
(原題:Big Fish)
2003年/アメリカ
上映時間:125分
監督:ティム・バートン
キャスト:ユアン・マクレガー/アルバート・フィニー/ビリー・クラダップ/
ジェシカ・ラング/ヘレナ・ボナム・カーター/アリソン・ローマン/マリオン・コティヤール/マシュー・マッグローリー/ミッシー・パイル/他
ホラ吹き親父と息子の確執を、鮮やかな色彩とユーモアで彩ったファンタジー・ドラマ。
個人的には数あるティム・バートン監督作品で、最も好きな映画です。
ティム・バートン作品独特の、童話の中に入り込んだような世界観。
それに加え、明るい雰囲気に終始する優しく淡い色彩、親子の関係を愛情深く表現するストーリーが見事に噛み合った名作。
ホラ吹きの父親が若かりし頃の思い出を語り、それに反感を持つ息子が何とか父親を理解しようとするヒューマンドラマといったところでしょうか。
嘘くさい父親のホラ話はどれも独創的で、何故か耳を傾けたくなる魅力があります。
感受性、創造性、優しさを持ち合わせている人ならば、必ず満足できる映画だと思います。
さっくりあらすじ
妊娠中の妻と暮らす、ジャーナリストのウィル。
彼の父親・エドワードは自分の人生を脚色し、面白おかしく言葉を語り、聞く人を魅了する。
幼い頃は夢中で聞き入ったウィルだが、大人になるにつれ、父の作り話が気に入らなくなっていく。
3年前のウィルの結婚式にて、エドワードはウィルが生まれた日に、大きな魚を釣った話で招待客を楽しませる。
しかしウィルは式の主役は自分だと訴え、それ以来は親子の関係が冷えきっていた。
そんなある日、母サンドラからエドワードが病で倒れたとの知らせが入り、ウィルは実家へと帰るのだが、、、
幻想的で不思議な世界
2005年に亡くなった俳優
マシュー・マッグローリー
足のサイズは47,5cm!
妻を優しく抱きしめる夫
名シーン
人生に彩りを
ダークファンタジーな世界観や、シュールなブラックジョークを軸とするティム・バートン監督作品の中では極めて異質な本作。
父エドワードの回想シーンで描かれる色鮮やかで優しい色彩と、それに対して描かれる暗く地味な現実。
そんなコントラストがエドワードのホラ話をくっきりと際立たせるわけですが、ファンタジーだけではなく、現実のヒューマンドラマをティム監督が演出するのは、ほぼ初めてではないでしょうか?
若き日のエドワードを演じる、ユアン・マクレガー(オビ=ワンね)の大げさな演技がピタリとハマります。
エドワードのホラ話を演じる実質の主人公なわけですが、そこはファンタジー色が全開。
「まぁ、嘘だろうな」という老人の夢物語を良い意味で忠実に再現し、美しくも儚い世界が独創的で感動します。
また、良く出来たホラ話ではあるものの、実際にモデルとなったであろう人物たちが葬儀に集まるのもユニークで感動的な演出ですね。
お伽話と現実のシンクロっぷりが絶妙というか、悲しいお話のはずなのにほっこりするというか、思わず笑顔になってしまうような優しさに溢れています。
余談ですが本作の公開直後、影響を受けたのかニューヨークの電線によく靴がぶらさがってましたね(笑)
あれ、何だったんだろ?
そして老エドワードを演じる、アルバート・フィニーも実に素晴らしい。
ゴールデングローブ賞を3度も受賞しているベテランの実力派俳優ですが、本作でもその実力を如何なく発揮し、涙を誘う素晴らしい演技を披露してくれます。
服を着たままバスタブで妻サンドラを抱きしめるシーンなんか、本当にメチャクチャ泣けますよ。
こんな夫婦関係を築きたいものです。
まとめ
現実とファンタジーが交互に挟まりますが滞ることなく、分かりやすい流れで観れる作品です。
この映画のように色彩豊かに、表情豊かに生きることができたら、それはどんなに素晴らしいことか。
心の奥に染み込む暖かさをご堪能あれ。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。