バックドラフト


(原題:Backdraft)
1991年/アメリカ
上映時間:137分
監督:ロン・ハワード
キャスト:カート・ラッセル/ウィリアム・ボールドウィン/ロバート・デ・ニーロ/スコット・グレン/ジェニファー・ジェイソン・リー/他

 




 

「ビューティフル・マインド」で脚光を浴び、「ダヴィンチ・コード」で大ヒットを記録したロン・ハワード監督によるドラマ作品。

有名な映画なので説明するまでもないですが、火災や消防士にスポットを当て、共に命がけで救命や鎮火に当たる兄弟の物語です。

 

まぁ古い作品なのでね、若い子からすればUSJのアトラクションの方がピンと来るでしょう。

筆者も一度だけ行ったことがありますが、予想以上に怖いよね、アレ。

 

火災のシーンが注目されがちな本作ですが、何をしても中途半端だった弟の成長譚が物語の軸となります。

どんな形であれ何の仕事であれ、男が”覚悟”を決める姿は雄々しく、カッコいいものですな。

 

 

 

さっくりあらすじ

消防士・デニスの息子・ブライアンは火災現場への出動に同行するが、突発的な爆発に巻き込まれ、仲間を庇ったデニスは死亡してしまう。

その姿を呆然と見ていたブライアンはマスコミに写真に撮られ、写真はピューリッツァー賞を受賞し有名になった。

20年後、ブライアンは数々の職を経て消防士になり、兄・スティーブンが隊長を務める17分署へと配属される。

いつまでも未熟者扱いするスティーブンと、偉大な兄に対してのコンプレックスを抱えるブライアンは、互いに諍いながらも訓練や任務に励んでいく。

そんな中、巷ではバックドラフト現象を狙った連続爆破火災事件が発生しており、”変わり者”として有名な捜査官・リムゲイルが捜査に当たるのだが、、、

 

 

 

 

優秀な荒くれ消防隊・17分署
兄・スティーブンが隊長を務める

 

しかし、懸命に努力する弟を認めず
喧嘩が絶えない

 

意思を持っているかのように迫る炎
超怖い

 

 

 

 

人の欠点

繰り返しになりますが、消防士の活動や迫りくる炎に注目がいってしまうものの、あくまで焦点は兄弟の物語になります。

 

仕事が長続きせず、何をやらせても一人前に辿り着かない弟・ブライアンは兄に対するコンプレックスを見返そうと、消防に対して躍起に努力する姿が描かれます。

そんな弟に呆れながらも、その身を案じるスティーブンは弟の成長を認めず、また彼自身も自分という人間の欠点に思い悩む姿が描かれます。

やはり人はそうそう簡単に”完成”しないわけで、大小様々な挑戦や挫折を経て成長していくものであり、この兄弟もまた各々の欠点を抱えた成長過程にあるわけです。

 

そういった”上手くいかない”人生が極めてリアルに描かれてあり、かなり深い余韻を残します。

兄は仕事は順調ながらも妻子と別れ、危険と隣り合わせだけに部下を失っていくつらさ。

弟は兄の背中を越えられず、脇道へと逸れてしまうもどかしさ。

 

壁に阻まれ、回り道をするような出来事は往々にしてあるものですが、それぞれが背負う責任感や使命感は時としてつらいものになりますね。

逆に考えれば、人の青春は終わらないものだとも思いますが。

互いに立場は違えど、この2人の主人公が織りなすドラマ性は一見の価値ありです。

 

 

そんな兄弟の物語に派手な炎のアクションと、連続して起こる火災事件のサスペンスが華を添えます。

良い塩梅でのプロットは非常に完成度が高く、ドラマ主体の展開の中でもしっかりとエンタメ性を高めています。

 

特に目玉となる炎の演出は凄まじく、本当に危ない、怖い。

生き物のように前に出てきては引っ込んでいく炎の描写は秀逸で、単に水をかけているかのようなイメージを根底から覆します。

マスクや対火服を身に着けているにせよ、こんな危険な場所に飛び込む消防隊員の存在には頭が下がるばかりですな。

 

ちなみに、火の演出については一度USJのアトラクションに行ってみると良いですよ。

明らかに安全を確保してある観客ゾーンでも、結構ガチで怖いっすからね。

 

 

特筆すべきは、やはり兄弟を演じるカート・ラッセルと、ウィリアム・ボールドウィンの2人。

 

火災や爆発や人命救助など、まさに男の仕事をこなす兄・スティーブンですが、これまた男臭い風貌のカート・ラッセルが良く合います。

武骨で漢気に溢れ、頼りになる熱血漢ですが、それ故に何でも一人で抱え込む不器用さが目を引きます。

しかし本当は至って普通の男性であり、元妻に甘えたい葛藤や、弟の活躍に目を細める姿など、気を張った姿に隠れたデリケートな内面が魅力的な人物です。

 

対して弟のブライアンもまた、優男風のウィリアム・ボールドウィンの雰囲気が良く合います。

自分なりに努力を重ねるも、弟気質でどこか抜けている性格で、兄と比べて気弱で脆弱な自分に苛立つ複雑な内面を抱えています。

心のどこかでは深い尊敬の念があるものの、素直になれない性格や環境がまた事態を複雑にしており、末っ子の筆者としても頷ける場面がチラホラと。

 

しかし終盤では見事に覚醒し大活躍。

兄の背中に捉われたコンプレックスから解き放たれ、また兄も「アレが俺の弟だ」と嬉しそうに自慢する姿は感涙もの。

エンディングにて、一皮むけたブライアンが新人に指導する姿には深い感動があるんです。

 




まとめ

ドラマあり、アクションあり、サスペンスあり、それらが上手く噛み合った傑作です。

総じて”男臭い”男たちの物語であり、女性がどう感じるかは分かりませんが、この命懸けのプロ意識は観て損の無い内容だと思います。

 

とにかく火元に気を付けたくなる作品でもあります(笑)

ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。

おまけ

若い頃住んでたボロマンションにて。

家路についたところマンションの前に5台もの消防車(大)が、、、先に言っておくと上階の部屋で火事があったらしく、実際に焼け焦げた匂いが漂っておりました。

普段は気にも留めない火の元ですが、もしかしたら自分が出火元かと思うと結構マジで怖かったように記憶しております。

みんなも火の元には気を付けような。

 

 

 



ブログランキング参加してみました。
良ければポチっと押しちゃってください。