
(原題:Shooter)
2006年/アメリカ
上映時間:124分
監督:アントワーン・フークア
キャスト:マーク・ウォールバーグ/マイケル・ペーニャ/ダニー・グローヴァー/ケイト・マーラ/イライアス・コティーズ/ローナ・ミトラ/他
政府の陰謀を、元海軍の狙撃手が暴いていくサスペンス・アクション。
もう絵に描いたようなポップコーン・ムービーですし、センスを感じない邦題もむしろ良い具合なB級感を生んでいますね。
一騎当千な狙撃手に白人のヒロインに加え、デブで薄らハゲな黒幕が企む国家の陰謀と、往年のハリウッドで定番とも言える数々の”お約束”
それを忠実に再現しつつも、平均以上に仕上げた完成度はなかなかのものです。
監督を務めたアントワーン・フークアは「マグニフィセント・セブン」や「キング・アーサー」などを手掛けた黒人の映画監督。
実に基本に忠実なお方で、先が読めるけれども面白い作品を作るのが特徴的か。
個人的には好きな監督さんです。
さっくりあらすじ
アメリカ海兵隊・偵察部隊の狙撃手であるスワガーは、観測手のドニーと共にエリトリア領内での潜入任務に就いていた。
しかし上官から伝えられていたよりも敵兵の数が多く、反撃によりドニーは死亡し、スワガーは紙一重で脱出に成功した。
3年が経ち、この一件でスワガーは除隊し、山奥で隠遁生活を送っていた。
そんなスワガーの元にジョンソン大佐が訪れ、大統領暗殺計画が発覚したため、その狙撃地点を割り出したいと協力を要請してくる。
渋々ながらも愛国心を胸に受諾したスワガーは、あらゆる情報を分析・推理し、大司教を招いて行われる大統領演説こそが、狙撃のチャンスになると訴えた。
そして当日を迎え、ジョンソン大佐と共にスワガーも現場で監視するのだが、、、
元・狙撃手のスワガー
凄腕のスナイパー
FBIの新人捜査官・ニック
彼もまた事件に巻き込まれることに
亡きスワガーの親友の妻・サラ
ヒロイン&おっぱい担当
ジェイソン・ボーンと互角か
強靭な肉体や格闘技術を誇り、極めて高精度な狙撃が可能な兵士として、スワガーもまた一騎当千な能力を持ちます。
肉弾戦・銃撃戦・狙撃戦と、どれを取ってもジェイソン・ボーンと比べ遜色なく、この2人が組んだらホワイトハウスも安全ではないだろうと思えるくらいのインパクトがありますね。
タフで力強く、冷静で賢い男が、政府という強大な相手と戦うという高揚感。
多勢に無勢な状況でも、卓越した戦闘力と判断力で敵を蹴散らしていく爽快感。
脚本的な深さや重みは皆無ですが、複雑ではないからこそのライトなお手軽さこそが、面白い時もあるよね。
それ故に記憶に残りづらいという弱点もありますが。
物語としては政府の陰謀に巻き込まれたスナイパーが、協力を得て陰謀を暴き、仕返ししていくという流れ。
まぁとってつけたような内容なので、ここは気になりません。
特に前半はそれなりに緊張感のあるサスペンス風味な展開であり、いざ暗殺事件が起きると共に雪崩式に進んでいくサバイバルは結構見応えがあります。
負傷しながらも逃げ回る主人公。
何としてでもとどめを刺そうと躍起になる黒幕。
上司の異変を感じ取り、未熟なりに単独捜査を始める新人捜査官。
色々な視点での思惑が重なり、そこそこの緊張感もあり、逃亡犯としての焦燥感もあり、なかなか良い出来です。
しかし、主人公が反撃に転じるあたりから徐々に尻すぼみになっていくのが、ちょいと残念なところ。
後は暴れるだけだ、と言わんばかりに迫力あるアクションの連続ですが、ちょいと無理のあるご都合主義もあり、微妙に盛り上がりに欠けます。
ドンパチするだけがガンアクションではないですし、スナイパーならではの”静的”な戦いを描いているが故に、ちょっと玄人向けな演出に甘んじてしまったのかもしれません。
特筆すべきは、ジョンソン大佐を演じるダニー・グローヴァーの存在。
「リーサル・ウェポン」や「プレデター2」のイメージが強いグローヴァー氏ですが、本作では珍しく悪役を演じています。
どう見ても善人なお顔立ちで、およそ悪役に向かないような気もしますが、それでも根性悪い悪の指揮官としての存在感はなかなかのもの。
本人の人柄とは正反対なキャラクターでもしっかりと仕上げ、上手に演じております。
さすがです。
あとは近年売り出し中のマイケル・ペーニャ。
メキシコ系アメリカ人のペーニャ氏ですが、最近は「ヒューリー」「アントマン」「オデッセイ」など、大作に次々と出演し、徐々に活躍の場を広げています。
これからの活躍が楽しみですな。
まとめ
”何となく観てたら意外と面白かった”系の映画であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
それなりに面白いけれども、どこか漂うチープな雰囲気、でもスカッとするようなエンディング。
正に王道的なポップコーン・ムービーですな。
オススメするほどではないけれど、普通に面白いよと言える映画です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。