ高校生が、謎のメッセージを紐解いていくSF・サスペンス。

確実に一度では理解が及ばず、繰り返し観ることで謎を紐解いていく典型的な”リバース・ムービー”の代表作とも評されます。

「運命」や「タイムマシン」の要素など、SF色の強い作品ですが物語の土台となるドラマ性も高く、余韻が残る映画ですな。

 

同じくリバース・ムービーと言われる「メメント」とはまた異なるベクトルで謎が積み重ねられており、自分なりに解釈し始めると止まらないスルメ的な魅力に溢れています。

何とも悲しく、優しく、しみじみとさせられる後味は、何度見返しても耐えうる作品の深さがありますよ。

人によっては意味不明で、超つまんないかもしれませんが。。

 

 

 

さっくりあらすじ

マサチューセッツ州に住む高校生・ドニーは精神的に不安定なため、医師のカウンセリングを受けていた。

10月2日の夜、奇妙な声に導かれゴルフ場へと向かうと”フランク”と名乗る銀色のウサギが現れ、ドニーに「あと28日と6時間と42分12秒しかない」と告げる。

朝になり、ゴルフ場で目覚めたドニーが家に帰ると、飛行機のエンジンが直撃し家は瓦礫となっていた。

「飛行機のエンジンは落ちてきたが、肝心の飛行機は一体どこへいったのか?」とドニーは疑問を持ち始めるのだが、、、

 

 

 

 

高校生のドニー・ダーコ
ちょいと精神的に不安定

 

銀色のウサギと出会い
予言めいたことを伝えられる

 

そんな折に出会った転校生・グレッチェン
ドニーは恋に落ちるが、、

 

 

 

 

 

タイム・トラベル

極めて難解な作品なので先に言っておきますが、タイム・トラベルの映画です。
(諸説あり)

しかし「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的な分かりやすいものではなく、その内容は極めて難解だと言われております。

そもそも”タイム・トラベルもの”だと構えて観なければ、意味不明で訳の分からんロマンス作品で終わってしまうかもしれません。

 

青春恋愛要素・SF・カルト的なミステリーなど、様々な要素が複雑に絡み合う傑作ではありますが、理解が及ぶまでに時間を要する映画だと言えます。

とはいえ敷居としては決して高いものではなく、考える必要はあるものの、それなりにサラっと観れるのも特徴的か。

画面に噛り付いて一挙手一投足を見つめるような作品ではないので、サラサラっと何度でも見直せばより深い魅力に触れられると思います。

 

とはいえ未だに議論が交わされるレベルの複雑な物語であり、一応の公式見解は公開されてはいるものの、やはり理解が及ぶまでに時間がかかります。

こういった間接的な表現を組み立てていくのが楽しいのか。

もしくは直接的な表現が無いことが退屈なのか。

 

観る人によって180度意見が分かれるあたりも魅力と言えるかもしれません。

そして、その解釈の度合いの広さこそがスルメ的な味わいなんだとも思います。

まぁ、そこまで映画に時間を割けるのは暇人だけなんですけどね。

 

 

そんな難解で静的な物語を動かすジェイク・ギレンホールの演技は圧巻の一言。

頭が良く、優しく、人並みの正義感を持つ青年・ドニーですが、同時に不安定なメンタルを持ち。常に影を背負っているような気怠さも感じさせます。

この繊細で危うい心の表現は実に難しいものでして、それを極めて自然に、感情豊かに、説得力を持たせる演技は本当に素晴らしいもの。

彼の心の機微を伝える映画だけに、この脚本を十分に発揮できた俳優は彼だけと言っても良いかもしれません。

 

 




 

まとめ

本作のような予定調和に入らない脚本や、奇跡的なバランスで成り立つ演出は稀なものであり、狙って作ることは極めて難しいことでしょう。

製作者なりのメッセージはあるのでしょうが、これほどまでに広がった解釈の余地は監督の意志を離れ、独り歩きしているようにも見えるのが不可思議です。

 

映画を知れば知るほどに、味わい深く、滋味深く、映画に対する可能性を広げてくれる傑作だと思います。

ただし、明らかに玄人向けな映画だとも思いますし、繰り返しになりますが初見ではそこまで面白い映画でもないですし。

何とも評価しづらい作品ですな。

 

良ければ一度ご鑑賞くださいませ。

 

 

 

 



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